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第一話 十五年後─

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 十五年後の夜──

 幸は幼稚園の更衣室で私服に着替えていた。

「幸ちゃん、今日はなんだか嬉しそうね」

 二十代後半の垂れ目の女性が幸に話しかける。

「えっそう見えますか?」

「うん。もしかして、今から彼氏とデート?」

「ああ・・・・・・はい。二十時に食事の約束していて・・・・・・」

「そっか~。それは楽しみねぇ」

「はい。駿河さんが連れてってくれるお店はハズレがないので、正直とても楽しみで」

「それはいいわね。うちの旦那の時は半分以上ハズレだったわ」

「そうなんですか・・・・・・そういえば、舞さんは旦那さんとはどれくらい付き合って結婚したんですか?」

「あたしはね~二年くらいかしら」

「そうですか・・・・・・」

「幸ちゃんは付き合って三ヶ月くらいかしら?」

「はい」

「けど、どれくらいで結婚するかなんて人それぞれだから、あまり気にしないほうがいいわよ」

「はい、ありがとうございます」

「・・・・・・ちなみに駿河さんとはどこまでいってるの?」

「えっ・・・・・・言うの恥ずかしいので、ご想像にお任せします」

「もう、幸ちゃんったら。ふふ」

 正直、まだキスまでしかしてないけど、今日あたりもしかしたら・・・・・・一度、家に帰っていろいろ準備しよう。

「でも、前に幸ちゃんに写真見せてもらったけど、なかなかかっこいい人だったね、性格はどんな感じなの?」

「そうですね・・・・・・誠実で優しくて、気が利く人ですかね」

「そ~それはよかったわ。今度は大丈夫そうね」

「はい・・・・・・」

 うん。今度は大丈夫・・・・・・のはず、いや大丈夫と心の中で自分に言い聞かせる幸。

「では、お先に上がります。お疲れ様でした」

「お疲れ~ああ、幸ちゃん!」

「はい?」

「頑張ってね!」

 舞はそう言って、右手でガッツポーズを作る。

「はい。ありがとうございます!」

 幸も片手でガッツポーズを作り、笑顔で更衣室を出ていく。

 

 
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