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その夜、サミュエルは何度も角度を変え、体位を変えながらスーザンを貫き、スーザンの中に精を放った。二度目以降はかなり優しくスーザンの身体に触れてくれた。スーザンは何度も高みに上り何度も気を失いそうになったがその度にサミュエルから与えられる別の刺激に引き戻された。
サミュエルは酔いのためか疲れのためか、スーザンの中にモノを残したまま気を失うように眠りについた。
スーザンはその寝顔を見て心の底から愛しい思いが込み上げてきた。そして彼を失わなくてはならないと思うと心が張り裂けそうだった。
スーザンはサミュエルに触れるだけのキスをすると夜着を掴んだ。そしてうまく夜着に汁が垂れるようにしながら、体の中からサミュエルのモノを引き抜いた。
中からドロっとした白濁がたくさん出た。それは夜着で受け止めることができた。ほとんどずっと繋がっていたためか、ベッドはシーツが乱れてはいるものの、生々しい汚れはそれほどなかった。
もう夜着は使い物にはならないがこれなら隠蔽できると思った。
これまで何もなかった2人なのに、あと少しで別れると決まった今更のタイミングでこういうことになるなんて恥ずかし過ぎてマーサたちに顔向けできない。
スーザンは夜着を持って部屋に戻ると新しい夜着を着て汚れた夜着は暖炉に入れて燃やしてしまった。
夜の早い時間から始まったのでまだ1時を回ったところだった。
スーザンは満たされた気分で深い眠りについた。
*
翌日、二人にも屋敷にも何の変化もなかった。
サミュエルはいつも通りスーザンとは会わないように生活しているし、マーサやメイドたちも変化に気付いた様子は無かった。
スーザンはすこし残念なようなホッとしたような複雑な思いだった。
その一週間後に離縁に際しての条件が全て整ったと言うことで弁護士立ち会いの元、最後の話し合いがあった。
その時もサミュエルには何の変化もなかった。
きっとサミュエルは覚えていないのだろうとスーザンは結論付けた。
ハロー家から離縁の代償としてスーザンが希望していたニューユーリのアパートとニューユーリまでの一等船室のチケット、そして十年は贅沢に暮らしていけるだろうほどの金額の慰謝料をもらうことになった。
そして一週間以内にハロー家の屋敷を出て行く事で合意した。
気付けばもうイースター休暇の直前で、今年最初の王宮での舞踏会まであと数日という頃だった。
最後にこれまで買っていたサミュエルへのプレゼントを渡したかったが、サミュエルがスーザンを避けて家に戻って来なくなっているため渡せなかった。
プレゼントは机に置き、マーサに処分してくれるよう頼んだ。
マーサはスーザンとの別れを惜しみ、嘆いてくれた。ミスターゲーブルが休みをとって挨拶に来てくれた。
「スーザン様、あなたとご一緒できたことは今でも忘れません。とても良い時間を過ごすことができました」
スーザンはひとまず、セバスティアーノ=ストウ家の王都のタウンハウスに身を寄せた。
そこは従兄弟一家の住まいとなっている。
従兄弟はスーザンより十歳年上で妻と14歳の息子、12歳の娘の4人家族だ。
タウンハウスでスーザンは腫れ物扱いだった。どうも妻のアリスが離縁したスーザンのことを嫌っているようだった。
死別でない離縁を嫌う上流階級の人たちは少なくない。
数日滞在し、居心地の悪さに辟易したスーザンは数年ぶりにリアムの屋敷に戻ることにした。
シェーマス叔父は身体が弱っているようだったが快くスーザンを受け入れてくれた。
そこで1か月、穏やかな日々を過ごした。
たまに、社交界で自分たちがどう噂されているのだろうかと思ったがもうすぐ新大陸へたつのだから、どんな噂になっていたとしても関係ないと自分に言い聞かせた。
5月になるとスーザンはシープシャーを尋ねた。最後に思い出の場所を目に焼き付けておきたかったのだ。
これまでシープシャーではハロー家の屋敷でしか過ごしたことがなかったが、スーザンは既にハロー家とは関係なくなっているのでホテルに宿泊した。
ホテルの部屋からは湖が一望出来た。
サマンサがサミュエルから告白された湖のほとりも見ることができた。湖の向こうに見える森の新緑が目に眩しかった。
あれからもう十五年も経ってしまった。私も彼も変わってしまった。
スーザンがホテルに泊まっていることはハロー家に筒抜けだったのだろう。ホテルに大旦那様が訪ねてきた。
「スーザン、聞いたよ。息子が本当にすまなかった」
「大旦那様に謝っていただく事ではありません。過分な慰謝料もいただきましたし」
「決心は固いのかな?」
「決心が固いのはサミュエル様の方です」
「新大陸に行くのかい?」
「えぇ。わたくし、自分がサマンサだということを告白してなんとか縋ろうとしましたの。でもサミュエル様は信じてくださらなかった。それでも、まだ彼のことが好きなんです。だから、この国に残って彼に憎々しげな眼で見られるのも、その度にそれでも彼を嫌いになれない自分にうんざりするのも、もう、終わりにしたいと思いましたの」
「そうか。向こうで生活の充てはあるのかい?」
「・・・ありませんわ」
「新大陸は進歩的だとは言え、女性が何の後ろ盾もなく一人で生計を立てていくのは大変だろう」
「そんなことありませんわ」
「でも、まさか君が売り子になるわけにもいかんだろう?」
「いけませんの??」
「君のそういう職業の貴賎に囚われない進歩的な考えは嫌いじゃないがね、君がハロー家から離縁されて売り子に身を落としたなんてことになったらうちの外聞にも関わる。そうだな、確か出港は3日後だったかな?それまでには君の推薦書を用意しておこう。君が大陸に渡ってから頼れる人のリストも一緒に渡すよ」
「まぁ、アパートを用意くださっただけでも過分な対応ですのにそこまでしていただけるなんて、ありがとうございます」
「いや、当然のことさ。君は優秀だし、本当ならうちで雇いたいくらいなんだが、そういう訳にもいかんだろうから」
「そうですね」
サミュエルは酔いのためか疲れのためか、スーザンの中にモノを残したまま気を失うように眠りについた。
スーザンはその寝顔を見て心の底から愛しい思いが込み上げてきた。そして彼を失わなくてはならないと思うと心が張り裂けそうだった。
スーザンはサミュエルに触れるだけのキスをすると夜着を掴んだ。そしてうまく夜着に汁が垂れるようにしながら、体の中からサミュエルのモノを引き抜いた。
中からドロっとした白濁がたくさん出た。それは夜着で受け止めることができた。ほとんどずっと繋がっていたためか、ベッドはシーツが乱れてはいるものの、生々しい汚れはそれほどなかった。
もう夜着は使い物にはならないがこれなら隠蔽できると思った。
これまで何もなかった2人なのに、あと少しで別れると決まった今更のタイミングでこういうことになるなんて恥ずかし過ぎてマーサたちに顔向けできない。
スーザンは夜着を持って部屋に戻ると新しい夜着を着て汚れた夜着は暖炉に入れて燃やしてしまった。
夜の早い時間から始まったのでまだ1時を回ったところだった。
スーザンは満たされた気分で深い眠りについた。
*
翌日、二人にも屋敷にも何の変化もなかった。
サミュエルはいつも通りスーザンとは会わないように生活しているし、マーサやメイドたちも変化に気付いた様子は無かった。
スーザンはすこし残念なようなホッとしたような複雑な思いだった。
その一週間後に離縁に際しての条件が全て整ったと言うことで弁護士立ち会いの元、最後の話し合いがあった。
その時もサミュエルには何の変化もなかった。
きっとサミュエルは覚えていないのだろうとスーザンは結論付けた。
ハロー家から離縁の代償としてスーザンが希望していたニューユーリのアパートとニューユーリまでの一等船室のチケット、そして十年は贅沢に暮らしていけるだろうほどの金額の慰謝料をもらうことになった。
そして一週間以内にハロー家の屋敷を出て行く事で合意した。
気付けばもうイースター休暇の直前で、今年最初の王宮での舞踏会まであと数日という頃だった。
最後にこれまで買っていたサミュエルへのプレゼントを渡したかったが、サミュエルがスーザンを避けて家に戻って来なくなっているため渡せなかった。
プレゼントは机に置き、マーサに処分してくれるよう頼んだ。
マーサはスーザンとの別れを惜しみ、嘆いてくれた。ミスターゲーブルが休みをとって挨拶に来てくれた。
「スーザン様、あなたとご一緒できたことは今でも忘れません。とても良い時間を過ごすことができました」
スーザンはひとまず、セバスティアーノ=ストウ家の王都のタウンハウスに身を寄せた。
そこは従兄弟一家の住まいとなっている。
従兄弟はスーザンより十歳年上で妻と14歳の息子、12歳の娘の4人家族だ。
タウンハウスでスーザンは腫れ物扱いだった。どうも妻のアリスが離縁したスーザンのことを嫌っているようだった。
死別でない離縁を嫌う上流階級の人たちは少なくない。
数日滞在し、居心地の悪さに辟易したスーザンは数年ぶりにリアムの屋敷に戻ることにした。
シェーマス叔父は身体が弱っているようだったが快くスーザンを受け入れてくれた。
そこで1か月、穏やかな日々を過ごした。
たまに、社交界で自分たちがどう噂されているのだろうかと思ったがもうすぐ新大陸へたつのだから、どんな噂になっていたとしても関係ないと自分に言い聞かせた。
5月になるとスーザンはシープシャーを尋ねた。最後に思い出の場所を目に焼き付けておきたかったのだ。
これまでシープシャーではハロー家の屋敷でしか過ごしたことがなかったが、スーザンは既にハロー家とは関係なくなっているのでホテルに宿泊した。
ホテルの部屋からは湖が一望出来た。
サマンサがサミュエルから告白された湖のほとりも見ることができた。湖の向こうに見える森の新緑が目に眩しかった。
あれからもう十五年も経ってしまった。私も彼も変わってしまった。
スーザンがホテルに泊まっていることはハロー家に筒抜けだったのだろう。ホテルに大旦那様が訪ねてきた。
「スーザン、聞いたよ。息子が本当にすまなかった」
「大旦那様に謝っていただく事ではありません。過分な慰謝料もいただきましたし」
「決心は固いのかな?」
「決心が固いのはサミュエル様の方です」
「新大陸に行くのかい?」
「えぇ。わたくし、自分がサマンサだということを告白してなんとか縋ろうとしましたの。でもサミュエル様は信じてくださらなかった。それでも、まだ彼のことが好きなんです。だから、この国に残って彼に憎々しげな眼で見られるのも、その度にそれでも彼を嫌いになれない自分にうんざりするのも、もう、終わりにしたいと思いましたの」
「そうか。向こうで生活の充てはあるのかい?」
「・・・ありませんわ」
「新大陸は進歩的だとは言え、女性が何の後ろ盾もなく一人で生計を立てていくのは大変だろう」
「そんなことありませんわ」
「でも、まさか君が売り子になるわけにもいかんだろう?」
「いけませんの??」
「君のそういう職業の貴賎に囚われない進歩的な考えは嫌いじゃないがね、君がハロー家から離縁されて売り子に身を落としたなんてことになったらうちの外聞にも関わる。そうだな、確か出港は3日後だったかな?それまでには君の推薦書を用意しておこう。君が大陸に渡ってから頼れる人のリストも一緒に渡すよ」
「まぁ、アパートを用意くださっただけでも過分な対応ですのにそこまでしていただけるなんて、ありがとうございます」
「いや、当然のことさ。君は優秀だし、本当ならうちで雇いたいくらいなんだが、そういう訳にもいかんだろうから」
「そうですね」
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