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第三十七話 実家にて〜その四

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「いや、うちのアパートがこの近くで・・・・・・」

「そうだったんですか?・・・・・・そういえば、健太君は?」

「あ~健太でしたら──」

 スマホを取り出し、画面を見せる。

「姉──両親と千葉のワンニャーランドに行ってます」

「えっ⁉でも、土日は仕事だって・・・・・・」

 登が頭を抱えて、

「騙されたんです」

「え?」

「昨日、アパートに帰ったら中で待ち伏せしていて、驚いたよ」

「なんで、そんなことを?」

「健太を驚かせたかったのと喜ばせたかったんだってさ。まあ、健太は驚いて喜んでたけど」

「でも、よかったですね。健太君、両親と一緒にお出かけできて」

「まあ、はい」

 登が千冬に気づき、

「その娘は?」

「ああ、うちのお母さんの従姉弟の娘さんで──」

「・・・・・・はじめまして北海千冬、五歳です」

 登はかかんで、

「千冬ちゃんか・・・・・・歳のわりにしっかりしてるな」

 そう言いながら、千冬の頭をなでる。すると千冬が、

「・・・・・・ありがとうございます」

 頬を少し赤くしながら、お礼を言う。

 幸は卵を手にして、登の顔を見ていると、登と目が合う。

「どうしました?」

「ああ、いえ」

 幸は頬を少し赤くする。

「すみません。お母さん達がお昼待ってるので、これで・・・・・・」

「ああ、はい」

 幸は千冬を連れて、レジに向かった。

 しばらくして、コンビニを出て、幸は卵を入れた袋を持ち、千冬と手を繋いで歩いていた。

「ねえ、幸姉」

「何?」
 
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