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シルバーヘアーのメロディー

18話 Blind Touch

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 娘の通う中学校のクラス・一年A組の合唱コンクールの練習の稽古をつけることに担任のクリスチーナ先生と同意した私は、それから度々、中学校の教室に顔を見せるようになった。
 初めて娘のクラスに訪れて一か月が経ち、彼女達は毎日欠かさず反復練習をしたのだろう。綺麗なハーモニーを響かせ、そして今はそれを私は聴いている。
 クラスメイトが使う教室の勉強机の上に腰をかけ、その基礎の反復練習を手拍子をつけて、やらせていた。クラスメイトたちも楽しそうにその基礎の反復練習をする。
 そうして一時間程の反復練習をしたら、次はお題の曲の「Hail Holy Queen」の練習。
 実はこのクラスの「Hail Holy Queen」は昔からある聖歌バージョンではなく、一言で言えば、映画で使われたゴスペルバージョンである。なので普通の聖歌よりノリ、テンポがいい。
 この日から次は別パートの部分の練習を始める。
 この部分だ。

Triumph all ye cherubim
(ケルピム天使、汝ら皆、勝利を祝え)
Sing with us ye seraphim 
(セラフィム天使、汝ら、我らと歌え)
Heaven and earth resound the hymn
(天に地に、聖歌よ響け)
Salve, salve, salve, Regina
(幸いあれ、幸いあれ、女王に幸いあれ)

 この部分にソプラノで一人、別ヴォーカルを歌ってもらう。
 その方がダントツにこの曲は生きる。それを今日は誰に歌ってもらうかだが。
 このクラスの中で相応しい子がいる。娘ではない。
 声の響きは限りなく綺麗なソプラノだが、どうも内気で、歌をうたうのも恥ずかしいという感じの子だった。名前はメアリー。ジェニファーが言うには、彼女は元々内気な性格で、あまり会話にも参加しないのだという。
 この日もそう。メアリーはあまり大きく口を開かないで、遠慮がちに歌っていた。

「メアリー? もうちょっと、大きな声で歌おうか?」
「は、はい」

 この子は何か恥ずかしそうにしていた。モジモジしている。確かに内気な子だ。

「どうしたのかな?」
「な、何でもないです」

 とりあえずこう声をかけた。

「歌は楽しんで歌うものだよ? 大きな声で歌うのは恥ずかしいことじゃない。それとも悩みでもあるのかな? 思い切って、歌ってみよう?」
「は、はい」

 そうして時報が鳴る。学校の休憩時間になった。
 そこでジェニファーは私を教室の外へ連れて行く。そしてメアリーのことを教えてくれた。

「お父さん。実は、あの子なの。クラスでいじめられている子」
「彼女が?」
「うん。家庭の事情で今、いじめられているの」
「なるほどね。でも、私はおいそれと相談に乗れる立場ではないな。似たような家庭だし」
「そうだよね。でも、お父さんになら、その子、話してくれるかも知れない」
「今日の練習が終了したら、話だけでも聴いてあげようか?」
「そうしてあげて?」

 その日は別パートの練習はせず、全員でフルコーラスを歌って、おしまいになった。
 中学校も退校時間になる。
 ジェニファーのクラスメイトたちはそれぞれ学校から出て、それぞれ思い思いの時間を過ごしに向かった。メアリーも帰ろうとしている。そこで、私は彼女を呼び止めた。

「メアリー?」
「は、はい」
「ちょっとだけ時間空いているかな?」
「何でしょうか?」
「君のことをジェニファーから小耳をはさんでね。まあ、教室に戻ろう?」

 とりあえず、ジェニファーにも同席してもらった。

「君、クラスメイトたちからいじめられているって聞いたよ。家庭の事情で」
「……」
「私はジェニファーの親で、別にどうこう言える立場ではないけど、せめて君の中にあるわだかまりというのかな、それを知りたい。私達の家庭も、結構複雑な事情を持っているからね。それに、家庭の事情がいくら複雑でも、君も合唱コンクールの練習に来ているなら、それだけに集中できるはずだよ?」
「私…お父さんに、性的虐待を受けているんです……」
「……」

 メアリーという子は、悲しそうに青い瞳を、涙で溢れさせる。
 顔をうつむいて、そして、告白した。

「毎日のように、お父さんに犯されているんです。それを担任のクリスチーナ先生に話したら、知らない間に学校中で噂になって、それが原因でクラスメイトのみんなに弱みを握られて……」
「でも、合唱は好きなんだよね…?」
「でも、何だか馴染めなくて…」
「君は、いい声をしているよ。綺麗なソプラノだと思う。別パートで君にリードヴォーカルをしてもらおうと思っているんだけど?」
「私なんかでいいんですか?」
「君の声がいいんだ。君の歌う別パートが、更に凄い「Hail Holy Queen」になると確信できる」
「今の君の話は胸の内にしまっておく。私は、このジェニファーに誓って、絶対に話さない。誰にも。……私達も君と同じような家庭の事情があるから」
「本当? ジェニファー?」
「うん。そうだよ」
「ずっと、メアリーのことが気になっていたの。でも、自分も同じだから今まで言えなかった。ごめんね」

 ジェニファーも言いづらそうにして、今までのことをメアリーにだけ話す。

「でも、私はお父さんが大好き。いつでもどこでも私のことを想ってくれているお父さんが大好き。何と言われても、お父さんの傍にいたい。でも、出来るならメアリーも黙っていてくれないかな…? 私もクラスメイトのみんなにはいじめられたくないから…」
「今日メアリーが話してくれたことは、私もお父さんも話さない。だから、メアリーも、私のお父さんを信じてあげて?」
「信じていいのですか…?」
「もちろん。こんなこと他人行儀なことに見えるけど、私はただ、この合唱コンクールの練習を通して、ただみんなが音楽の世界に興味を持ってくれれば、そう思うから、引き受けただけだよ。私は教師ではないから。ピアニストだから人間関係の整理までは出来ないし、そういう資格もない。人としてもね」
「だから、ジェニファーと一緒に頑張ろう? 合唱コンクールで優勝を狙ってみよう? そのためには、君の声が必要なんだ」

 私はメアリーの目線に合わすように腰をかがめた。そして、優しく微笑んで見せた。
 メアリーは一層、青い瞳に涙を溢れさせ、私を見つめる。

「今まで辛かったね。でも、もう一人じゃないから」
「ジェニファーは絶対、他人が嫌がることをしない子だから安心していいよ。それはメアリーが一番知っているだろう?」
「うん。ジェニファーは凄い優しいよ? いじめとかしないし、クラスメイトの子の悪口も言ってないよ」
「明日から、メアリーも、自分なりのペースでいい。思い切り歌ってみよう?」
「は、はい!」
「じゃあ…私達は帰るから。夕飯の材料を買わないとな?」
「そうだね。お父さん」
「また明日。メアリー?」
「じゃあね。メアリー。気をつけて帰ってね」
「うん。……ありがとう。エリオットさん」

 そのメアリーの言葉に、私はただ微笑み返すことしかできなかった。
 赤いミニクーパーに乗った、ジェニファーと私は、中学校の敷地から去って、街のスーパーに寄った。
 今はタイムセールがやっているのか、妙に客が多い。

「何か、タイムセールでもやっているのかな?」
「どうなのかな? とりあえず、お店に入ろう? お父さん」
「そうだな」

 親子そろって車のドアをバタンと閉めて、鍵をかけた私達は、いつものスーパーに入って行った。
 いつものスーパーでは、やはりタイムセールが行われていた。

「本日は牛肉のステーキが六十パーセント引きとなっております! いらっしゃいませー!」
「お父さん。牛肉のステーキだって?」
「今夜はそれにするか?」
「うん!」
「後は、ジャガイモもそろそろないな。パンも買わないと」
「スープの材料も買わないとねー」
「レタスとかもだな。やはりサラダも無いと物足りないだろう?」
「うん!」

 そんなことを話し合いながら買う姿はまさにどこかの恋人同士だった。
 でも、なんてことのない光景だが、自分がこの子と一緒の時間を過ごしているのだと思える。
 夕飯の材料を買い終えた私達は、赤いミニクーパーの後部座席に荷物を乗せ、家路へとついた。
 イギリスは初夏に差し掛かり、娘の中学校の制服も夏服へと移ろいつつある。
 私の服装も自然と初夏に合わせて、薄いシャツに紺色のズボンとラフな感じになる。
 スーパーから我が家までは大体車で十五分くらい。
 少しずつ日が落ちる時間も遅くなっていく。でも嫌いな季節でもない。それに夏の方が何だか気分も明るくなる。

「そう言えば、合唱コンクールはいつ頃やるんだ? 本番は?」
「学年末だから、七月中旬頃だよ?」
「今は六月だから、そろそろラストスパートしないと、な」
「うん。そうだね」

 我が家に帰る頃にはもう夕方の五時だった。
 荷物を持って玄関に行く。荷物を持つ姿まで艶やかになったジェニファーと片手にスーパーの袋を持つ私は鍵を開け、我が家へと入って行く。
 ここからはもう私達は恋人同士だった。待ちかねたように、私達は玄関に荷物を置くと、激しく唇を貪り始めた。

「んっ…んんっ…! お父さん…!」
「はあっ…はあっ…ジェニファー…」

 激しい口づけの後は、まるで恋人同士が一緒になって夕飯作りだ。
 もちろん、いちゃいちゃしながら、手に持ったナイフで傷をつけないようにだが、一緒にキッチンへ行って今晩のディナーを作る。
 今晩のディナーはメインディッシュは安売りしていた牛肉のステーキだった。その他、サラダに、野菜のスープに、パン、ジャーマンポテトも作る。後はデザートにイチゴも用意した。
 ディナータイムは至福の時間だった。そこが我が家だから、人目も気にせず、散々いちゃいちゃする。
 キスを交わしながらイチゴを食べて、イチゴの甘い味と一緒に、娘の口の中も賞味する。
 日にちを追うごとに、娘の口の中は甘くなっていく。健全な色気と共に妖艶な色気も出てくる。

 そして、合意の上での性的な関係をする。
 ベッドの上で、あるいはピアノの鍵盤を目の前に。
 そして、今夜は、ジェニファーに私は目隠しプレイをする。
 ダイニングルームのソファで、自分の分身を咥えてもらう。

「ジェニファー…? これ、何だ?」
「お父さんのネクタイだね?」
「今夜はこれで目隠ししてあげる」

 そう言って、自分のネクタイをジェニファーの目にあてがって目を隠した。

「なかなか似合うぞ?」
「お父さんの匂いがするね」
「そうか? そのまま、匂いと手を頼りに、私を愛してみてくれ?」

 ソファに座った私は、実の娘を膝をつけさせて、そのままジェニファーの動きを…なまめかしい動きを観察した。
 目隠しをされたジェニファーが、私の身体を触り出す。彼女の手が私の身体をさまようように触る。

「ここ…お父さんの胸…?」
「正解だ…そのまま下に手を下ろしてごらん?」
「ここがお父さんの腰だね…」

 私の腰に娘の腕が絡みついてきた。私は脚を開いて、しなやかな娘の身体を預ける。
 そして、纏っている洋服を脱がせる…。彼女は目隠しをされたまま、でも洋服を脱がされている感触は感じるのか、最後は自分からピンクのブラジャーを取った。
 ジェニファーが上半身裸でスカートのみになる。
 彼女はゆっくりと蠢く。私の身体の上で、私の舌の愛撫を受ける。

 やがて、私のズボンのファスナーに、娘の手がかかる。そのままファスナーを下ろした。
 娘は目隠しをされながらも、微笑んで、そのまま私の分身を取り出した。
 そして、娘の口戯を受ける…。先にキスをして、娘がゆっくりと分身を口にほおばった。

「んっ…! んんっ…はあっ…お父さん…」

 彼女が熱を帯び始める。口戯が激しくなってきた…!
 もはやその技は熟練の舌使いだった。私を虜にしてやまない娘の口戯。
 やがて、ジェニファーはもっと奥に私を咥えこんだ。
 自分の喉にそれが当たるのも構わないで、激しく舌を使い、己の唾液を擦りつける。
 私はその天国のような快楽と、背徳的な快楽を同時に味わう。
 多分、今の私は、その快楽に顔を恍惚とさせているのだろう。自然と甘い吐息を吐く…。

「お父さん…! お父さん…!」
「ジェ…ジェニファー…」

 だんだん自分が快楽に陶酔してきた。分身が今にも破裂しそうに脈打っている。
 私は切ない喘ぎ声をあげた…。
 自然と天井に顔を仰いでしまう…。

「あっ…。はあっ…すごい…お前のこれは…気持ちいい」
「んっ…! んんっ…! はあっ…お父さん…」
「そう、そうだ…! もっと…激しく…舌を動かして…!」

 瞳を閉じて、私は喘ぐ…。天井に顔を仰いで、一時的な激しい快楽に身を委ねた。
 その手はもはや、実の娘の頭を、自分の分身を咥えさせる為に固定している。
 彼女が目隠しをしたまま、私に奉仕していた…。
 異常な光景…だが、扇情的で背徳的な快楽が、私の全身を稲妻のように駆け抜ける。
 そして、私はその日、最高の快楽を受け…実の娘の口の中で果てた。

「ジェニファー……出る…!」

 分身から私の愛が出て、彼女の口の中を汚す。恐ろしいまでに背徳的な”快楽”だった。

「んんっ!! あうっ!! ああっ!!」
「はあっ…はあっ…はあっ…ジェニファー…」

 私は彼女を目を隠した自分のネクタイを外した。
 ジェニファーは、その時、どんな表情を浮かべていたと思う?
 そこには、まるでアネットがそれをして満足したような表情を浮かべていたんだ…。
 ジェニファーは名残惜しそうに、分身から己の口を離した。
 彼女の口から、私の愛液がこぼれている…。

「お父さん…日増しに、お父さんもセクシーになってきているね」
「そ…そうかな…?」

 ジェニファーは上半身裸で、私に寄り添ってきた。
 私はためらうこともせず、当然とばかり肩に寄せる。
 そして、優しく囁いて見せた。

「お前が十七歳になったら、本当につながろうな…。それまで、私は他の女性とはしない……」
「うん…」
「お風呂に入っておいで?」

 私は軽くキスをすると、そのままお風呂に入るように、娘を促した。

「その前に、お父さん、胸にキスをして…?」

 ジェニファーと私はいわゆる抱っこしあっている。
 私は彼女の豊かなふくらみを、唇で愛撫し始める。激しくふくらみを舐めまわす。
 娘の細い腰を抱いて、彼女のふくらみに顔をうずめた。
 自然とソファに倒れ込んでしまう。
 ジェニファーは喘ぐ。激しく、淫らに、私を求める。

「お父さん! お父さん! ああっ…すごいよ! お父さんのキス…大好き!」
「ジェニファー…」

 無意識のうちに、娘の細い腰に腕を絡めて、自分に抱きよせる。
 黒いソファの上で父と娘が身体を重ねる。
 ジェニファーがブラウンのロングヘアーを振り乱す。
 ソファの上で彼女が私という”快楽”に溺れる。

「お父さん!」

 そうして、彼女も快楽の絶頂に駆け上がる。微かに身体を痙攣させて、最後は私の身体を抱きしめた。
 娘は私の銀髪を抱きしめていた。そして息を乱し…私の顔を胸に押し当てている…。
 その豊かなふくらみに私は顔を埋め…微かに汗が滲んだ香りを楽しんだ。
 彼女の微かに汗に滲んだ、身体の匂い…。
 いつしか、この身体の匂いが、私の一番好きな匂いになった。
 私達は年齢が離れ過ぎた、親子であり恋人同士。
 毎日のように、こうやって、お互いの肌の温度を確かめ合っている私達だった。

「満足出来ただろう…? お風呂に入ってきなさい…?」
「うん…」

 そうして、また深い口づけを交わす。
 それが、私達の生活の日課だった。
 そして、夜はお互いに上半身裸で、私のベッドで一緒に眠る…。
 彼女の匂いを確かめながら、私は深い眠りへと入ってゆく…。
 深い眠りへと。
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