魔法力士（旧タイトル: ギルドに冒険者登録しに行ったら、なれる職業が魔法力士しかなかった）

第七十九話 頼んだ理由

　カンタロウはほっとしたのか、顔が少し和やわらぐ。

「あの～カンタロウさん？」

「なんだ、タケシ？」

「今更こんなこと聞くのもなんですが、なんで俺らに頼んだんですか？」

「理由はいくつかあるが、二人ならサチに対して変なことをしないと思ったからだ。あと･･････」

「あと？」

「･･････二人はサチをどんな奴だと思った？」

　タケシとヒロキは顔を合わせて、

「騙されやすい」

「疑うことを知らない純粋な娘」

　ヒロキとタケシがはっきりと答える。

「そう。騙されやすく疑うことを知らない純粋な奴･･････それがサチだ。そういった部分を含め、正直このクエストを一人でやらせるのは心配でな」

「確かに」

「わからなくはないです」

「サチのことをある程度知ったおまえらなら、頼めると思ってな」

「わかりました。ただ、少しでも連携がとれるようにカンタロウさんが知ってる限りでいいので、サチのことを教えて下さい」

　とヒロキがカンタロウに頼む。

「わかった。俺が知る限りのことを教える。その代わり、サチのことは頼むぞ！」

「はい」

　ヒロキとタケシが返事をする。