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4話

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その声に押されるように、儀式は進む。
『対面の儀』を行うために、碧眼の王女のみが魔法陣の中に置かれ、彼女を取り囲んだ神官たちがぶつぶつと呪文を唱え出す。
捨て置かれたもう一人の王女は、この儀式が終了すると同時にその身を生贄として捧げられる事になっている。
そうして一通りの文言を唱えたら終了するはずだった儀式だったのだが、その半ばで異変が起こった。

魔法陣か黄金色に輝き、中から巨大な黄龍が現れたのだ。『祈りの間』を埋め尽くす程の大きさでありながら、誰も触れることの出来ない透き通った体。
それでいて、強大なオーラを纏ったその龍が何であるかなど、その場にいた者たちは嫌でも思い知らされることとなる。

はじめに碧眼の王女の元に顔を覗き込みに行き、次にもう一人の王女の元を訪れ、その強大な尾の先で優しく彼女の頭を撫でながらこう言った。


『そうか……今代の聖女は二人なのだな。……だが、力が偏ってしまっているな。………………成人迄には完全に力が片方に傾くだろう。…………二人とも、大切に育てよ。……また相見えるときを楽しみにしていよう。』

そう言うと、黄龍は、魔法陣の中へとその姿を消した。間違いなく、この龍は『神獣』であった。
過去に類を見ないこの出来事に、その場は騒然となる。

半信半疑であった『神獣』の存在が証明された上、『聖女』を確定させるに足る情報を落として行ったのだ。
だがそれは、不要であったはずの憂いを増やす事となってしまった。
本来ならばさっさと殺してしまうはずの双子を育てなくてはならなくなったのだ。
火種になるからと、神獣の言葉を無視して殺すことなど出来ない。



かくして、殺される運命にあったはずの不思議な色合いの瞳を持つ姉王女は『セレナ』と、碧眼の妹王女は『ルチア』と名付けられ、双子としてその生を歩んでいくこととなった。
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