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42話

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確かに彼の身分を考えると、彼からの誘いを断る者は少ないだろう。それに、ロバートは見た目も悪くない。黙っていれば理想の王子様像そのものだ。実際、断られたこと等無いのだろう。自信に満ち溢れた表情でこちらに手を差し出している。
ユリウス達も心配そうにこちらを見ていた。
しかし、シャーロットはにっこりと美しい満面の笑顔を作りあげ、その手を拒んだ。


「申し訳ございませんが、友人達との先約がございますので御遠慮させて頂きます。」
「……は?」

シャーロットの返事に、ロバートは信じられないものを見たかのよあな表情をしていた。
ロバートは一応相手の返事を待つことでそれを尊重するという意志を示していた。断られるという想定はなされていなかったが。
命令では無いのならばそれにわざわざ従ってやる義理もない。


「それではわたくしはこれで失礼致します。」

そう言うとシャーロットは(ロバートからは分からないように)嘲笑を浮かべている友人たちの元へと足を踏み出した――のだが。


「ま、待て!」

立ち去ろうとしたシャーロットの腕を掴み、ロバートが引き止めた。


「痛……っ」
「あ、す、すまない。」

シャーロットがわざとらしく痛がれば、ロバートは慌てて手を離した。彼が謝った所など今まで一度でも聞いた事があっただろうか?
しかし彼は咳払いをひとつすると気を取り直したのか再び高圧的な態度を取り戻した。


「おい、お前。まさか俺が誰だか知らないわけじゃないだろうな。それでも誘いを断るというのか?」
「……友人との約束が先でしたので。ではこれで。」

取り付く島もないシャーロットの様子に焦ったのか、背を向けたシャーロットの肩を掴みぐいっと自分の方に向きなおらせようとした。しかし、そこで邪魔が入ることとなった。


「そこまでにしろ。彼女は嫌がっているだろう。」
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