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第2部 ハウス・デュマー
15.空の漏斗(後編)
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口から飛び出した声がおかしな調子でかすれた。マスターは一瞬不思議そうな顔をして、次にひどく慌てた様子になる。
「ちがうの? ごめん、じゃあ――僕はてっきり」
「何回くらい?」俺は早口でたずねた。
「えっと……先月、週一回くらいかな? 平日にスーツだし、時間はバラバラだし、ひとりで車だし、仕事のついでに会いに来てると思いこんでいたよ」
「おい」
黒崎さんが低い声でぼそっといった。
「いつもそうだが、おまえの好奇心と早合点は――」
「災いのもと? ごめん、自分の勘を信用しすぎた。この店は常連ばかりだから、たまに違う感じの人がいると記憶に残るんだよ。何しろ平日は学生か教授連中がほとんどじゃない? 最近は例の彼だけじゃなくて他にも……」
俺は遠くで黒崎さんとマスターの会話を聞きながら、奇妙なショックを受けていた。でもいったい何にショックを受けているのかが自分でもよくわからなかった。単に、うっかりすれ違うかもしれないくらい近くに藤野谷がいたと、今になって知っただけの話にすぎないのに。
「ゼロ?」
「ああ、気にしないで」
俺は財布から札を出した。
「暖まったし、帰ります」
「ごめん、なんか勘違いしてて」
キノネを出るとき、マスターと黒崎さんは並んで立ち、そろって俺の方を気がかりな顔つきで見ていた。俺は笑ってヘルメットをかぶり、手を振った。
コーヒーと一緒に飲んだわずかなウイスキーが体を熱くする。中和剤のパッチを貼ったあたりが少し痒い。季節の変わり目はかぶれやすいのだ。まだ夜中というほど遅くない時間で、車はそれなりに走っている。俺は慎重にペダルをこいだ。操作パネルが光り、バッテリーの残量を示す。家に帰るまではもつだろう。
街灯がぽつぽつと道を照らす中、ロードバイクのLEDライトが光の筋を作った。信号が変わる。黄色。赤。青。ぼんやりしていたつもりはなかったが、肌の痒みがもっと気になってきた。体が暖かいせいかもしれない。多少いらつきながらゆるい上りのカーブを曲がる。この先は下りになる。明るい時間なら問題はないが、道幅は狭く、ガードレールは要所にしかない。
カーブの先にトラックのライトがみえた。
対向車線とはいえ大型車は怖い。俺は体を傾けて道路脇すれすれに寄った。このあたりはずっと、道の片側は凸凹にコンクリートで固めたのり面に覆われている。後ろからも車の音がする。
とその時、LEDライトの光の中に影がみえた。犬だ。それに引き綱を持った人。
スピードを落とそうと思った瞬間ペダルに置いたはずの足が空を踏んだ。俺は思わずフロントブレーキを握り、即座にしまったと思った。前輪に突然ロックがかかり、路面の砂を噛んだタイヤがずるりとすべった。
クラクションを鳴らしながら前方からトラックが通りぬけ、俺の後ろの車がガードレールの横をすり抜けた。犬が吠える。後輪が浮いてロードごと前転する。
一瞬ふわっと体が浮いた気がしたが、路面に倒れたわけではなかった。俺はサドルから放り出され、のり面に左半身を大きく打ちつけて止まった。胸の下あたりに痛みが走り、ハンドルが手から逃げる。ロードが転がってガチャン、と大きな音がした。
犬が吠えていた。
ヘルメットがずれている。俺はよろよろと立つ。頭は打たなかったようだ。ヒリヒリした痛みが手首に走り、コンクリートですりむいたな、と思う。グローブをはめた手は無事だ。
「大丈夫ですか?」
中年の男性が犬を叱り、俺に話しかけている。
車が通らないことにほっとした。俺はうなずいた。男性には漠然としか記憶がないが、白い毛の長い犬なら覚えていた。朝ここを走った時、何度か遭遇したことがあるのだ。
「大丈夫です。すみません」
「うちのせいで転んじゃったのでは? 脅かしてしまって」
「俺が勝手に転んだだけです。タイミングが悪くて」
俺は転がったロードバイクへよちよちと歩いた。心臓がばくばくいい、脇腹や左肩、腰に違和感があって、足首も少し変だが、激痛というほどではない。
ぱっとみてロードバイクは俺よりも重症のように思えた。俺の代わりにガードレールに激突したようなものだ。
「ほんとうに大丈夫ですか? 救急車とか……」
「いえ、大丈夫ですから」
俺は首を振った。
「家は近いので、帰って消毒します」
「暗いからよく見えないけど、早く病院に行った方がいいですよ。うちも近いし、ここで待ってもらえれば戻ってくるから、車を出しましょう」
「いえ、ほんとうに大丈夫です。ありがとう」
急激に恥ずかしさがつのってきて、俺は重ねて断った。
「一度帰ります」
男は首をかしげたが、犬がさらに何度か吠え、俺がもう一度固辞すると、じゃあ……と行って、道を先に進んだ。
俺はロードを起こして様子をみた。もっと早くメンテナンスに出せばよかったと後悔した。ブレーキの調整がまずかったのだろう。効きすぎても効かなくてもまずいのだ。
ひとまえで転ぶなど子供の頃以来だった。あらためて道を眺め、俺はぞっとした。ガードレールが少し先で切れていた。もしここで転んでいたら、のり面ではなく車道へ投げ出されて後続車に轢かれていたかもしれない。
そうならなかったのなら、少しはましだ。
俺はロードバイクを押しながら歩きはじめた。ヘルメットのストラップを締め直そうとしたが、手が震えてうまくいかない。あきらめて脱ぎ、ハンドルにぶら下げた。ウエストポーチも邪魔な気がして、はずして車体にひっかける。とぼとぼ歩いたが、電動アシストの重さはこういうときは仇になる。
フレームやタイヤ、モーターや精密機械の損傷は戻ってから確認するほかはない。LEDライトは割れていなかった。街灯の光とライトの光が重なって縞になるのを眺めながら淡々と歩く。
きっと転んだショックでアドレナリンが出たのだろう。のろのろ歩きとはいえ、それ以外は平気だった。やがてコンクリートで擦った首や肩がズキズキしはじめた。息をするたび脇腹がひくひく痛み、足首や股のあたりもおかしいようだ。背中に冷たい汗をかいているのがわかった。
やせ我慢はよくないな、とぼんやり思った。やはりさっきの人に車を出してもらうよう頼めばよかった。うしろから車の音が聞こえ、数台のヘッドライトが俺を追い越していく。道はゆるやかに登りに変わっている。
前方で俺を追い越した車のハザードランプが光って、なめらかに路肩に寄ると、停止した。
俺はあいかわらずロードを押してのろのろと歩いていたが、急に、ここまでの道でほとんど感じなかった恐怖が襲ってきた。この峠道には、何十年も昔はいわゆる「走り屋」がたくさんいたというが、最近はそんな話は聞かない。
ともあれこれ以上の面倒はごめんだ。俺は家に帰って体を洗い、擦り傷の様子を見て、休まなければいけない。
それともこの車は親切で止まってくれたのかもしれない。
LEDライトの光の縞に車体の深く鮮やかな青色が浮かび上がる。
運転席と助手席、両方のドアがはねあがるように、同時に開いた。
俺は立ち止まった。ちらちらと光が落ちてくる。粉雪や星が光っているみたいに。光の粒はふわっと伸びあがってはこちらめがけて降ってくる。俺が目線を動かすと光も動いた。夜の藍色にまじって、俺にしかみえない色が舞っている。その色は俺の方へ向かって流れ、瞬きながら渦を描いて俺を包もうとする。
「サエ!」
耳元で声がきこえ、俺はよく知った匂いに包まれていた。藤野谷が俺の肩をささえている。
「ちがうの? ごめん、じゃあ――僕はてっきり」
「何回くらい?」俺は早口でたずねた。
「えっと……先月、週一回くらいかな? 平日にスーツだし、時間はバラバラだし、ひとりで車だし、仕事のついでに会いに来てると思いこんでいたよ」
「おい」
黒崎さんが低い声でぼそっといった。
「いつもそうだが、おまえの好奇心と早合点は――」
「災いのもと? ごめん、自分の勘を信用しすぎた。この店は常連ばかりだから、たまに違う感じの人がいると記憶に残るんだよ。何しろ平日は学生か教授連中がほとんどじゃない? 最近は例の彼だけじゃなくて他にも……」
俺は遠くで黒崎さんとマスターの会話を聞きながら、奇妙なショックを受けていた。でもいったい何にショックを受けているのかが自分でもよくわからなかった。単に、うっかりすれ違うかもしれないくらい近くに藤野谷がいたと、今になって知っただけの話にすぎないのに。
「ゼロ?」
「ああ、気にしないで」
俺は財布から札を出した。
「暖まったし、帰ります」
「ごめん、なんか勘違いしてて」
キノネを出るとき、マスターと黒崎さんは並んで立ち、そろって俺の方を気がかりな顔つきで見ていた。俺は笑ってヘルメットをかぶり、手を振った。
コーヒーと一緒に飲んだわずかなウイスキーが体を熱くする。中和剤のパッチを貼ったあたりが少し痒い。季節の変わり目はかぶれやすいのだ。まだ夜中というほど遅くない時間で、車はそれなりに走っている。俺は慎重にペダルをこいだ。操作パネルが光り、バッテリーの残量を示す。家に帰るまではもつだろう。
街灯がぽつぽつと道を照らす中、ロードバイクのLEDライトが光の筋を作った。信号が変わる。黄色。赤。青。ぼんやりしていたつもりはなかったが、肌の痒みがもっと気になってきた。体が暖かいせいかもしれない。多少いらつきながらゆるい上りのカーブを曲がる。この先は下りになる。明るい時間なら問題はないが、道幅は狭く、ガードレールは要所にしかない。
カーブの先にトラックのライトがみえた。
対向車線とはいえ大型車は怖い。俺は体を傾けて道路脇すれすれに寄った。このあたりはずっと、道の片側は凸凹にコンクリートで固めたのり面に覆われている。後ろからも車の音がする。
とその時、LEDライトの光の中に影がみえた。犬だ。それに引き綱を持った人。
スピードを落とそうと思った瞬間ペダルに置いたはずの足が空を踏んだ。俺は思わずフロントブレーキを握り、即座にしまったと思った。前輪に突然ロックがかかり、路面の砂を噛んだタイヤがずるりとすべった。
クラクションを鳴らしながら前方からトラックが通りぬけ、俺の後ろの車がガードレールの横をすり抜けた。犬が吠える。後輪が浮いてロードごと前転する。
一瞬ふわっと体が浮いた気がしたが、路面に倒れたわけではなかった。俺はサドルから放り出され、のり面に左半身を大きく打ちつけて止まった。胸の下あたりに痛みが走り、ハンドルが手から逃げる。ロードが転がってガチャン、と大きな音がした。
犬が吠えていた。
ヘルメットがずれている。俺はよろよろと立つ。頭は打たなかったようだ。ヒリヒリした痛みが手首に走り、コンクリートですりむいたな、と思う。グローブをはめた手は無事だ。
「大丈夫ですか?」
中年の男性が犬を叱り、俺に話しかけている。
車が通らないことにほっとした。俺はうなずいた。男性には漠然としか記憶がないが、白い毛の長い犬なら覚えていた。朝ここを走った時、何度か遭遇したことがあるのだ。
「大丈夫です。すみません」
「うちのせいで転んじゃったのでは? 脅かしてしまって」
「俺が勝手に転んだだけです。タイミングが悪くて」
俺は転がったロードバイクへよちよちと歩いた。心臓がばくばくいい、脇腹や左肩、腰に違和感があって、足首も少し変だが、激痛というほどではない。
ぱっとみてロードバイクは俺よりも重症のように思えた。俺の代わりにガードレールに激突したようなものだ。
「ほんとうに大丈夫ですか? 救急車とか……」
「いえ、大丈夫ですから」
俺は首を振った。
「家は近いので、帰って消毒します」
「暗いからよく見えないけど、早く病院に行った方がいいですよ。うちも近いし、ここで待ってもらえれば戻ってくるから、車を出しましょう」
「いえ、ほんとうに大丈夫です。ありがとう」
急激に恥ずかしさがつのってきて、俺は重ねて断った。
「一度帰ります」
男は首をかしげたが、犬がさらに何度か吠え、俺がもう一度固辞すると、じゃあ……と行って、道を先に進んだ。
俺はロードを起こして様子をみた。もっと早くメンテナンスに出せばよかったと後悔した。ブレーキの調整がまずかったのだろう。効きすぎても効かなくてもまずいのだ。
ひとまえで転ぶなど子供の頃以来だった。あらためて道を眺め、俺はぞっとした。ガードレールが少し先で切れていた。もしここで転んでいたら、のり面ではなく車道へ投げ出されて後続車に轢かれていたかもしれない。
そうならなかったのなら、少しはましだ。
俺はロードバイクを押しながら歩きはじめた。ヘルメットのストラップを締め直そうとしたが、手が震えてうまくいかない。あきらめて脱ぎ、ハンドルにぶら下げた。ウエストポーチも邪魔な気がして、はずして車体にひっかける。とぼとぼ歩いたが、電動アシストの重さはこういうときは仇になる。
フレームやタイヤ、モーターや精密機械の損傷は戻ってから確認するほかはない。LEDライトは割れていなかった。街灯の光とライトの光が重なって縞になるのを眺めながら淡々と歩く。
きっと転んだショックでアドレナリンが出たのだろう。のろのろ歩きとはいえ、それ以外は平気だった。やがてコンクリートで擦った首や肩がズキズキしはじめた。息をするたび脇腹がひくひく痛み、足首や股のあたりもおかしいようだ。背中に冷たい汗をかいているのがわかった。
やせ我慢はよくないな、とぼんやり思った。やはりさっきの人に車を出してもらうよう頼めばよかった。うしろから車の音が聞こえ、数台のヘッドライトが俺を追い越していく。道はゆるやかに登りに変わっている。
前方で俺を追い越した車のハザードランプが光って、なめらかに路肩に寄ると、停止した。
俺はあいかわらずロードを押してのろのろと歩いていたが、急に、ここまでの道でほとんど感じなかった恐怖が襲ってきた。この峠道には、何十年も昔はいわゆる「走り屋」がたくさんいたというが、最近はそんな話は聞かない。
ともあれこれ以上の面倒はごめんだ。俺は家に帰って体を洗い、擦り傷の様子を見て、休まなければいけない。
それともこの車は親切で止まってくれたのかもしれない。
LEDライトの光の縞に車体の深く鮮やかな青色が浮かび上がる。
運転席と助手席、両方のドアがはねあがるように、同時に開いた。
俺は立ち止まった。ちらちらと光が落ちてくる。粉雪や星が光っているみたいに。光の粒はふわっと伸びあがってはこちらめがけて降ってくる。俺が目線を動かすと光も動いた。夜の藍色にまじって、俺にしかみえない色が舞っている。その色は俺の方へ向かって流れ、瞬きながら渦を描いて俺を包もうとする。
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