6 / 10
第六話
しおりを挟む
「はぁ・・・。」零司は支度をして仕事に出掛けた。
仕事の休憩中 夏帆からの連絡があった。
「もしもしー」
「あ、零司くん。仕事お疲れー」零司は夏帆の声を聞いて顔を綻ばせた。
「あのさ、今日会えたりする?一緒にご飯でも・・・」
「・・ごめんね、今日ちょっとバイト忙しくて。」
「そっか・・。分かった、じゃあまた今度。」休憩時間が終わりに差し掛かり、零司は慌てて電話を切った。バイト先の先輩が休憩室に入ってきた。
「もしかして彼女?いいねぇ、俺にも誰か紹介しろよー」先輩に冷やかされて零司は顔を赤くした。先輩は零司の3つ上の22歳だった。
「そ、そんなんじゃないですよ。聖夜先輩こそ彼女いないんすか。」
「俺に彼女なんているように見えるかー?まぁ最近狙ってるかわいい女子はいるよ。昨日合コンで出会ってさー。めっちゃかわいいの。」
「そうですか、頑張ってください。俺夜シフト入ってないんで帰ります。じゃあお疲れ様でした。」
「おい!可愛い子紹介しろよー。」
「合コンで出会った子にでもアプローチしてください。」
零司は扉を閉めて店を出た。
「うー・・・さみぃ」マフラーに顔を埋めて足を進める。
零司は外でご飯を食べて家路を急いだ。
「マジ寒い・・凍死しそう・・。」珈琲を買おうとコンビニに立ち寄る。
珈琲を買い、体を温めながらコンビニを出ると街中でキスするカップルを見つけた
「こんな寒いのによくするよ・・・。」暗い街中でカップルを見つけたが、目を凝らして見ると、なんとなく見覚えのあるシルエットが浮かんだ。
「・・・・・夏帆?」夏帆と唇を交わしている相手は
「せんぱ・・・」零司が言い終わる前に男が気配に気付いて振り返った。
「あれ、零司!」聖夜は相手が零司の恋人だと知らないのか、少し照れた様子で頭を掻いた。
「・・・!!」夏帆は驚きのあまりその場を逃げ出した。
「夏帆!!!!」零司が夏帆を追おうとした時、聖夜が零司の腕を掴んだ。
「夏帆ちゃんのこと知ってんの?今告白したらOKしてくれてさ。」
「はぁ!?夏帆がそんなこと・・」
「だから零司は夏帆ちゃんとどういう関係なんだよー」
「俺の彼女です、夏帆は」零司は目を逸らして呟いた。
「は!?いや、どういうことだよ!夏帆ちゃんが浮気したってことかよ!?」
「・・・俺はそう思うしかないです。キスしたんですよね、あいつが彼氏持ちだって知らずに。先輩が悪いわけじゃない。だから俺に気とか遣わなくていいんで。」
「あぁ・・ごめん。俺からも謝らせてくれ。夏帆ちゃんは俺が追う。零司が別れたいならそう伝える。」聖夜は頭を下げた。
「いえ・・じゃあ俺はこれで。別れるかどうかは後日夏帆に電話して話し合います
じゃあ。」零司は家へ足を速めた。
家に帰るといつもついてるはずの電気がついていない。
鍵を開け、中に入るといつも聞こえる「おかえり」が聞こえない。
いつも作ってくれている温かいご飯もない。ソファで寝息を立てている莉帆の姿も。全てが違って寂しい気持ちに苛まれる。恋人も守らなければいけない人も失って、自分の生き方さえも分からなくなった。
「俺はどうしたら・・・っ」机に縋り、涙を流す以外に出来る事はなかった。
その時
鍵を開ける音に零司ははっとした。
仕事の休憩中 夏帆からの連絡があった。
「もしもしー」
「あ、零司くん。仕事お疲れー」零司は夏帆の声を聞いて顔を綻ばせた。
「あのさ、今日会えたりする?一緒にご飯でも・・・」
「・・ごめんね、今日ちょっとバイト忙しくて。」
「そっか・・。分かった、じゃあまた今度。」休憩時間が終わりに差し掛かり、零司は慌てて電話を切った。バイト先の先輩が休憩室に入ってきた。
「もしかして彼女?いいねぇ、俺にも誰か紹介しろよー」先輩に冷やかされて零司は顔を赤くした。先輩は零司の3つ上の22歳だった。
「そ、そんなんじゃないですよ。聖夜先輩こそ彼女いないんすか。」
「俺に彼女なんているように見えるかー?まぁ最近狙ってるかわいい女子はいるよ。昨日合コンで出会ってさー。めっちゃかわいいの。」
「そうですか、頑張ってください。俺夜シフト入ってないんで帰ります。じゃあお疲れ様でした。」
「おい!可愛い子紹介しろよー。」
「合コンで出会った子にでもアプローチしてください。」
零司は扉を閉めて店を出た。
「うー・・・さみぃ」マフラーに顔を埋めて足を進める。
零司は外でご飯を食べて家路を急いだ。
「マジ寒い・・凍死しそう・・。」珈琲を買おうとコンビニに立ち寄る。
珈琲を買い、体を温めながらコンビニを出ると街中でキスするカップルを見つけた
「こんな寒いのによくするよ・・・。」暗い街中でカップルを見つけたが、目を凝らして見ると、なんとなく見覚えのあるシルエットが浮かんだ。
「・・・・・夏帆?」夏帆と唇を交わしている相手は
「せんぱ・・・」零司が言い終わる前に男が気配に気付いて振り返った。
「あれ、零司!」聖夜は相手が零司の恋人だと知らないのか、少し照れた様子で頭を掻いた。
「・・・!!」夏帆は驚きのあまりその場を逃げ出した。
「夏帆!!!!」零司が夏帆を追おうとした時、聖夜が零司の腕を掴んだ。
「夏帆ちゃんのこと知ってんの?今告白したらOKしてくれてさ。」
「はぁ!?夏帆がそんなこと・・」
「だから零司は夏帆ちゃんとどういう関係なんだよー」
「俺の彼女です、夏帆は」零司は目を逸らして呟いた。
「は!?いや、どういうことだよ!夏帆ちゃんが浮気したってことかよ!?」
「・・・俺はそう思うしかないです。キスしたんですよね、あいつが彼氏持ちだって知らずに。先輩が悪いわけじゃない。だから俺に気とか遣わなくていいんで。」
「あぁ・・ごめん。俺からも謝らせてくれ。夏帆ちゃんは俺が追う。零司が別れたいならそう伝える。」聖夜は頭を下げた。
「いえ・・じゃあ俺はこれで。別れるかどうかは後日夏帆に電話して話し合います
じゃあ。」零司は家へ足を速めた。
家に帰るといつもついてるはずの電気がついていない。
鍵を開け、中に入るといつも聞こえる「おかえり」が聞こえない。
いつも作ってくれている温かいご飯もない。ソファで寝息を立てている莉帆の姿も。全てが違って寂しい気持ちに苛まれる。恋人も守らなければいけない人も失って、自分の生き方さえも分からなくなった。
「俺はどうしたら・・・っ」机に縋り、涙を流す以外に出来る事はなかった。
その時
鍵を開ける音に零司ははっとした。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【R18】エリートビジネスマンの裏の顔
白波瀬 綾音
恋愛
御社のエース、危険人物すぎます───。
私、高瀬緋莉(27)は、思いを寄せていた業界最大手の同業他社勤務のエリート営業マン檜垣瑤太(30)に執着され、軟禁されてしまう。
同じチームの後輩、石橋蓮(25)が異変に気付くが……
この生活に果たして救いはあるのか。
※サムネにAI生成画像を使用しています
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる