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谷真守 編
ボク? ソレトモ、ワタシ?
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いつからだっただろう。
自分の性に疑問を持ったのは。
ハッキリと自覚したのは中学生か。
あるいは、小学生の頃には周りとの違いには気づいていたかもしれない。
ボク、いや、ワタシ?
そもそもどちらかしかないの?
昔から何度も何度も自分に問いかけてきた疑問。
たくさん本も読んで勉強した。
けれども、その答えには今もたどり着けていない。
だからとりあえず『ボク』は、自分の体の性に合わせて男として今まで生きてきた。
学生時代は男友達と一緒に部活のスポーツやカードゲームなどで盛り上がったり、みんな下ネタとかが好きなので、それも自分から積極的に振ったりしてきた。
ただ、そんなボクだが、恋愛の話だけはどうも苦手だった。
どうしても「あー彼女欲しい」とか「あー女とヤリてぇ」みたいな友達の話に合わせることができない。
だって別に彼女欲しくないし、ヤリたくもないから。
だからその手の話になった時は嘘を付くリスクを取らないようにただ黙っていた。
ずっとベラベラ喋って奴が急に黙って逆に不自然だったかもしれないが、『草食系男子』という都合の良い言葉が流行っていたこともあり、それ以上追求されたりすることは無かった。
そんな感じでそつなくこなしていたボクだったが、高校2年生の時にある事件を起こしてしまう。
【谷真守高校2年生】
「あの、私、谷くんのこと好きになっちゃったみたい。良ければ、付き合って下さい」
当時同じクラスだった西岡真由という女子から告白された。
男子の友達と遊ぶのがメインではあったが、女子とももちろん遊んだりもしていた。
その行為にボクとしては意味は無い。
誘われたら遊びに行くし、暇だったら自分から誘う。
それだけのことだったのだが、異性と遊ぶという行為は、青少年たちにとっては特別なことらしい。
真由とは遊園地やショッピングなど色々な所に行った。
それとボクは自分の話をするのは好きじゃないが、人の話を聞くのは好きだった。
だから真由がどういう家庭環境で、どんなことを考えて生きているのかもよく知っていたし、つらい時や悲しい時にはボクを頼ってきていたので、その時々で話を聞いていた。
ある事故に巻き込まれた真由を助けるために、お母さんが植物状態になってしまったこと。
それによりお父さんが変わってしまったこと。
彼女は自分の悩みを人に話すことでなんとか心を保っているようだった。
が、それとボクと彼女が恋愛関係になるのとは話が違う。
だから、丁寧にお断りした。
「ごめん。真由のこと、そういう風には見れない」
恋愛関係にはなれないとハッキリと伝えた。
すぐに引き下がってくれると思っていたボクだったが、真由は急に不機嫌になって怒り出した。
「……は?私のこと好きって言ってくれてたじゃん!!」
確かにボクは真由と会っている時間は楽しかった。
だから真由がお母さんのことを話して号泣していた時に「私のこと好き?」って聞かれた時にも「もちろん大好き」と肩を抱きながら即答していた。
それが真由には恋愛感情に繋がってしまったらしい。
だからボクは言った。
「え?あ、うん。友達として好き」
その言葉を聞いた瞬間、真由は瞳に涙を浮かべて走り去っていった。
(またか……)
高校に入って女子から告白されるのは、これで4度目だった。
走り去る真由の背中をため息をついて見送ると、ボクは同じクラスのシゲに連絡した。
自分の性に疑問を持ったのは。
ハッキリと自覚したのは中学生か。
あるいは、小学生の頃には周りとの違いには気づいていたかもしれない。
ボク、いや、ワタシ?
そもそもどちらかしかないの?
昔から何度も何度も自分に問いかけてきた疑問。
たくさん本も読んで勉強した。
けれども、その答えには今もたどり着けていない。
だからとりあえず『ボク』は、自分の体の性に合わせて男として今まで生きてきた。
学生時代は男友達と一緒に部活のスポーツやカードゲームなどで盛り上がったり、みんな下ネタとかが好きなので、それも自分から積極的に振ったりしてきた。
ただ、そんなボクだが、恋愛の話だけはどうも苦手だった。
どうしても「あー彼女欲しい」とか「あー女とヤリてぇ」みたいな友達の話に合わせることができない。
だって別に彼女欲しくないし、ヤリたくもないから。
だからその手の話になった時は嘘を付くリスクを取らないようにただ黙っていた。
ずっとベラベラ喋って奴が急に黙って逆に不自然だったかもしれないが、『草食系男子』という都合の良い言葉が流行っていたこともあり、それ以上追求されたりすることは無かった。
そんな感じでそつなくこなしていたボクだったが、高校2年生の時にある事件を起こしてしまう。
【谷真守高校2年生】
「あの、私、谷くんのこと好きになっちゃったみたい。良ければ、付き合って下さい」
当時同じクラスだった西岡真由という女子から告白された。
男子の友達と遊ぶのがメインではあったが、女子とももちろん遊んだりもしていた。
その行為にボクとしては意味は無い。
誘われたら遊びに行くし、暇だったら自分から誘う。
それだけのことだったのだが、異性と遊ぶという行為は、青少年たちにとっては特別なことらしい。
真由とは遊園地やショッピングなど色々な所に行った。
それとボクは自分の話をするのは好きじゃないが、人の話を聞くのは好きだった。
だから真由がどういう家庭環境で、どんなことを考えて生きているのかもよく知っていたし、つらい時や悲しい時にはボクを頼ってきていたので、その時々で話を聞いていた。
ある事故に巻き込まれた真由を助けるために、お母さんが植物状態になってしまったこと。
それによりお父さんが変わってしまったこと。
彼女は自分の悩みを人に話すことでなんとか心を保っているようだった。
が、それとボクと彼女が恋愛関係になるのとは話が違う。
だから、丁寧にお断りした。
「ごめん。真由のこと、そういう風には見れない」
恋愛関係にはなれないとハッキリと伝えた。
すぐに引き下がってくれると思っていたボクだったが、真由は急に不機嫌になって怒り出した。
「……は?私のこと好きって言ってくれてたじゃん!!」
確かにボクは真由と会っている時間は楽しかった。
だから真由がお母さんのことを話して号泣していた時に「私のこと好き?」って聞かれた時にも「もちろん大好き」と肩を抱きながら即答していた。
それが真由には恋愛感情に繋がってしまったらしい。
だからボクは言った。
「え?あ、うん。友達として好き」
その言葉を聞いた瞬間、真由は瞳に涙を浮かべて走り去っていった。
(またか……)
高校に入って女子から告白されるのは、これで4度目だった。
走り去る真由の背中をため息をついて見送ると、ボクは同じクラスのシゲに連絡した。
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