悲哀なる“アヴィラー”


 運動能力が皆無でありながらも、親友である真太郎に誘われてサッカー部へ入部した、辻村雪矢。雪矢には、とある事情によって両親がいなかった。
 真太郎が親友となり、雪矢はいつも、笑って過ごすことができていた。
 ――しかし、その日常は、一瞬にして壊れた。学校帰り、雪矢と真太郎は攫われた。しかし、犯人は人間ではない。この世界に身をひそめて生きる化け物、『アヴィラー』だった。
 山奥の廃校。誰も助けには来てくれない。恐怖する雪矢に、二つの選択肢が与えられた。
 1、自分を助けてもらう。しかしその代償は、親友である真太郎の死。
 2、真太郎を助けてもらう。しかしその代償は、自身の人間としての死。
『アヴィラー』の望みは、とある方法で雪矢を『アヴィラー』にすることだった。
 ____これは、この残酷な世界で哀しく生きる、一人の少年の物語。
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