191 / 218
第四章 ボクたちの町
第三十七話 剣聖の気持ち
しおりを挟む
Szene-01 レアルプドルフ、ダン家
ダンとヘルマが防衛戦へと出かけた後のダン家では、ヨハナの家事をする音だけが響いていた。
「一人だけになるとやることが減っちゃうのよね。まだ時間はあるでしょうから、エール様とティベルダのベッドシーツを新しくしましょうか」
ヨハナは暖炉前へと向かおうとして玄関前で足を止め、扉へと振り返る。
「ヘルマ、今はダン様だけでなく、エール様もいるから大丈夫よね。あなたは寂しがりやだから、一緒にいてあげたい。けど、私はアウフ様の従者なので主人をお守りしないといけないから。今まで通り、場数を踏んだ経験で切り抜けるのよ。対スクリアニア戦は一度切り抜けているのだから、自信を持って。帰ったらたっぷりお話しましょうね」
ヨハナは軽く息を吐いてからふと天井を見上げる。
「アウフ様の周りもきれいにしておこうかな」
ベッドシーツの件を後回しにしたヨハナは、アウフリーゲンの墓へ向かう準備をするために踵を返して自室へと向かった。
Szene-02 レアルプドルフ、ブーズ町壁東側森中
部隊を前進させたスクリアニア軍は、ブーズを囲む町壁が目視できる場所に到着した。
壁役の剣士が盾を構えるのに合わせて、後方の弓隊も弓に矢を番えて町壁へと向ける。
小隊の足並みが揃ったところで、大隊長からの指示が小隊長へと波の様に伝わり、各所で矢が放たれる。
「持っている矢が無くなるまでひたすら射るのだ! 矢が無くなった者は手を挙げて待て」
Szene-03 レアルプドルフ、ブーズ町壁頂部
ブーズの民が築きあげた町壁には、雨の様に矢が降り注ぐ。矢による攻撃に備えて増築された壁の頂部では、矢が入り込まないように剣士たちが狭間を盾で塞いでいた。
「ちっ、あっという間に矢だらけになっちまう」
あちこちで剣士のぼやきが聞こえる中、ダンとヘルマは指示を出しつつ様子を見ていた。
弓矢の危険がありつつも、指示を出す者は壁の頂部で指揮を執ることが一般的な形。
ダンは多くの剣士に止められたが構わず、弓隊と剣士がごった返す中に混ざって声を掛け続けた。
「敵から放り込まれる矢はこちらへの補給と思えばいい。きれいに盾で受け止めて弓隊に渡せば、こちらからの矢が途切れることは無い。ありがたいだろ?」
「少々荒い渡し方だけど、それぐらいはスクリアニアのやることだから大目にみてやるか!」
剣士たちは盾で狭間の隙間を必死に塞ぎながらも笑い合う。
「あいつらに感謝する時が来るなんてな。それにしてもいつまで渡す気だよ、結構命がけで受け止めているから休まらねえ」
「盾の補給もしてくれると助かるんだが、欲張りってものか。おーい、新しい盾をありったけ持ってきてくれ」
ダンとヘルマは、盾に刺さった矢を抜く剣士を見ながら話している。
「少しは気が楽になっているといいが」
「ダン様が前線にいらっしゃるだけで士気は上がっています。もっと胸を張ってください。主人が堂々としていないと私ががっかりしてしまうじゃないですか」
「お、おう。いやな、エールの負傷が尾を引いてしまって、どうも無難な選択をするようになっている。剣士としてはよろしくない流れだ」
ヘルマはダンの話に耳を傾けつつ、目の合う剣士たちに向けて小さく会釈をしながら答えた。
「悪くはないでしょう。娘が大けがをしたのに気にしないような方なら、私は従者であることが苦痛になってしまいます。エール様のことをきっかけに部隊の被害を最小限にとどめようとするダン様は、紛うこと無き剣聖なのですよ」
ヘルマの話を聞いていたダンの目が、僅かな光を察知した。
「ふっ! 危なかった。怪我は無いか?」
剣士が狭間の隙間を失くすために盾で代わる代わる塞いでいるが、交代する際の一瞬を突いた矢が入り込んだ。
ダンはすり抜ける矢に気付き、自身の背中を盾にしてヘルマを両手で抱え込んだ。
「ダン様!?」
「どうした、どこかに当たったか?」
「いいえ、私は無事です……こうして守られているのですから。それよりダン様ですよ! 今背中に当たりませんでした?」
「お? 無傷だぞ、防具に当てたからな。それぐらいは俺にも出来る」
ヘルマはダンの胸板に拳を軽く当てて言った。
「従者の仕事を取らないでください。主人を助けるのが私の仕事なのに……剣聖に何かあったら私がみなさんに白い目で見られてしまうじゃないですか。ほんとに……もう」
ダンは頭の防具を叩いてから言う。
「怒られてもなあ、ヘルマに何かあると俺も白い目で見られるんだが」
忙しなく動く剣士たちは、ダンたちのやり取りをちらちらと気にしつつ聞き耳を立てて任務をこなす。
「剣聖は剣士の憧れであり、レアルプドルフにとって欠かせない存在。ヘルマさんも剣士にとって欠かせない存在なので、お互いに守り合っていてください! 英雄はすでにいらっしゃるので、お二人はとにかくご無事で!」
一人の矢を受け止める剣士から言葉を投げられたダンがヘルマに言う。
「なあヘルマ、アウフが英雄ならば俺も同じく英雄でありたいと思うんだが」
「剣聖が必要だと言われたではないですか。英雄の方はアウフ様に任せておいて、剣士様が安心できるように、ダン様は剣聖を続けていればよいかと。剣聖であることに不満を漏らしたら、みなさんに寝首をかかれますよ」
「おいおい、怖い事を言うなよ。ゆっくり眠れなくなるだろ」
「ではゆっくり眠ることができるようにしましょ、ダン剣聖様」
ヘルマはにこりと笑い、わざと可愛らしい声でダンに言った。
ヘルマの声を聞いた剣士と弓兵が一斉に二人へ目をやる。一瞬、飛んでくる矢すら止まったかと錯覚するほどの静寂が訪れたが、町壁の頂部は矢が盾に当たる音を機に元の忙しない空間へと戻った。
皆が感じた一瞬の静寂に気づかないダンは、微笑むヘルマを見つめて言った。
「ヨハナも待っていることだしな。よし! やはり皆の無事を優先する」
ダンは出来るだけ遠くへ聞こえるように声を張り上げる。
「いいか、自分の力だけでは辛いと感じたらすぐに助けを求めよ。複数人でも対応できないことがあれば俺に伝えてくれ、すぐに解決してやる」
「おおおお」
あちこちから感嘆の声が発せられ、部隊の動きに拍車がかかった。
「ヘルマ、これでいいか?」
「はい、みなさんの動きが明らかに変わったではないですか。これがダン様の影響力なのですよ。さあ、無事な立ち回りをしましょう」
ダンはヘルマの両肩を軽く掴んで言う。
「ふむ、ヘルマが納得したのなら良い。壁での防衛は何とかなりそうだが、壁の外にいるエールたちが心配だな」
「何かあればアムレットかヴォルフが走ってきますよ。たぶん何かある前に獣たちが助けてくれるでしょう」
「そういや魔獣も連れていたな。前回は魔獣の気に障ったことで思わぬ助っ人になったが今回は味方として戦いに混ざるのだから、世の中何が起こるかわからんものだな」
ダンとヘルマの脳裏に前回の戦いが過る中、町壁の頂部にはスクリアニアからの矢が積み上げられていった。
ダンとヘルマが防衛戦へと出かけた後のダン家では、ヨハナの家事をする音だけが響いていた。
「一人だけになるとやることが減っちゃうのよね。まだ時間はあるでしょうから、エール様とティベルダのベッドシーツを新しくしましょうか」
ヨハナは暖炉前へと向かおうとして玄関前で足を止め、扉へと振り返る。
「ヘルマ、今はダン様だけでなく、エール様もいるから大丈夫よね。あなたは寂しがりやだから、一緒にいてあげたい。けど、私はアウフ様の従者なので主人をお守りしないといけないから。今まで通り、場数を踏んだ経験で切り抜けるのよ。対スクリアニア戦は一度切り抜けているのだから、自信を持って。帰ったらたっぷりお話しましょうね」
ヨハナは軽く息を吐いてからふと天井を見上げる。
「アウフ様の周りもきれいにしておこうかな」
ベッドシーツの件を後回しにしたヨハナは、アウフリーゲンの墓へ向かう準備をするために踵を返して自室へと向かった。
Szene-02 レアルプドルフ、ブーズ町壁東側森中
部隊を前進させたスクリアニア軍は、ブーズを囲む町壁が目視できる場所に到着した。
壁役の剣士が盾を構えるのに合わせて、後方の弓隊も弓に矢を番えて町壁へと向ける。
小隊の足並みが揃ったところで、大隊長からの指示が小隊長へと波の様に伝わり、各所で矢が放たれる。
「持っている矢が無くなるまでひたすら射るのだ! 矢が無くなった者は手を挙げて待て」
Szene-03 レアルプドルフ、ブーズ町壁頂部
ブーズの民が築きあげた町壁には、雨の様に矢が降り注ぐ。矢による攻撃に備えて増築された壁の頂部では、矢が入り込まないように剣士たちが狭間を盾で塞いでいた。
「ちっ、あっという間に矢だらけになっちまう」
あちこちで剣士のぼやきが聞こえる中、ダンとヘルマは指示を出しつつ様子を見ていた。
弓矢の危険がありつつも、指示を出す者は壁の頂部で指揮を執ることが一般的な形。
ダンは多くの剣士に止められたが構わず、弓隊と剣士がごった返す中に混ざって声を掛け続けた。
「敵から放り込まれる矢はこちらへの補給と思えばいい。きれいに盾で受け止めて弓隊に渡せば、こちらからの矢が途切れることは無い。ありがたいだろ?」
「少々荒い渡し方だけど、それぐらいはスクリアニアのやることだから大目にみてやるか!」
剣士たちは盾で狭間の隙間を必死に塞ぎながらも笑い合う。
「あいつらに感謝する時が来るなんてな。それにしてもいつまで渡す気だよ、結構命がけで受け止めているから休まらねえ」
「盾の補給もしてくれると助かるんだが、欲張りってものか。おーい、新しい盾をありったけ持ってきてくれ」
ダンとヘルマは、盾に刺さった矢を抜く剣士を見ながら話している。
「少しは気が楽になっているといいが」
「ダン様が前線にいらっしゃるだけで士気は上がっています。もっと胸を張ってください。主人が堂々としていないと私ががっかりしてしまうじゃないですか」
「お、おう。いやな、エールの負傷が尾を引いてしまって、どうも無難な選択をするようになっている。剣士としてはよろしくない流れだ」
ヘルマはダンの話に耳を傾けつつ、目の合う剣士たちに向けて小さく会釈をしながら答えた。
「悪くはないでしょう。娘が大けがをしたのに気にしないような方なら、私は従者であることが苦痛になってしまいます。エール様のことをきっかけに部隊の被害を最小限にとどめようとするダン様は、紛うこと無き剣聖なのですよ」
ヘルマの話を聞いていたダンの目が、僅かな光を察知した。
「ふっ! 危なかった。怪我は無いか?」
剣士が狭間の隙間を失くすために盾で代わる代わる塞いでいるが、交代する際の一瞬を突いた矢が入り込んだ。
ダンはすり抜ける矢に気付き、自身の背中を盾にしてヘルマを両手で抱え込んだ。
「ダン様!?」
「どうした、どこかに当たったか?」
「いいえ、私は無事です……こうして守られているのですから。それよりダン様ですよ! 今背中に当たりませんでした?」
「お? 無傷だぞ、防具に当てたからな。それぐらいは俺にも出来る」
ヘルマはダンの胸板に拳を軽く当てて言った。
「従者の仕事を取らないでください。主人を助けるのが私の仕事なのに……剣聖に何かあったら私がみなさんに白い目で見られてしまうじゃないですか。ほんとに……もう」
ダンは頭の防具を叩いてから言う。
「怒られてもなあ、ヘルマに何かあると俺も白い目で見られるんだが」
忙しなく動く剣士たちは、ダンたちのやり取りをちらちらと気にしつつ聞き耳を立てて任務をこなす。
「剣聖は剣士の憧れであり、レアルプドルフにとって欠かせない存在。ヘルマさんも剣士にとって欠かせない存在なので、お互いに守り合っていてください! 英雄はすでにいらっしゃるので、お二人はとにかくご無事で!」
一人の矢を受け止める剣士から言葉を投げられたダンがヘルマに言う。
「なあヘルマ、アウフが英雄ならば俺も同じく英雄でありたいと思うんだが」
「剣聖が必要だと言われたではないですか。英雄の方はアウフ様に任せておいて、剣士様が安心できるように、ダン様は剣聖を続けていればよいかと。剣聖であることに不満を漏らしたら、みなさんに寝首をかかれますよ」
「おいおい、怖い事を言うなよ。ゆっくり眠れなくなるだろ」
「ではゆっくり眠ることができるようにしましょ、ダン剣聖様」
ヘルマはにこりと笑い、わざと可愛らしい声でダンに言った。
ヘルマの声を聞いた剣士と弓兵が一斉に二人へ目をやる。一瞬、飛んでくる矢すら止まったかと錯覚するほどの静寂が訪れたが、町壁の頂部は矢が盾に当たる音を機に元の忙しない空間へと戻った。
皆が感じた一瞬の静寂に気づかないダンは、微笑むヘルマを見つめて言った。
「ヨハナも待っていることだしな。よし! やはり皆の無事を優先する」
ダンは出来るだけ遠くへ聞こえるように声を張り上げる。
「いいか、自分の力だけでは辛いと感じたらすぐに助けを求めよ。複数人でも対応できないことがあれば俺に伝えてくれ、すぐに解決してやる」
「おおおお」
あちこちから感嘆の声が発せられ、部隊の動きに拍車がかかった。
「ヘルマ、これでいいか?」
「はい、みなさんの動きが明らかに変わったではないですか。これがダン様の影響力なのですよ。さあ、無事な立ち回りをしましょう」
ダンはヘルマの両肩を軽く掴んで言う。
「ふむ、ヘルマが納得したのなら良い。壁での防衛は何とかなりそうだが、壁の外にいるエールたちが心配だな」
「何かあればアムレットかヴォルフが走ってきますよ。たぶん何かある前に獣たちが助けてくれるでしょう」
「そういや魔獣も連れていたな。前回は魔獣の気に障ったことで思わぬ助っ人になったが今回は味方として戦いに混ざるのだから、世の中何が起こるかわからんものだな」
ダンとヘルマの脳裏に前回の戦いが過る中、町壁の頂部にはスクリアニアからの矢が積み上げられていった。
0
お気に入りに追加
51
あなたにおすすめの小説
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
いらないと言ったのはあなたの方なのに
水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。
セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。
エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。
ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。
しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。
◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬
◇いいね、エールありがとうございます!
アレク・プランタン
かえるまる
ファンタジー
長く辛い闘病が終わった
と‥‥転生となった
剣と魔法が織りなす世界へ
チートも特典も何もないまま
ただ前世の記憶だけを頼りに
俺は精一杯やってみる
毎日更新中!
ヒメサマノヒメゴト2〜殺し屋の姫、孕むまで終わらぬ臣下との交情〜
こうしき
恋愛
「毎日必ず三度は交わって、跡継ぎを成せ──」
殺し屋の治める国 ファイアランス王国では、国王エドヴァルドをはじめ、多くの者たちが失明した後に命を失う「血眼病(けつがんびょう)」という病に罹患していた。
片目が失明し、最早これまでと死後を悟ったエドヴァルドは、次期国王にして第二王女のアンナに一刻も早く子を成すよう命令を下す。
アンナの婚約者 エリックが長期出張で不在の中、アンナの相手にと抜擢されたのは、彼女の臣下で従兄のシナブルだった。
長年、アンナを思い続けていたシナブルと、彼のことを男として意識をしてこなかったアンナが交わるのを、「きちんと膣に射精しているかどうか」監視するよう命じられたのはシナブルの兄 ルヴィス。
主と臣下、期限付きの性交期間。日に三度も交わり続ける二人の関係は、歪なものに形を変えてゆく──。
全5話+おまけ予定です
────────
この作品は、「英雄と呼ばれた破壊者の創るこの世界で」のヒロイン アンナと、臣下シナブルの56話以降に出てきた過去設定を書いたものです(英はかの1話時からは10年前の出来事で、華々の乱舞1話時からは12年後のお話です)。「華々の乱舞」でこの前後の話が出てきますが、まだそこにまで至っておりません。
作者が書きたかった為、先に出してしまうこととなりました……。
前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています
矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜
――『偽聖女を処刑しろっ!』
民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。
何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。
人々の歓声に包まれながら私は処刑された。
そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。
――持たなければ、失うこともない。
だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。
『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』
基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。
※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)
森蘭丸の弟、異世界に渡る<本能寺から異世界へ。文化も人体も違うところで色々巻き込まれ、恋も知る?>
天知 カナイ
BL
【三章完結しました】本能寺の夜、信長と兄乱法師(森蘭丸はこちらの名を使っています)の痴態を見てしまう、森力丸長氏。美しい兄の乱れた姿に驚きながらも、情愛がのる閨事とはどういうものか、考えながら眠りにつく。だがその後本能寺の変が起こり、力丸(リキ)も戦うのだがその途中で異世界に飛ばされる。
【三章開始時点でこちらの内容を変更しました】
飛ばされた先でアヤラセという若者に出会い愛し合うようになるが、リキが性交(セックス)することによってどんどん色々な事が変化することになり戸惑いを感じてしまう。
アヤラセに執着する兄ライセン、アヤラセの親であるランムイとヤルルア、そして異様な過程で生まれた新生物ユウビなど、様々な人々と関わり時に運命に翻弄されながら、飛ばされた世界で必死に生きていく。
セックスありきで話が展開する部分がありますので、今見てみると結構エロ展開があります(三章1話現在)。独自設定があります。この世界の人たちは雌雄同体です。全員陰茎ありですし主人公は男なのでBLにしています。また、女の人同志的に読める展開もありますし、進行上残酷、凌辱シーンもあります。
最終的にはハッピーエンドになる予定です!
ひとりぼっちのぼくが異世界で公爵さまに溺愛されています
波木真帆
BL
<最終章完結しました!ただいま番外編を随時更新中です!>
これにて本編完結となります。
今まで読んで頂きありがとうございます!
これからは番外編を随時更新していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします♫
<あらすじ>
中学を卒業した日、花村 柊は母親に捨てられた。
生きるために一生懸命働いていたが、ある時事件が起きて仕事をクビになってしまう。
疲れ果てた柊が公園のベンチでうたた寝をしているうちに知らない世界へ迷い込んでしまった。
そこで出会ったのはイケメンの公爵さま。
事情を話すと彼の秘書として雇ってもらうことに…。
しかし、公爵さまには別の思惑があって…。
紆余曲折を経て恋人になった柊と公爵フレッドはあるものを探しに王都へ。
ところが王城でとんでもないことに巻き込まれて……。
R18には※付けます。
第一章 出逢い〜両想い編 完結
第二章 恋人編 完結
第三章 王都への旅〜王城編 完結
第四章 王城 過去編 完結
第五章 王城〜帰郷編 完結
最終章 領地での生活編 完結
別視点で交互に話が進みます。
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる