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第四章 ボクたちの町
第五十三話 少女の強行
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Szene-01 スクリアニア公国、ヴェルム城謁見部屋
「待て、待てと言っている! う、ぐ、ぐはっ」
対面していたスクリアニア公の背後へと床の一蹴りのみで回り込んだエールタインは、スクリアニア公の言葉を聞き入れることなく、密かにティベルダから受け取っていた氷の欠片を公爵の首に差し込んでゆく。
ダンは慌てて止めようと叫んだが、エールタインの手は止まらない。ダンはエールタインの元へと駆け寄り手首を掴んで言った。
「エール、そこまでだ。こいつとはまだ話をしなければならんことがある。話した後で町長から何かしらの指示が出るはずだ。町長がお前と同じ判断をした時、今お前がしようとしていることが叶うかもしれない。それまでは我慢してくれ」
「我慢? そんなのボクだけじゃなく、今まで町のみんながずっとしてきたことじゃないか。なのにこいつは性懲りもなく同じことをして、さらにみんなを苦しめようとしている。もう我慢なんてしないように終わらせるんだ!」
エールタインはダンに掴まれたままの手を強引に動かして、爆発してしまった感情をスクリアニア公にぶつけようとする。
ダンはさらに力が込められたエールタインの手を弟子より勝る力で離そうとするが、別の力に阻まれてエールタインを止めることができない。
「ティベルダ、お前!」
「すみません!」
ティベルダはエールタインの動きを真似た床蹴りで席から飛び出し、ダンに体当たりをした。
ダンは敵兵ではなく身内からの妨害に遭うという想定外の出来事が続け様に起きたため、掴んでいたエールタインの手首を離してしまう。
「エール様、止めて!」
ヘルマが立ち上がって叫んだが、阻むものが無くなったエールタインの手は改めて氷の欠片を差し込む。
「ふぐっ――」
スクリアニア公は全身から力が抜けて、椅子と共に床へと倒れ落ちた。
「閣下!?」
護衛兵が驚きと落胆が混ざった声を上げる。
エールタインは差し込んだ態勢のままで止まっているため、スクリアニア公が倒れたことにより赤く半透明な姿となった氷の欠片が現れた。
ヘルマは唇を噛んでエールタインを見つめ、ルイーサとヒルデガルドはスクリアニア公に付いている護衛兵の動きに備えてエールタインの傍へと駆け寄った。
ティベルダに抱き着かれたままのダンは、倒れたスクリアニア公からエールタインへと目線を動かして言った。
「エール、これでは話に来たことにならないぞ。お前は初めからこうするつもりだったのか?」
エールタインは溶けてゆく氷の破片を見つめたままで呟いた。
「あれ……ボク――」
鋭い目つきから普段町民を魅了している金色の瞳へと戻ったエールタインは、両手を小刻みに震わせて茫然と立ち尽くしている。
ダンを止める必要の無くなったティベルダは、目をオレンジ色に変えて震える主人の手を優しく包んで癒す。
「エール様、もう力を抜いていいんですよ。エール様が抜かなくても私が抜きますけど。町のみなさんに代わって動かれたのですから誰も責めたりしないですし、もし反対する人がいても私がお守りします。エール様は何も間違っていない、何も――」
エールタインを守ろうとヒルデガルドと共に敵兵と向かい合っているルイーサが言う。
「エールタイン、大丈夫? とりあえず町に帰るまでは意識をしっかり持ってちょうだい。兵士は目の前で君主が倒れたのだから、抵抗はしないはずだけど」
ルイーサはかりかりと音がするヒルデガルドの腰鞄をちらりと見て話を続ける。
「念のためアムレットを出しておきましょう。それなら絶対に手は出せないわ」
ヒルデガルドが腰鞄の蓋を開けてアムレットを解放すると、主人の肩へと駆け上がって大きく尻尾を振った。
スクリアニア兵はまるで示し合わせたように全員が体を震わせた。
「な、なぜ魔獣がいる!?」
一行と共にいたヴォルフは居館前で待機していると伝えられていた兵士は、誰もが思うであろう疑問を口にした。ルイーサは珍しくにやりと口角を上げて答える。
「魔獣なのだから、どこまで言い聞かせられるかなんてわからないわよ。今主人に甘えているのはリスの気まぐれ。全くの不可抗力よ」
アムレットに頬ずりをされているヒルデガルドがルイーサに言う。
「ルイーサ様、指示と説明に矛盾が生じていますが」
「あら、そう? どうあれこちらが優位ならそれでいいのよ」
ルイーサたちのやり取りを聞きつつ後頭部を掻きながら立ち上がったダンは、困惑している護衛兵に対して言った。
「さて、お前たちの主は見ての通りとなった。差し当たり武器を置いてもらおうか」
「くっ」
護衛兵は表情に悔しさを滲ませて剣の柄を強く握るが、エールタインを癒すティベルダの光る目とアムレットに懐かれているヒルデガルドを見て、剣を持つ手を緩めた。
剣が床の招きを受け入れて落下すると、次々に金属音を放ってその場に横たわった。
ティベルダは護衛兵が丸腰になった姿を確かめると、エールタインに話しかけた。
「エール様、もう落ち着きましたね」
「うん。大丈夫だと思ったんだけどなあ、思ったより衝撃的だったみたい」
「大丈夫な方が問題ですから。改めてエール様がお優しいご主人様だと分かって、私は今とても感激しています」
「ティベルダはボクのことをいっぱい褒めてくれるから照れちゃうよ。それで――」
ティベルダのヒールにより正気を取り戻したエールタインは、ティベルダと共に首から血を流して床に倒れているスクリアニア公を見た。
「では始めますけど、本当にするんですか?」
「まだ町長と話したり、やってもらわなきゃならないことがたくさんあるからね。ルイーサ、準備しようか」
話を振られたルイーサは少し乱れた髪を片手でかき上げ、わざと呆れたような態度で護衛兵が落とした剣を拾い、一本をエールタインに渡した。
「はいはい、ここまで見事にやり遂げられると喜びではなくため息が出てしまうわ。全てあなたの計画通りだなんて、私はとんでもない人を好きになったものね」
「えー、今さらそんなこと言わないでよ。ルイーサにはこんなことしないし」
「されるような関係になるつもりはさらさら無いのだけど。大事に扱ってちょうだい」
「それはもう……はい、大事にします」
「ふふ」
ダンは傍に来たヘルマに肩をすくめて尋ねる。
「どういうことかわかるか?」
「私にお聞きになる時点でダン様はお分かりなのでしょうけれど、全てエール様の企みだったのですね。ティベルダがスクリアニア公の傷を治し始めましたし、お二人は奪った剣を公爵に向けている……アムレットまで見せたのはルイーサ様のお考えだったようですが、魔獣を恐れるスクリアニアの民の動きを完全に封じました。私たちまで振り回されたことが少々悔しいところです」
「ああ、俺も弟子にしてやられたことが悔しいよ。だがこれは内緒だぞ、ヘルマ」
「ふふふ、承知しました」
Szene-02 スクリアニア公国、ヴェルム城居館内廊下
「すでに閣下が退路を確認されていたとは思いませんでした。もう何かが終わりを告げようとしているのかもしれませんね」
スクリアニア公に付いている執事は、退路を確かめるべく居館の奥地に作られた地下道の入り口へと足を運んだが、扉の番人からすでにスクリアニア公が自ら訪れたことを知らされて謁見部屋へと戻る途中だ。
早歩きで廊下を歩く執事は一人ぶつぶつと呟いていたが、謁見部屋の前に到着すると中の様子が妙な雰囲気であることに気付く。
「やはり会談が拗れているのでしょうか」
Szene-03 スクリアニア公国、ヴェルム城謁見部屋
執事は謁見部屋の扉を開き、足を一歩進めた。
「閣下!? こ、これは」
ダン一行は聞き覚えのある声の主を一斉に注目し、謁見部屋にいる者の中で唯一状況を知らない執事にダンがこれまでの経緯を説明した。
「信じられないことばかりですが、閣下は元の体に戻るのですね」
「やってもらうことは山ほどあるからな、こちらとしてもまだ残ってもらわねば困る」
執事はスクリアニア公に手をかざすティベルダを珍しそうに見つつ、今回の戦いが終わりを迎えたのだと実感した。
「待て、待てと言っている! う、ぐ、ぐはっ」
対面していたスクリアニア公の背後へと床の一蹴りのみで回り込んだエールタインは、スクリアニア公の言葉を聞き入れることなく、密かにティベルダから受け取っていた氷の欠片を公爵の首に差し込んでゆく。
ダンは慌てて止めようと叫んだが、エールタインの手は止まらない。ダンはエールタインの元へと駆け寄り手首を掴んで言った。
「エール、そこまでだ。こいつとはまだ話をしなければならんことがある。話した後で町長から何かしらの指示が出るはずだ。町長がお前と同じ判断をした時、今お前がしようとしていることが叶うかもしれない。それまでは我慢してくれ」
「我慢? そんなのボクだけじゃなく、今まで町のみんながずっとしてきたことじゃないか。なのにこいつは性懲りもなく同じことをして、さらにみんなを苦しめようとしている。もう我慢なんてしないように終わらせるんだ!」
エールタインはダンに掴まれたままの手を強引に動かして、爆発してしまった感情をスクリアニア公にぶつけようとする。
ダンはさらに力が込められたエールタインの手を弟子より勝る力で離そうとするが、別の力に阻まれてエールタインを止めることができない。
「ティベルダ、お前!」
「すみません!」
ティベルダはエールタインの動きを真似た床蹴りで席から飛び出し、ダンに体当たりをした。
ダンは敵兵ではなく身内からの妨害に遭うという想定外の出来事が続け様に起きたため、掴んでいたエールタインの手首を離してしまう。
「エール様、止めて!」
ヘルマが立ち上がって叫んだが、阻むものが無くなったエールタインの手は改めて氷の欠片を差し込む。
「ふぐっ――」
スクリアニア公は全身から力が抜けて、椅子と共に床へと倒れ落ちた。
「閣下!?」
護衛兵が驚きと落胆が混ざった声を上げる。
エールタインは差し込んだ態勢のままで止まっているため、スクリアニア公が倒れたことにより赤く半透明な姿となった氷の欠片が現れた。
ヘルマは唇を噛んでエールタインを見つめ、ルイーサとヒルデガルドはスクリアニア公に付いている護衛兵の動きに備えてエールタインの傍へと駆け寄った。
ティベルダに抱き着かれたままのダンは、倒れたスクリアニア公からエールタインへと目線を動かして言った。
「エール、これでは話に来たことにならないぞ。お前は初めからこうするつもりだったのか?」
エールタインは溶けてゆく氷の破片を見つめたままで呟いた。
「あれ……ボク――」
鋭い目つきから普段町民を魅了している金色の瞳へと戻ったエールタインは、両手を小刻みに震わせて茫然と立ち尽くしている。
ダンを止める必要の無くなったティベルダは、目をオレンジ色に変えて震える主人の手を優しく包んで癒す。
「エール様、もう力を抜いていいんですよ。エール様が抜かなくても私が抜きますけど。町のみなさんに代わって動かれたのですから誰も責めたりしないですし、もし反対する人がいても私がお守りします。エール様は何も間違っていない、何も――」
エールタインを守ろうとヒルデガルドと共に敵兵と向かい合っているルイーサが言う。
「エールタイン、大丈夫? とりあえず町に帰るまでは意識をしっかり持ってちょうだい。兵士は目の前で君主が倒れたのだから、抵抗はしないはずだけど」
ルイーサはかりかりと音がするヒルデガルドの腰鞄をちらりと見て話を続ける。
「念のためアムレットを出しておきましょう。それなら絶対に手は出せないわ」
ヒルデガルドが腰鞄の蓋を開けてアムレットを解放すると、主人の肩へと駆け上がって大きく尻尾を振った。
スクリアニア兵はまるで示し合わせたように全員が体を震わせた。
「な、なぜ魔獣がいる!?」
一行と共にいたヴォルフは居館前で待機していると伝えられていた兵士は、誰もが思うであろう疑問を口にした。ルイーサは珍しくにやりと口角を上げて答える。
「魔獣なのだから、どこまで言い聞かせられるかなんてわからないわよ。今主人に甘えているのはリスの気まぐれ。全くの不可抗力よ」
アムレットに頬ずりをされているヒルデガルドがルイーサに言う。
「ルイーサ様、指示と説明に矛盾が生じていますが」
「あら、そう? どうあれこちらが優位ならそれでいいのよ」
ルイーサたちのやり取りを聞きつつ後頭部を掻きながら立ち上がったダンは、困惑している護衛兵に対して言った。
「さて、お前たちの主は見ての通りとなった。差し当たり武器を置いてもらおうか」
「くっ」
護衛兵は表情に悔しさを滲ませて剣の柄を強く握るが、エールタインを癒すティベルダの光る目とアムレットに懐かれているヒルデガルドを見て、剣を持つ手を緩めた。
剣が床の招きを受け入れて落下すると、次々に金属音を放ってその場に横たわった。
ティベルダは護衛兵が丸腰になった姿を確かめると、エールタインに話しかけた。
「エール様、もう落ち着きましたね」
「うん。大丈夫だと思ったんだけどなあ、思ったより衝撃的だったみたい」
「大丈夫な方が問題ですから。改めてエール様がお優しいご主人様だと分かって、私は今とても感激しています」
「ティベルダはボクのことをいっぱい褒めてくれるから照れちゃうよ。それで――」
ティベルダのヒールにより正気を取り戻したエールタインは、ティベルダと共に首から血を流して床に倒れているスクリアニア公を見た。
「では始めますけど、本当にするんですか?」
「まだ町長と話したり、やってもらわなきゃならないことがたくさんあるからね。ルイーサ、準備しようか」
話を振られたルイーサは少し乱れた髪を片手でかき上げ、わざと呆れたような態度で護衛兵が落とした剣を拾い、一本をエールタインに渡した。
「はいはい、ここまで見事にやり遂げられると喜びではなくため息が出てしまうわ。全てあなたの計画通りだなんて、私はとんでもない人を好きになったものね」
「えー、今さらそんなこと言わないでよ。ルイーサにはこんなことしないし」
「されるような関係になるつもりはさらさら無いのだけど。大事に扱ってちょうだい」
「それはもう……はい、大事にします」
「ふふ」
ダンは傍に来たヘルマに肩をすくめて尋ねる。
「どういうことかわかるか?」
「私にお聞きになる時点でダン様はお分かりなのでしょうけれど、全てエール様の企みだったのですね。ティベルダがスクリアニア公の傷を治し始めましたし、お二人は奪った剣を公爵に向けている……アムレットまで見せたのはルイーサ様のお考えだったようですが、魔獣を恐れるスクリアニアの民の動きを完全に封じました。私たちまで振り回されたことが少々悔しいところです」
「ああ、俺も弟子にしてやられたことが悔しいよ。だがこれは内緒だぞ、ヘルマ」
「ふふふ、承知しました」
Szene-02 スクリアニア公国、ヴェルム城居館内廊下
「すでに閣下が退路を確認されていたとは思いませんでした。もう何かが終わりを告げようとしているのかもしれませんね」
スクリアニア公に付いている執事は、退路を確かめるべく居館の奥地に作られた地下道の入り口へと足を運んだが、扉の番人からすでにスクリアニア公が自ら訪れたことを知らされて謁見部屋へと戻る途中だ。
早歩きで廊下を歩く執事は一人ぶつぶつと呟いていたが、謁見部屋の前に到着すると中の様子が妙な雰囲気であることに気付く。
「やはり会談が拗れているのでしょうか」
Szene-03 スクリアニア公国、ヴェルム城謁見部屋
執事は謁見部屋の扉を開き、足を一歩進めた。
「閣下!? こ、これは」
ダン一行は聞き覚えのある声の主を一斉に注目し、謁見部屋にいる者の中で唯一状況を知らない執事にダンがこれまでの経緯を説明した。
「信じられないことばかりですが、閣下は元の体に戻るのですね」
「やってもらうことは山ほどあるからな、こちらとしてもまだ残ってもらわねば困る」
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