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涙月⑤

無垢な令嬢は月の輝く夜に甘く乱される~駆け落ちから始まった結婚の結末は私にもわかりませんでした。

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「まあ、良い。お仕置きは、これからたっぷりと時間をかければ良いしな。女は可愛がってやるものだ」
 いきなり唇を塞がれ、サヨンは身を強ばらせた。離れようとしても、大きな手で後頭部を押さえ込まれ、身動きもままならない。
 侵入してきた男の舌は当然ながら、サヨンにも応えることを要求し、逃げると追いかけてきて執拗に絡め取られ吸われた。
 口づけは角度を変えて延々と続いた。サヨンはあまりの息苦しさにもがいた。彼女の手が助けを求めるように宙をかく。トンジュはその手を掴み、サヨンの頭を固定させたままで次第に口づけを深めていった。
 彼の手つきは、十八歳という年齢にしては随分と手慣れていた。サヨンと深く唇を結び合わせながらも、片方の手は器用にチョゴリの前紐を解き、チョゴリ、下着と脱がせてゆく。
 胸に巻いた布もするすると解かれた。
 呼吸を奪われたサヨンは、既にこの時、ぐったりと動くこともできなくなっていた。
「相変わらず良い身体してるな」
 トンジュが淫靡な笑いを浮かべて満足げに頷いている。
 チュッと音を立てて唇を、薄紅色の胸の頂に口づけられた。その音で、サヨンはハッと眼を見開き、茫然とした。
 トンジュが近づいてくる。
 伸びてきた手がいきなり胸の先端をこね回した。
「いや」
 サヨンは烈しい驚愕と恐怖の表情を浮かべ、身を退こうとする。しかし、すかさず男の手が背に回り、逆に引き寄せられた。
 トンジュの指は気まぐれに胸の上を行き来する。乳輪をなぞり、中心のいじらしい突起を摘み、時には乳房全体を手に包み込んで嫌らしく揉んだりした。
「止めてよ、止めて」
 涙が溢れそうになるのを慌てて堪えた。  ふと、トンジュがクスリと笑みを零す。
「接吻(キス)で感じたのか?」
「―?」
 サヨンは涙の滲んだ眼でトンジュを見上げた。きょとんとした表情のサヨンを見て、トンジュが声を上げて笑った。
「こいつは愕きだな。十九にもなって、本当に愕くほどねんねだ。よしよし、俺がちゃんと教えるやろう」
 笑いながら、胸の先端を指でつつかれた。
「ああっ」
 刹那、男の指の触れた箇所から妖しい震えが走り、身体全体に漣のようにひろがる。それは全く馴染みのない不思議な感覚であった。まるで弱い雷土(いかづち)が全身を貫いたように快とも不快とも判別のつかないものだ。
 サヨンはまだその得体の知れない感覚の余韻に身体を震わせながら、涙を零した。
「ほら、見てごらん」
 トンジュに促され、サヨンは自分の身体を見る。波打つ大きな乳房の突起は二つともつんと上を向いていた。
「サヨンの身体は、今、凄く敏感になっている。俺に口づけられたり、乳房を吸われたりしている中に、お前の身体が反応して感じやすくなったんだ」
 今度は男の顔が胸に覆い被さり、チュッと先端を吸われる。
「あー」
 また例の妙な感覚が全身を駆け抜け、身体がぴくぴくと跳ねた。サヨンは口から恥ずかしい声が洩れ出るのを必死に堪えた。
「どうだ、気持ち良いだろう? これから俺に抱かれることによって、お前の身体はどんどん感じやすくなっていく。俺なら、お前を毎夜、極楽にいるような心地にさせてやれるぞ?」
 言いながら、またサヨンの胸の先を摘んで捏ねる。触れられる度に、身体が妖しくざわめき、変な声が出るのを抑えきれない。
「我慢することはないんだ。声が出るのはサヨンが感じている証拠だから、恥ずかしがらずに声を出してごらん。俺の愛撫に可愛らしく啼いているお前を見たい」
 サヨンの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「どうしてトンジュはそんな酷いことを言うの? 私はいや。こんなことをされるのはいやなのに」
「最初は抵抗があっても、すぐに慣れるさ。さあ、おいで。続きをしよう」
 両腕をひろげられ、サヨンは烈しく首を振った。
「絶対にいや」
 トンジュの眉間に青筋が浮かんだ。
「良い子だから、おいで。今も気持ち良かったんだろう? これからもっと気持ちよくなれるぞ」
 トンジュは、泣いて嫌がるサヨンを険のある眼で見つめた。
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