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62話
しおりを挟む「どうして……ですか?私も当事者ですもの。」
「あぁ、そ、そうだな。シャーロットと婚約破棄した後はお前が新たな婚約者に……」
「あ、いえ。婚約破棄する方です。その『シャーロット』私です。まさかとは思いましたが、本当に気が付いていなかったのですね。」
「…………………………は?」
この会話の流れで気付かないなんて流石に冗談だろうと思っていたのだが、ロバートは本気だったようだ。
「あ、え?い、いや、だってお前のなまえは『シャル』だろう?…………まさか、この俺に嘘をついたのか!?」
「?私、ここ最近貴方に自己紹介なんてした事ありましたっけ?『シャル』と呼んだのは私の友人ですよね?だって……『シャル』って『シャーロット』の愛称のひとつですもの。嘘なんて誰一人として付いていませんよ?」
「いや、だってお前とシャーロットは別人だろう!?あいつは、お前のように美しい外見をしていなかったし、愛想もなかった!」
「いえ、残念ながら同一人物ですわ。……愛嬌が無い、と仰るのは、人の上に立つものである以上、感情を表に出すのは好ましくないとの教育の賜物ですわ。そして、外見に関してですけれど。」
そこで一呼吸置いて、美しい極上の笑顔でシャーロットは一言。
「なんだか、貴方のストレスが原因だったみたいですわ。」
その言葉に瞬時に顔を真赤に染め上げたロバートが喚き出す。
「巫山戯るな!俺が原因だと!?お前が醜かったのはお前自身が原因だろう!」
「う~ん、でも、貴方に関わらないようにした途端、ストレスも減って、夜遅くまで起きる必要も無く、規則正しい生活が送れるようになって一気に回復したんですよね~……。」
「生意気な……!やっぱりお前は可愛くない……っ!国外追放されて生きていけるのか!?今ならまだ許してやろう。這いつくばって謝罪しろ!」
ロバートの言葉に困ったように眉を上げて小さく笑っているシャーロットの後ろからユリウスが言葉を発する。
「そこについては問題ありませんよ。」
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