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4話 浄化の泉
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ある日。あのエミールという少年を連れて来るように予言した宮廷魔導師アネットの下に宰相エリオットは向かった。
彼女は大帝国パトリス1の魔導師である。美しき女性魔導師で、性格も上品かつ温厚な人物として評判は良い宮廷魔導師である。今は彼女は大臣であるオグスと何かを話し合いの最中だった。
「よう、アネット。探したぞ。オグス大臣もご苦労だな」
「こんにちは、エリオット。どうしたの? こんな所まで来て」
「ついにアネットにプロポーズでもするのかな?」
「だから、そんな事ではないって。君も冗談がきつい事を言うな~」
「な~んだ。そんなに私が魅力的じゃないと言いたげねー」
「それは全く違うよ。君は魅力的だよ。アネット。今日の話はその話では無いんだ」
「どんな話なんだ?」
「あの美少年が居た村の近くに、確か泉が湧いているという予言をしたな? アネット」
「ええ。その泉の事?」
「ああ。その『浄化の泉』とやらはどんな泉なんだ?」
「口伝だけど割と古い話なのよね。どうも、その『浄化の泉』はあらゆる穢れを流す泉という言い伝えがあるらしいの」
「あらゆる穢れ? どんな汚れなのだ?」
「そうね。まず洗濯物に付いているようなああいった類の汚れでは無いわね。もっと…こう…精神的な穢れの事を表現していると、私は解釈しているわ」
「何だか難しい話だな。精神的な穢れって、色々な種類があるぞ。欲望とか憎しみとか羨望とか…」
「挙げたらキリが無いでしょうね」
「早い話がそれらを浄化する泉という事かな?」
「オグス大臣の言う通りだと私は解釈しています。あの美少年はどうしているの?」
「エリック皇帝はどうもお気に入りの様子でね。一日中という訳でもないのだが、夜は彼と共に過ごす事が多くなってきたよ」
「とりあえずは様子見という事か? エリオットは?」
「そんな所だよ。そのエミール少年から泉の事を聞いたんだけど、別に特別な何かが宿っている訳ないって言っていてね」
「それで私に聞いたという訳ね。私もこれ以上の事はわからないわ。口伝も本当なのか嘘なのかわからないしね…」
「そうか…」
「陛下は相変わらずか?」
「女性とはけして交わろうとはしないな。絶世の美女だろうと傾城だろうと変わらないよ。お陰で側室の方は暇を持て余している」
「お前が相手してやればどうだ? 一応、双子とは言え皇族には違いないのだから」
「俺は宰相だよ。皇帝ではない」
「国の老人共が騒ぎ出しているんだ。このまま跡取り問題が解決しないなら、エリック皇帝を皇帝の地位から退けて、お前を皇帝にと言ってきている」
「ふん…。要は早く跡取りを作れとそういう訳か」
宮殿のテラス席にて彼らは国の内情を話す。オグス大臣は宮廷魔導師アネットと共に大帝国パトリスの執政をエリオットと分担して担う大事な役目の男性だ。
概ねの事をエリオットが判断を下し、細かい部分をアネットとオグスで決めるという役割分担である。
大臣ともなると自然と周りの意見を汲み取る役目をするので、老人共というか、議員の連中の話も聞く羽目になる。
それらを包み隠さず報告するのも大臣には必要なので、ここでそれをしたという訳だった。
「所であの媚薬作戦は上手くいった? あの薬の調合は私がしたんだけど」
「それなんだけど、俺の説明不足も悪いんだろうけど、エミール君のほうが呑んで一時的にヤバい状態になってしまったよ。エリック皇帝が中和剤を用意していたから収まったけど」
「あの子が飲んだの? なんか話が別の方向に行ってしまっているわね」
「まぁ……エミール少年には悪いがエリック皇帝があの夜を境に変化したのは事実だよ」
「じゃあ…しばらくは様子見ね。こちらは?」
「そういう事だな」
夜が来ると、エミールはエリック皇帝の側に置いて貰う事が多くなった。
あれから媚薬など盛られた訳では無かったが。
「陛下……っ。はあっ…はあっ…すごく…甘い口づけ…!」
「下半身が盛り上がっているぞ? エミール」
「触って欲しいか…?」
「それとも、キスも欲しいか?」
「どっちも欲しい…かも」
「欲張りな──では今夜も手だけだな…」
「アアッ…アアッ…スゴイ…ッ! 陛下の手…温かくて…気持ちいい…っ」
「やれやれ。あれから媚薬は使ってないというのに…よく立つね…。夜が来ると欲情しているのだな」
「陛下の腕の中は…安心できるんです……まるでお父さんみたいな腕…」
「安心できる? 私に…?」
「そう言えば、エミールは気にならないのか? 私のこの痣……醜いとは…?」
「思いません。でも……不思議だな…とは何時も思います」
「不思議とは?」
「何故…そのような場所にあるのだろう…? と。つい…思ってしまうのです…」
「それはまだ話せないな。お前には」
少しだけ怒りを覚えたエリック皇帝は、しごく右手の強さを強くした。
激しく喘ぐエミール。
抗えない絶頂に導かれる。
「ご、ごめんなさい…! 陛下…! はあっ…アアッ…そんなにしないで…!」
「あそこから液が凄く出ている……気持ち良さそうだな──エミール」
「あうっ…そんなに…強く…握らないで…下さい…っ!」
「だめだ。夜伽ならもっと精力をつけろ。これ位で根を上げてどうする?」
「どうしたら精力なんてつくのですか?」
「エリオットの方が詳しく教えてくれるぞ。私より余程やりたがりだからな」
「あの宰相ですか?」
「すました顔をしているが、やたらと物識りだからな」
「何時も俺に憎まれ口叩いてますけど」
「それが宰相だからだろう。ああいった態度を取らないと威厳は保てないからな」
「その前に文句をつける前にお前も精力を付けろ。夜は長いのだから」
優しく諭しているが、その手は激しく彼を虐めていた。
エミールは狂乱のような快楽に囚われ、激しく絶頂へとまた昇った。
一体、この双子には何が隠されているのだろうか?
何故、エリック皇帝は女と交わろうとはしないのか?
何故、エリオットは進んで皇位へと行こうとしないのか? 宰相という立場を守るのか?
何も知らないエミールはただ襲う快楽に飲み込まれるだけであった。
彼女は大帝国パトリス1の魔導師である。美しき女性魔導師で、性格も上品かつ温厚な人物として評判は良い宮廷魔導師である。今は彼女は大臣であるオグスと何かを話し合いの最中だった。
「よう、アネット。探したぞ。オグス大臣もご苦労だな」
「こんにちは、エリオット。どうしたの? こんな所まで来て」
「ついにアネットにプロポーズでもするのかな?」
「だから、そんな事ではないって。君も冗談がきつい事を言うな~」
「な~んだ。そんなに私が魅力的じゃないと言いたげねー」
「それは全く違うよ。君は魅力的だよ。アネット。今日の話はその話では無いんだ」
「どんな話なんだ?」
「あの美少年が居た村の近くに、確か泉が湧いているという予言をしたな? アネット」
「ええ。その泉の事?」
「ああ。その『浄化の泉』とやらはどんな泉なんだ?」
「口伝だけど割と古い話なのよね。どうも、その『浄化の泉』はあらゆる穢れを流す泉という言い伝えがあるらしいの」
「あらゆる穢れ? どんな汚れなのだ?」
「そうね。まず洗濯物に付いているようなああいった類の汚れでは無いわね。もっと…こう…精神的な穢れの事を表現していると、私は解釈しているわ」
「何だか難しい話だな。精神的な穢れって、色々な種類があるぞ。欲望とか憎しみとか羨望とか…」
「挙げたらキリが無いでしょうね」
「早い話がそれらを浄化する泉という事かな?」
「オグス大臣の言う通りだと私は解釈しています。あの美少年はどうしているの?」
「エリック皇帝はどうもお気に入りの様子でね。一日中という訳でもないのだが、夜は彼と共に過ごす事が多くなってきたよ」
「とりあえずは様子見という事か? エリオットは?」
「そんな所だよ。そのエミール少年から泉の事を聞いたんだけど、別に特別な何かが宿っている訳ないって言っていてね」
「それで私に聞いたという訳ね。私もこれ以上の事はわからないわ。口伝も本当なのか嘘なのかわからないしね…」
「そうか…」
「陛下は相変わらずか?」
「女性とはけして交わろうとはしないな。絶世の美女だろうと傾城だろうと変わらないよ。お陰で側室の方は暇を持て余している」
「お前が相手してやればどうだ? 一応、双子とは言え皇族には違いないのだから」
「俺は宰相だよ。皇帝ではない」
「国の老人共が騒ぎ出しているんだ。このまま跡取り問題が解決しないなら、エリック皇帝を皇帝の地位から退けて、お前を皇帝にと言ってきている」
「ふん…。要は早く跡取りを作れとそういう訳か」
宮殿のテラス席にて彼らは国の内情を話す。オグス大臣は宮廷魔導師アネットと共に大帝国パトリスの執政をエリオットと分担して担う大事な役目の男性だ。
概ねの事をエリオットが判断を下し、細かい部分をアネットとオグスで決めるという役割分担である。
大臣ともなると自然と周りの意見を汲み取る役目をするので、老人共というか、議員の連中の話も聞く羽目になる。
それらを包み隠さず報告するのも大臣には必要なので、ここでそれをしたという訳だった。
「所であの媚薬作戦は上手くいった? あの薬の調合は私がしたんだけど」
「それなんだけど、俺の説明不足も悪いんだろうけど、エミール君のほうが呑んで一時的にヤバい状態になってしまったよ。エリック皇帝が中和剤を用意していたから収まったけど」
「あの子が飲んだの? なんか話が別の方向に行ってしまっているわね」
「まぁ……エミール少年には悪いがエリック皇帝があの夜を境に変化したのは事実だよ」
「じゃあ…しばらくは様子見ね。こちらは?」
「そういう事だな」
夜が来ると、エミールはエリック皇帝の側に置いて貰う事が多くなった。
あれから媚薬など盛られた訳では無かったが。
「陛下……っ。はあっ…はあっ…すごく…甘い口づけ…!」
「下半身が盛り上がっているぞ? エミール」
「触って欲しいか…?」
「それとも、キスも欲しいか?」
「どっちも欲しい…かも」
「欲張りな──では今夜も手だけだな…」
「アアッ…アアッ…スゴイ…ッ! 陛下の手…温かくて…気持ちいい…っ」
「やれやれ。あれから媚薬は使ってないというのに…よく立つね…。夜が来ると欲情しているのだな」
「陛下の腕の中は…安心できるんです……まるでお父さんみたいな腕…」
「安心できる? 私に…?」
「そう言えば、エミールは気にならないのか? 私のこの痣……醜いとは…?」
「思いません。でも……不思議だな…とは何時も思います」
「不思議とは?」
「何故…そのような場所にあるのだろう…? と。つい…思ってしまうのです…」
「それはまだ話せないな。お前には」
少しだけ怒りを覚えたエリック皇帝は、しごく右手の強さを強くした。
激しく喘ぐエミール。
抗えない絶頂に導かれる。
「ご、ごめんなさい…! 陛下…! はあっ…アアッ…そんなにしないで…!」
「あそこから液が凄く出ている……気持ち良さそうだな──エミール」
「あうっ…そんなに…強く…握らないで…下さい…っ!」
「だめだ。夜伽ならもっと精力をつけろ。これ位で根を上げてどうする?」
「どうしたら精力なんてつくのですか?」
「エリオットの方が詳しく教えてくれるぞ。私より余程やりたがりだからな」
「あの宰相ですか?」
「すました顔をしているが、やたらと物識りだからな」
「何時も俺に憎まれ口叩いてますけど」
「それが宰相だからだろう。ああいった態度を取らないと威厳は保てないからな」
「その前に文句をつける前にお前も精力を付けろ。夜は長いのだから」
優しく諭しているが、その手は激しく彼を虐めていた。
エミールは狂乱のような快楽に囚われ、激しく絶頂へとまた昇った。
一体、この双子には何が隠されているのだろうか?
何故、エリック皇帝は女と交わろうとはしないのか?
何故、エリオットは進んで皇位へと行こうとしないのか? 宰相という立場を守るのか?
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