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第4章 遺された希望、遺した絶望
4-8 動乱の国立公園
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カナイマ国立公園の密林に、まるで戦争のような轟音が響く。
無差別虐殺の女王虫、スロータークイーンを撃破すべくイェーガーの部隊とハザード、ジェニファーの二人の最大火力をありったけ動員して、一斉狙撃で女王虫の撃退を試みる。
対戦車バズーカやマシンガン、ハザードのレーザー光線、ジェニファーの光の矢を駆使しての一斉射撃に、硝煙と土煙が舞い上がり、森に隠れるロベルト達は凄まじい火力に驚く。
「やったか!」
「あれだけ弾丸を喰らわせたんだ。無傷じゃないはずだ」
彼らとは逆の方向に茂みに飛び込んだキッドは微かな気配に即座に気付いた。スロータークイーンはまだ息をしている。
今は気絶をして動きを止めているだけ。続けて第2射を放たないとスロータークイーンは退治できない。
キッドはハザードに通信を入れた。
「ハザード! 続けて第2射をぶち込め! 奴は生きてるよ! これくらいではスロータークイーンは殺せない!」
「何⁉ あれだけの攻撃を受けてもまだ生きているのか!?」
「奴の気配はまだあるよ! 今は気絶しているだけだ!」
茂みに隠れるレンジャー隊はスロータークイーンを倒したと思った。
しかし、土煙が収まるまで様子を見る。
そこにハザードの声が密林に響いた。
「続けて第2射だ! 奴は生きてるぞ! ここで畳みかける!」
「生きてるのね。やっぱり」
ジェニファーもスロータークイーンは生きてる事に気づいていた。あの粘っこい気配がまだしていたので【女神の瞳】で視たら、無傷ではないがまだまださほど生命力を奪われた様子ではなかったからだ。
彼らはそのまま第2射の用意を開始する。
──だが。
無差別虐殺の女王の咆哮がそこで密林に轟いた。まるで落雷が落ちたような凄まじい轟音がイェーガーのレンジャー隊の気迫を竦ませる。
中には腰を抜かしてしまい、立ち上がる事もできない程にショックを受ける隊員まで出る。
隊長のイェーガーすらも
「なんて奴だ……鼓膜が破れるような叫び声だ……!」
「た、隊長……!」
後方では足が竦んで立ち上がる事ができない隊員が、他の隊員に励まされている光景がある。
「大丈夫か!? 俺が支えるからお前は退避するんだ! 無駄に死ぬな!」
「す、すまない……」
これでは第2射どころではなくなる。
その間にもスロータークイーンは土煙の向こう側から重々しい足取りで、彼らを排除しようと、部下の羽虫を呼び出す。
瞬く間にそこは、異世界の魔物に囲まれる。
ハザードは直感的に思った。
(ダメだ。これじゃあ第2射は撃てない。俺達の火力で何とかするしかない)
ハザードからの通信がロベルト、ジョニー、キッドに入る。
『俺達の火力だけでやるしかねえな! レンジャー隊にこれ以上の戦線の維持はできない!』
『だろうな。ハザード。その為のアルトカークスの武器だからな!』
『やるぜ! やってやる!』
意を決した彼らは森からスロータークイーンの前に躍り出て、イェーガーの部隊が戦線を離脱するまでの時間稼ぎをする事になる。
「俺達がこいつを引き付けるから今の内に戦線離脱を!」
「し、しかし!」
「あれだけの火力を叩き込んたのに平然としている。あなた達では対処は難しいでしょう!? なら報告の為に今は離脱してください!」
「……すまない。皆、この戦線から離脱するぞ!」
「カルベローナ軍のレンジャー隊、協力を感謝する。絶対に生きて、また会おう!」
「ああ!」
問題はこいつだ。
また手下の魔物共が集まってきている。
彼らはアルトカークスの武器を構え、そして簡単な作戦を立てる。
「さて、とうする?」
「奴に電撃が効くかな。そうすれば俺の大剣でも勝てるぜ」
「電撃は良いね! 奴の弱点だよ」
「ジェニファー、ハザード。援護射撃は任せた!」
「こんなに標的がいるのにか?」
「……判ったよ。この女王は俺達で何とかする」
「かなりの数が集まってきてるね。ハザードさん」
「ジェニファーちゃん、ちょっと辛いかも知れないけど、あいつらが女王を倒すまでに耐えてくれよ」
「うん……」
「ロベルト達は大丈夫。伊達にあいつらもエースパイロットと呼ばれていないから」
誰かが鬨の声のかける訳でもなく彼らはそれぞれ自らの役目を果たす為に動き出す。
ロベルト、ジョニー、キッドはスロータークイーンを完全に倒す為に、スロータークイーンをおびき寄せる為に密林の奥へ誘い込む。
無差別虐殺の女王戦車は、密林の木を折り長良彼らを轢き殺す為に猛進してくる。
引き付ける役割を果たすのはキッドだ。彼女は彼らよりも脚は速い。森へ逃げ込む時の速さはまさに疾風の如く、アルトカークスの盗賊としての脚の速さは天下一品ものだ。
そして周りを岩で囲まれた地形までおびき寄せたらロベルトとジョニーで一気に斬り刻む。アルトカークスの剣は地球でのどの名刀にも、勝るとも劣らない斬れ味を有する。
ジョニーは更にその大剣に電撃を宿らせる事ができる。
ロベルトのデュアルウェポンにはまだ秘められた力も残されていた。
「脳筋戦車の女王虫さんよ! こっちに来やがれってんだ!」
キッドは挑発を交えて、確実におびき寄せる。
顔は不敵に笑っている。心底からこのような事態を楽しんでいるのであろう。
ロベルトとジョニーは待ち伏せしている岩場にて気配を殺しながら時を待った。
……来た。身の毛がよだつ程の咆哮が近付いて来ている……!
ジョニーは大剣に最大の電撃をチャージして、放つ為に力を溜める。
ロベルトはデュアルウェポンの剣撃モードのリミッターを外して、まるで獰猛な獣が獲物を狩る前の気配になり、余計な考えを捨てる。
スロータークイーンが岩場に来た。
キッドは大きな岩を驚異的なジャンプで越えると後ろからロベルトとジョニーが森から飛び出しそして、彼らの猛攻が始まった……!
無差別虐殺の女王虫、スロータークイーンを撃破すべくイェーガーの部隊とハザード、ジェニファーの二人の最大火力をありったけ動員して、一斉狙撃で女王虫の撃退を試みる。
対戦車バズーカやマシンガン、ハザードのレーザー光線、ジェニファーの光の矢を駆使しての一斉射撃に、硝煙と土煙が舞い上がり、森に隠れるロベルト達は凄まじい火力に驚く。
「やったか!」
「あれだけ弾丸を喰らわせたんだ。無傷じゃないはずだ」
彼らとは逆の方向に茂みに飛び込んだキッドは微かな気配に即座に気付いた。スロータークイーンはまだ息をしている。
今は気絶をして動きを止めているだけ。続けて第2射を放たないとスロータークイーンは退治できない。
キッドはハザードに通信を入れた。
「ハザード! 続けて第2射をぶち込め! 奴は生きてるよ! これくらいではスロータークイーンは殺せない!」
「何⁉ あれだけの攻撃を受けてもまだ生きているのか!?」
「奴の気配はまだあるよ! 今は気絶しているだけだ!」
茂みに隠れるレンジャー隊はスロータークイーンを倒したと思った。
しかし、土煙が収まるまで様子を見る。
そこにハザードの声が密林に響いた。
「続けて第2射だ! 奴は生きてるぞ! ここで畳みかける!」
「生きてるのね。やっぱり」
ジェニファーもスロータークイーンは生きてる事に気づいていた。あの粘っこい気配がまだしていたので【女神の瞳】で視たら、無傷ではないがまだまださほど生命力を奪われた様子ではなかったからだ。
彼らはそのまま第2射の用意を開始する。
──だが。
無差別虐殺の女王の咆哮がそこで密林に轟いた。まるで落雷が落ちたような凄まじい轟音がイェーガーのレンジャー隊の気迫を竦ませる。
中には腰を抜かしてしまい、立ち上がる事もできない程にショックを受ける隊員まで出る。
隊長のイェーガーすらも
「なんて奴だ……鼓膜が破れるような叫び声だ……!」
「た、隊長……!」
後方では足が竦んで立ち上がる事ができない隊員が、他の隊員に励まされている光景がある。
「大丈夫か!? 俺が支えるからお前は退避するんだ! 無駄に死ぬな!」
「す、すまない……」
これでは第2射どころではなくなる。
その間にもスロータークイーンは土煙の向こう側から重々しい足取りで、彼らを排除しようと、部下の羽虫を呼び出す。
瞬く間にそこは、異世界の魔物に囲まれる。
ハザードは直感的に思った。
(ダメだ。これじゃあ第2射は撃てない。俺達の火力で何とかするしかない)
ハザードからの通信がロベルト、ジョニー、キッドに入る。
『俺達の火力だけでやるしかねえな! レンジャー隊にこれ以上の戦線の維持はできない!』
『だろうな。ハザード。その為のアルトカークスの武器だからな!』
『やるぜ! やってやる!』
意を決した彼らは森からスロータークイーンの前に躍り出て、イェーガーの部隊が戦線を離脱するまでの時間稼ぎをする事になる。
「俺達がこいつを引き付けるから今の内に戦線離脱を!」
「し、しかし!」
「あれだけの火力を叩き込んたのに平然としている。あなた達では対処は難しいでしょう!? なら報告の為に今は離脱してください!」
「……すまない。皆、この戦線から離脱するぞ!」
「カルベローナ軍のレンジャー隊、協力を感謝する。絶対に生きて、また会おう!」
「ああ!」
問題はこいつだ。
また手下の魔物共が集まってきている。
彼らはアルトカークスの武器を構え、そして簡単な作戦を立てる。
「さて、とうする?」
「奴に電撃が効くかな。そうすれば俺の大剣でも勝てるぜ」
「電撃は良いね! 奴の弱点だよ」
「ジェニファー、ハザード。援護射撃は任せた!」
「こんなに標的がいるのにか?」
「……判ったよ。この女王は俺達で何とかする」
「かなりの数が集まってきてるね。ハザードさん」
「ジェニファーちゃん、ちょっと辛いかも知れないけど、あいつらが女王を倒すまでに耐えてくれよ」
「うん……」
「ロベルト達は大丈夫。伊達にあいつらもエースパイロットと呼ばれていないから」
誰かが鬨の声のかける訳でもなく彼らはそれぞれ自らの役目を果たす為に動き出す。
ロベルト、ジョニー、キッドはスロータークイーンを完全に倒す為に、スロータークイーンをおびき寄せる為に密林の奥へ誘い込む。
無差別虐殺の女王戦車は、密林の木を折り長良彼らを轢き殺す為に猛進してくる。
引き付ける役割を果たすのはキッドだ。彼女は彼らよりも脚は速い。森へ逃げ込む時の速さはまさに疾風の如く、アルトカークスの盗賊としての脚の速さは天下一品ものだ。
そして周りを岩で囲まれた地形までおびき寄せたらロベルトとジョニーで一気に斬り刻む。アルトカークスの剣は地球でのどの名刀にも、勝るとも劣らない斬れ味を有する。
ジョニーは更にその大剣に電撃を宿らせる事ができる。
ロベルトのデュアルウェポンにはまだ秘められた力も残されていた。
「脳筋戦車の女王虫さんよ! こっちに来やがれってんだ!」
キッドは挑発を交えて、確実におびき寄せる。
顔は不敵に笑っている。心底からこのような事態を楽しんでいるのであろう。
ロベルトとジョニーは待ち伏せしている岩場にて気配を殺しながら時を待った。
……来た。身の毛がよだつ程の咆哮が近付いて来ている……!
ジョニーは大剣に最大の電撃をチャージして、放つ為に力を溜める。
ロベルトはデュアルウェポンの剣撃モードのリミッターを外して、まるで獰猛な獣が獲物を狩る前の気配になり、余計な考えを捨てる。
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