ジョン船長の日記 【週間連載長編作品】

情報屋スティーヴの記録

情報屋スティーヴの記録1 part2

「そうやって詐欺を働いているうちに、
　未開の星を哀れに思う奴もいたようでな。」



「そんな人間が…」



「まぁ、不思議なことではないよ。
　
　火の使い方を知らない。
　そこらへんの植物を摘み、
　毒に殺られる者もいる。

　そんな彼等が、神と信じ
　真っ直ぐについてくるんだ。

　責任感と、自覚という物が、
　芽生えるんじゃないかな。」




「そうは言っても、嘘じゃないか。」




「まぁ、それはそうなのだが、
　そいつらは、未開人を働かせる傍ら、
　現地では遂に神として活動し始めるんだ。

　自分の持つそれぞれの知識を伝え、
　人々の生活を向上させるよう導く…」






「詐欺師が、神となったとは笑える話だな。
　ハハハ。」




「きっと考えたはずだぞ。

　俺はきちんとこいつらを導けるのか。

　出来なければ、
　俺は詐欺師。所詮偽りの神だ。とな。

　おかしな話だ。」



私は、そう言った彼と、楽しく笑った。






しかし、後々考える。

けど、これ、皆そうじゃないか。
ある日突然、型に押し込まれ、
働く誰もが考える。


自分は本物なのか。　偽物なのか。



詐欺とは、実は普遍的で
全ての基盤となる物ではないのか。
だからこそ、この世に詐欺は無くならない…