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64話
しおりを挟む「……え?」
寝耳に水のシャーロットはぱちくりと目を瞬かせるばかりだ。
「あ、勿論同情とかじゃ無いよ。……このタイミングで?って思うかもしれないけど、気持ちを伝える為にはこのチャンスを逃す訳には行かないんだ。ずっと君のことが好きだった。そうだな、親しくなる前からずっと。でも、君はロバート・シーウェル王太子殿下の婚約者だったから、この恋は何とかして諦めようと思ってたんだ。」
「お気持ちはとても嬉しいです。……でも、私は貴族とはいえ、他国の、それも国外追放されている身です。そんな資格は無いのでは……。」
「そんな事はない!……そうだな、君はこの国の王妃教育を修了しているだろう?それも、今まで類を見ないほどの優秀さだったと聞いている。そんな君を拒否する者がいる訳が無いだろう。結論は急がなくていい。少し考えてみてくれないか……?」
ほんの少し不安げに見つめてくる彼は、何時もの完璧に見える彼とは別人のように見える。見ようによっては好いた女に縋り付くみっともない姿にも見えるだろう。だが、そんな彼の姿をシャーロットは全くもって情けないとは思わなかった。寧ろ、意外な彼の人間味のある一面に、確かに胸が高鳴るのを感じた。
「では、少し考えさせてください……。前向きに検討してみたいと思います。」
「ほ、本当か!?無理はしなくていい。……せっかく最近友人になれたんだ。その……また疎遠になったりしたら寂しい……。」
「ふふ……そんな事は起こりませんよ。ロバート様に邪険にされていた時に傍で慰めてくれたのは、ユリウス様とサリア様、ロゼリア様の3人でしたから。……あぁ、そうそう。私、貴女にもお聞きしたい事がありましたの。………………ねぇ、ギーゼン男爵令嬢?」
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