【総集編】 時代短編集

徳川埋蔵金 II

将軍が家臣を集めて言った。

「日の本のどこかに、
　莫大な埋蔵金が
　埋まっているという情報を流せ。国中にだ。」


家臣は答えた。

「お言葉ですが、真意がわかりかねまする。
　そのような根も葉もない戯れ事、
　何の役に立ちましょうか。」



将軍は答えた。

「幕府の財政が良くないことを知っているだろう。
　
　これよりさらに厳しい時代となる。
　飢饉も起こる。民は苦労を強いられる。

　浮ついた話の1つもなくてはな。
　国を挙げたお宝探し大会だ。」



家臣は答える。

　「それならば、これより、
　　国のどこかに宝を埋め、
　　見つけた幸運な者を作るという事ですか。」



「いや、そのような気はない。
　財政は厳しい。噂だけ流すのだ。

　例えそれでも、希望が
　有るのと無いのとでは大違いだ。

　いやむしろ、見つからぬ方が良い…」