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本編

本編(完結)

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【ギルベルト・コハク・マイヤー】
伝承民俗学の大学教授で、吸血鬼にまつわる伝承を研究する学者。30歳。ヘビースモーカー。筋肉質。煙草のせいで体力はあまりない。退廃的でくたびれているが、研究への情熱は果てしない。

______________

ルーマニア
トランシルヴァニアのとある奥地
吸血鬼伝説を全村民が信じ
怯え暮らしているという村があった

「なんだこれ、廃村じゃないのか」

ヒュォオオオオオオ
薄暗い鉛色の空に冷たい風
鋭い杭が何百本と地面に突き刺さる
村の内と外を断絶する鉄の柵
絡みつく有刺鉄線
鎖が何重にも巻かれた壊れかかった扉
軽く押してみる
ギコ、ガ、ギシィ
禍々しい音

「何者だ……!」

小さな扉の奥
3人の男の影

「あ、すみません、俺はこういうものです」

慣れないルーマニア語で
慣れた手つきで教職員証を差し出す
しかし、見向きもしない

他所者よそもの!帰れ!」
「例の魔物を解放するつもりだろう!」
「魔物……吸血鬼ヴァンパイアのことですか」
「その名を口にするなぁ!」

去れ!
謀反人!
呪いあれ!
次々に石を投げつけられる

「ちょっと、調査をっ!クソっ!」

石を避けるのに精一杯
5歩ほど後ずさると

「二度と来るな異端者!」

3人の男は辿々しい足取りで去る
相当根強い恐怖
増す好奇心

「これくらいの有刺鉄線なら」

厚手のコートを脱ぎ、柵の上に引っ掛ける
コートを伝い

「よい、しょっと」

柵を乗り越え
その向こう側へ着地
ずれた眼鏡を直し
村民に見つからないように
柵沿いをそぉっと歩きながら
辺りを見回す
あまりにも閉鎖的
外部との接続を断ち
貧しいのだろう
民家はボロボロで
道は舗装すらされていない

「そこの旅人さんや」

背後から老婆の声
シャキンと背筋が伸びる
振り返り
人の良い笑みを作る

「決して怪しいものでは…この村でフィールドワークをしたくて」
「何が知りたいのだ?」
「え、ぁ、吸血鬼伝説のことを」

ばさりと目元に覆いかぶさった前髪
口元を大きく歪める
しばしおし黙るが
ニヤァアア
ネトつくような不気味な笑み
よかろう
老婆は笑う
慌てた仕草で手帳を手に取る

「この村には吸血鬼がいるのですか?」
「あぁ、確かにいる」
「見たのですか」
「ワシは見た、他の奴らはどうか知らんがなあ」
「何故この村の人はこんなにも恐れているのですか」
「吸血鬼は人々を串刺しにする、生き血を吸い尽くす、そして」

老婆が前髪をあげると
両目には縦に一本ずつ深い傷跡が刻まれている

「目を潰すのさ」
「なぜ、このようなことを」
「それは、本人に聞いてみればいい」
「本人…?」
「ここから西にまっすぐ行った森を抜けると、洋館がある」
「西、ですか」
「その洋館には、かつて住んでおった。吸血鬼がな」
「吸血鬼が住む、洋館…!?」

吸血鬼は伝承に過ぎない
「住む」などということがあるはずがない
呆然とする侵入者に
老婆は嘲笑するようにキヒヒと笑って

「もう廃墟になっているがな。吸血鬼のことが知りたいのならば、洋館に行くことだ」
「わかりました」
「だが気をつけろ」

男を指差した

「お主、酷く甘い匂いがするぞ」

老婆の開かない目が全てを見通したようだった
その男は愚かにも老婆の真意に気づかない

「はあ…心得ました」
「学者さんよ、吸血鬼の全貌を明らかにして、我らに安寧をもたらしてくれ」



深い森を30分ほど歩き続けて
ようやくその洋館は現れた
柱は腐り
壁は剥がれ
今にも崩落しそうな
廃墟というにふさわしい
何百年前に建てられたのだろう

「この洋館だけで文化財的価値があるな」

男は勇敢にも
躊躇いなく
洋館に足を踏み入れる
煤けた玄関
壁にかけられた絵画
棚に置かれた燭台
生活感はそのままに
月日だけが経過したようだ

コツ、コツ、コツ、コツ

奇妙なほど長い廊下に
足音だけが響き続ける
最奥の部屋に辿り着くと
そこは広い居間グレイトルームだった
しかし不気味なことに

その暖炉にはオレンジ色の炎が
燃え盛っていた

「誰か……いるのか?」
「ご明察」

背後
男の声
飛び退けて振り返る

すらりとした長身
蒼白の顔
かつての貴族のような豪華な黒の服
そして
燃えるような赤い瞳

「……吸血鬼か」
「察しが良い男だな」
「村民に教えてもらった、ここに吸血鬼が住むと」
「立ち話もなんだ、そこのソファに座りたまえ」

促され
部屋の中へ
ゆっくりと足を踏み入れる
吸血鬼がパチンと指を鳴らすと

ボッ、ボッ、ボッ、ボッ

規則的に並べられた燭台に
順に火が灯る
人知を超えた能力を使えるのか
そのままソファに座ると
机の上の酒瓶が
一人でに宙に浮き上がり
空のショットグラスに注がれた

蒸留酒ツイカだ」
「ルーマニア伝統の酒だな」

一気に呷ると
かっと高いアルコールが身に沁みる
熟成されたプラムの芳醇な香り
再び空になったグラスを机に置く
吸血鬼も対面のソファに座る

「訛りがあるな」
「ドイツだ」
「ご苦労なことだ」
「5時間もあれば来れる、貴方の時代では考えられないだろうが」

長い脚を組んで
吸血鬼の赤い唇からは鋭く尖った牙が光った
ソファの下に置いた軽い荷物を見て

「杭も、剣も、聖水も、十字架も、にんにくも、何も持っていないとは驚きだ」
「そんなもの必要ない」
「何故だ?かつてここに来た者は『全員』何かしら持っていたぞ」
「俺は狩りハントしに来たんじゃない、調査リサーチしに来たんだ」
「調査?学者か」
「ヴァンパイアは研究対象でありこそすれ、殺すつもりなどない」
「ククク、研究対象。さながらモルモットや猿同然というわけか」

赤い瞳がこちらを向いている
竦んでしまう
伝承どおりの姿の吸血鬼が
今目の前に座っていて
じっとりとこちらを見据えている

「名はなんという」
「ギルベルト・マイヤーだ、ギルでいい」
本名フルネームではないな?真名を言え」
「ギルベルト・『コハク』・マイヤー」
「コハク?奇妙な名だな」
「先祖に日本人ジャパニーズがいるんだ」
「如何ような意味だ」
「ルーマニア語ではchihlimbar、英語ではAMBERアンバー
「アンバー…か」

物憂げ
虚空を見て
何かを考えている
黙りこくる吸血鬼に
ギルは畏怖を押し殺し
主張する

「人の名を聞いたなら、そちらも名乗るのが道理じゃないか」
「ヴァンパイアに道理を語るとは、面白い奴だな、いいだろう」

吸血鬼は
なおも威厳に満ち溢れた様子で
自身の胸に手を当てた

「私の名はヴラド、ヴラド三世」
「やはりな。ルーマニアの吸血鬼伝説といえば、それしかない」
「なんだ、知っておったか」
「学者だぞ。しかし、ヴラドは吸血鬼などではなく英雄だったと、近年では解釈されているたはずだが」
「希望的観測、というのだ。そのような戯言を」

「しかし人間よ」

真名を教えるということが
何を意味するかわかっていないのか



「では、コハク」
「馴れ馴れしく呼ぶな」
「その名では誰も呼ばないのだろう。では私だけのものだ」
「じゃあ好きにすればいい。俺を帰らしてくれ」

ギルが冷静にそう言うと

「駄目だ」

即答した
ヴラドは少々驚いた顔をする

「貴様は私を研究しにきたのではないのか」
「そうだ。しかしあくまで伝承の上に成り立つ存在であって、現実のを研究したいわけじゃない」
「なんと愚かな学者様だ」
「なんだと」
「私はこの村で547年生きておるのだ。村の小童どもとは比べ物にならん記憶を持っている」
「547年」
「欲しくないか?547を」
「そんな…ものは…」

ごくり

「物欲しそうな顔をしているではないか、コハクよ」
「か、帰ります。お邪魔しました」

荷物を持ち
ソファを立ち
そそくさと出口に向かう

「待て、『ギルベルト・コハク・マイヤー』」

ヴラドがギルのフルネームを呼ぶ
ギルの体は石のように凍りつき
その場から動けなくなった

「な、なん…」
「待て」

必死に手と脚の筋肉に力を込めるも
縛り付けられたかのように
固くこわばって動かない

「ソファに戻れ、『ギルベルト・コハク・マイヤー』」

体が…勝手に…
その体はくるりと向きを変え
再びソファへと向かい
静かにとすん、と腰を下ろした

「俺に何をした。串刺しツェペシュ公」
「真名を知ること、それすなわち相手を支配すること。聖職者は絶対に明かさないが…」

ヴラドはギルの顎を掴み上げ
その乾いた唇をもったいなげに撫でる

「学者様はいとも簡単に教えてくれた」

油断
真の意味で吸血鬼の存在を信じていないからこそ
超常的なものには無防備
ヴラドの指先に噛みつこうとするも
さっと手を引かれ叶わない

「貴様からは酷く、い~い匂いがする。うら若き処女の匂いだ」
「俺は処女でもないし、30のおっさんだ」
「構わん。この匂いが私を滾らせる」

ヴラドがギルの手を取り
立ち上がらせる
その手を引かれ
意思を持たぬ人形のように
ただ付いていく
意思と体が不一致、混乱

「どうだ、貴様が私を満足させる度、貴様の問いに正直に答えよう」

付いて行ってはならない
脳内で警鐘が鳴り響くのに
その甘美な囁きに
心すらこの吸血鬼に
取り込まれてしまいたいと

「まぁ『ヴラド三世から話を聞いた』なんて学会で発表でもすれば、気狂いと思われてつまみ出されるがな」

ギルをバスルームに突き飛ばし
ヴラドは笑った



主寝室マスターベッドルーム
キングサイズのベッドに押し倒され

「ぁ、舐め…な」

全身に余すことなく舌を這わせ
すんすんと匂いを嗅ぐ

「甘くとろけた処女の匂いだ」
「ゃ、めろ…」

高いアルコールが周り
体が熱を持つ
覆いかぶさるヴラドの腕を
力の入らない手で必死に掴む

「鍛え上げられ今にも張り裂けそうな、果実のような白い肌」
「…おっさんにっ、何、言ってんだ」
「あぁここに歯を突き立てたい」
「ぁううっ!」

冷え切った指先で内腿を撫でられ
ガクガク震える

ズボンを脱がせ
下着をずらし
露わになってひくつくアナルに

ぴとん

「ひゃぁあっ」

躊躇いなく舌を押し付ける
ぐりんっ
ヴラドの髪を掴んで
引き剥がそうとするも
くりくり
巧みな舌の動きに
翻弄され
ぴちゃ、ぴちゃ
淫猥に響く水音に
耳までも犯される

「汚ぇ、からぁ」

懇願するその声も
甘くとろけて
もっと、もっと、と
誘っている

舌が離れ

「コハク」
「んぅうっ」

アナルに触れる
冷たい肉の感触
眉を顰める

「いやっ、待て!」
「待てない」
「うあぁ”ぁあ”っ!」

ずちゅう
腹の中をぐいぐいと
押し拡げる塊

「ひゅっ」

目を見開き
息を飲む
圧迫感
冷え切ったちんぽが
腹の中を支配し
寒気で全身がガクガクと震える

「やめ、ぇ”っヴラドっ」
「愛いな、コハク」

暴れ
必死に逃れようと腰をひねるも
ケツの穴に太いちんぽがぶっ刺さって
楔のように体を貫く
身動きが取れない
針を刺された標本の蝶のように
体を暴かれ
快感の深い海に突き落とされる

「さぁそろそろ余興は終わりだ」

吸血鬼は高らかに宣言し
ギルのシャツの襟をぐっと開き
首筋を露わにする
仰け反った肌に
大粒の汗が滲み、流れる

「待てっ、ヴラド、それは……!」
「狂うでないぞ、コハク」

ヴラドの白いシャツの背を掴み
引き剥がそうとするも
ヴラドにとっては
ただ抱きしめられているのと同等で

真っ白な首の肉に
容赦無く噛み付いた

「あぁ”あ”っ、噛むな、やめろ”、イくぅっ!♡」
「そうだ、吸血の快楽は、この世のあらゆる快楽を上回る」

背を仰け反る
目を見開く
あまりの快感に涙が溢れる
アナルの内壁が激しく収縮

「どうだ、至高の官能を食らった感想は」
「ぁ、ぁぁ……またイく…♡♡」

ぷしゅっ
陰茎の先から精液を漏らす
今まで経験したことのない
飛んでしまいそうなほどの激しい絶頂に
痙攣する指先でヴラドの背に縋り付いた

「嗚呼なんと甘美で芳醇な味わい!細胞の一つ一つが震える!貴様の血はだ、コハク!」
「あぁ”……ぁ”……ぁ♡」

首筋からドクドクと流れる血
余すことなく厚い舌で舐めとる
わずかにざらついたその肉が
皮膚に触れるだけで
何度もエクスタシーに至る

ずちゅん、ずちゅん
そのままヴラドは腰を突き入れ始める
前立腺をゴリゴリと押しつぶされ
悶絶

「神経が焼き切れるほどの絶頂を味わえ」
「クソォ”、イくぅ”う”う”っ!♡♡」

本能的に暴れる体を
人並を遥か超えた力で押さえつけられ
快感を逃すこともままならず
エグいイキ方をして
濃い白濁を噴き出す

「出すぞっ、腹で受け止めろ」
「あ”ぁぁあ”あ”ぁ”!♡やめろぉお”っ♡♡」

どぷっ♡
濃い精子が腹の中に植えつけられる
ごちゅっ♡ぐちゅん♡
二人の体液がかき混ぜられ
中で攪拌され泡立つ
吸血鬼の冷たい飛沫が
結腸の奥まで流れ着くのを感じる

ビクビクと震えるギルの体に
ヴラドはキスの雨を降らす
鍛え上げられた柔らかい肉に
紅い花弁がいくつも咲く
所有の証
従属の証

ちゅっ、ちゅっ

甘く響くリップ音
皮膚を吸われるたびに
ぴくぴくと痙攣

先ほどの体が壊されるほどの
激しい快楽と比べて
じんわりと腹の奥に滲むような
優しい快楽に
ギルは震えた声で
はぁ、はぁ、はぁと呼吸を整えた

「私が欲しいか、コハク」

欲しい、欲しい、欲しい、欲しい

「はひ、要ら、な…ぁ……♡」
「真実のみを話せ、『ギルベルト・コハク・マイヤー』」
「あぁ”あ”♡欲しい、ヴラド、貴方の全てが欲しいっ♡♡」
「ならば、私を愛すると誓え」
「ぅぅう”っクソッ♡誓うっ、誓うから、もう終わらせっ♡♡」
「違う」

ぐちゅり

「あぎゃあっ♡♡もっとください!ヴラドっ♡俺の腹の奥にくださいぃっ♡♡」
「ふふふ。愛いな、貴様は」





「何故吸血鬼の研究者に?」

ヴラドが唐突に尋ねる
ギルは水を飲む
何故とは
訝しげな表情を見せると

「吸血鬼の伝承を専門とするなんて、少々異質だろう」

吸血鬼が言うことか
しかしその考えもわからなくはない
声を出そうと喉を震わすと
少々枯れた声しか出ない

「俺の先祖は代々、吸血鬼狩りヴァンパイアハンターをしていた」
「吸血鬼狩り、アンバー、やはりか」

ククク

ヴラドは不敵に笑った
そして張り裂けんばかりに叫んだ

「この私の人生は、やはり運命という一本の道で繋がっていたのだ……!」

全身が震え上がるような
気迫に満ちた声だった
ギルが面食らった顔をして
ヴラドを見ていると

「心優しきこの私が、一人の女の話を貴様にしてやる」

語り始めた

「それは200年ほど前だったか、我が洋館に一人の女が訪ねてきた」




『急に雨に降られて、少し雨宿りをさせてくださらない?』

東洋の血の濃い
長い黒髪を持った
慎ましやかで華奢な
処女の匂いのする女だった

「快くその女を招き入れた。」

暖炉の前のソファに座らせ
しばし他愛もない談笑をした
穏やかなだけでなく
気が遣えて頭の切れる
いい女だった

『今夜は土砂降りだ、一晩泊まっていっては如何かな』

そうさせて頂きますわ
蒸留酒ツイカを一口
顔を赤らめた

「いざ招き入れ、その火照った肌に触れ、キスをし、そして首筋を晒し、噛み付こうとした、その時」

女は懐から素早く抜き出した短刀を
私の首に突きつけたのだ

『何の真似だ』
『お分かりでない?吸血鬼さん』

私は女の体から飛び離れた
戦士のように隙のない
私と女はピリついた空気の中
対峙していた

『名を名乗れ、女』
『アンバー、吸血鬼狩りヴァンパイアハンターよ』

前開きの黒のワンピース
バッと開くと
中には
杭、聖水、ナイフ、二丁の拳銃ハンドガン
そして首から下げられていたのは
十字架

『ふん、血を吸えば貴様も魅了され、吸血鬼の仲間入りさ』
『生憎、わたくしは処女ではなくてよ、吸血鬼さん』

そんなはずはない。
確かに処女のような甘い匂いがしたのだ

『祖国に大事な息子もいるの』

違う、よく嗅ぐと
これは処女の血の匂いではない

なるほど
本能レベルに美味、というわけか
手放すには惜しい
絶対にこの血を味わいたい
私は舌舐めずりをした

『他の男から奪った体ほど美味いものはない』
『生憎、その『他の男』はもうこの世にいないわ』
『なら今から、私が貴様の男だ』
『強引な男は嫌いなの』

アンバーが両手で拳銃を手に取った
私に銃口を向けてから撃つまでは
あまりにも速かった
心臓をすんでのところで避けたものの
銃弾は私の肩を貫いた

『そんなものが私に通用するとでも?』
『するわ、ハンターを舐めないでちょうだい』

私の体はぐらりと大きくよろめき
そのまま仰向けに倒れ
微動だにできなくなった

『なん……で…』
『その弾丸はヨーロッパ1の聖職者に呪文を刻んでもらったものよ』

アンバーはすたすたと私に近づき
馬乗りになって
懐から杭を取り出した
その杭を私の心臓に突きつけて

『最後に聞かせて、貴方は村の人たちにどんな酷いことをしたの』

尋ねた

『……私は何もしていない、何も。勝手に恐怖し、退治したがったのは、人間だ』
『何もしていないのに、あんなに怖がられていると言うの?』
『正確には女の血は吸った。しかし、殺してはいない。吸血鬼になった女は人間に戻して、記憶を消して、村に返している』

アンバーは黙って聞いていた

『生きるためには、仕方ないのだ。吸血鬼には血が必要だ』
『……何もしていない吸血鬼を狩る理由はないわ』

そのままアンバーは私の体から退いた
私はまだ体が痺れ動けなかったが

よいしょっと

アンバーはなんとその華奢な体で
私の体を持ち上げたではないか

『何をしている!?』
『ベッドに行くのよ、風邪を引くでしょう』

あれよあれよとベッドまで運ばれ
毛布をかけられ
ぬくぬくと寝かせられる
数多の女をベッドに沈めてきたこの私が
ベッドに運ばれるなど
最高の屈辱だった

『多分1ヶ月くらいは動けないでしょうから、それまでは責任を取るわ』
『責任……だと?』

アンバーは「責任」と称して
この洋館に住み込み
部屋を掃除し
私の体を拭き
庭の花に水をやった
吸血鬼狩りとは思えない様だった
それでも私が一番欲しいものを与えてはくれなかった

『腹が減った』
『我慢なさい』
『血を吸わせろ』
『嫌よ』

目の前で
こんなに甘美で
美味そうな
芳しい匂いを放つ
血があるというのに
一滴だって味わうことはできなかった

そんな生活が10日ほど続いたある日



「…………アンバー」

ヴラドはそこまで語ると
固く唇を噛んだ
そのまま、再びギルの体に覆いかぶさった

「そうだアンバー、貴様は私のたった一人の…」
「他人と俺を重ねるんじゃないっ」

ギルは必死に押し返すも
ヴラドの体は微動だにしない
小刻みに震えるほど力を込めて
ヴラドはギルの体を抱きしめた

「私を愛せ、私が死ぬまで、愛し続けると誓え!」
「……っ俺は、アンバーじゃ、ない…!!」

ヴラドは再び
ギルの蕩けきったアナルに
その剛直をぶち込んだ
先ほどの情事で柔らかく開ききったそこは
難なく受け入れる

「わぁ”っ♡あ”っ♡」
「アンバー……っ…」
「やめっ、ろっ……!♡」
「この血の匂いだ、アンバー。貴様の生き血をこの舌で、やっと味わえる……!」
「ひぐぅっ!?♡♡♡てめぇっ…この♡♡」

ガブゥッ!
ぶしゅっ!

再び首に噛みつかれる
仰け反る首
撒き散る鮮血
ヴラドの顔を赤く濡らす
しゃぶりつかれ
全身の血が吸われてしまうのではないかという
恐怖

全身に噛みつかれる


脇腹
内腿

つま先

「あ”ぁ”…♡おかひく…な”…♡♡」

噛み跡が刻まれていく
歯が突き刺さった跡を
優しく舐めとられる
噛まれるたびに絶頂を迎え
脳が甘く麻痺
許容量を超えた快楽
ギルは意識を失った



ベッドの上で目を覚ました時には
ヴラドの姿はなかった

逃げなければ…!

急いで服を整え、
グレイトルームに置いたカバンのことは忘れていたが
ズボンのポケットには手帳が入っていることを確認し
ギルはそのまま洋館を出た

森の中を
走る
走る
息が切れても
走り続ける

あの吸血鬼から
逃げないと
抱き殺されてしまう……!

身体中の噛み跡から血が滲むのを
服で必死に隠して
無我夢中で走っていると
いつの間にか
森を抜けて
村の民家の方までたどり着いていた

「はぁっ、はぁっ、」

喉や脇腹がドクドクと痛むのを抑えて
村から出ようとする

鎖が巻かれた小さな鉄扉
必死になってこじ開ける
ギコッギッ、ギシィッ
不吉な音が響く

村民に見つかる前に
あの吸血鬼に見つかる前に
早く、早く!

「学者さんや」

背後から声をかけられ
ぞくりと震える
しかしその声は聞いたことのある
しわがれた声だった

「あ……」

振り返ると
そこに立っていたのは
行きに出会った老婆だった
老婆はのんきにも

「吸血鬼には会えたかねえ」

嘲笑にも似た不気味な笑いを浮かべていた

「俺を、ここから出してください。帰らせて……」
「お主、甘い匂いが強くなっているぞ」

ギルは老婆の方を振り返りながらも
震える指で鎖を外していた
この老婆、何かおかしい……!



「そうだ、お主からはあの女と同じ匂いがした。吐きそうなほど甘ったるい……!」



老婆は瞼を開いた
その中に瞳はなく
空虚な闇が広がっていた

あの女、甘い匂い……?

ギルは思わず手を止めた

「アンバーを…知っているのか…?」
「アンバー?あの女の名前はミラだ。『コハク・ミラ・マイヤー』さ」

……コハク?




ヨーロッパ随一の吸血鬼狩りヴァンパイアハンター
コハク・ミラ・マイヤー
ドイツと日本の混血ハーフのその女は

『必ずこの村を、吸血鬼の魔の手から救ってみせますわ』

そう言ってのけた
村民は歓喜に叫んだ
ようやく長年の恐怖から解放される!
しかし
洋館に向かった女が戻ってくることはなかった

吸血鬼に寝返ったのだ……!
血を吸われ
懐柔され
傀儡となったのだ
恥を知れ!

村民の不安と憎悪は瞬く間に膨れ上がった
吸血鬼狩りでも勝てないのなら
もう我らに抗う術はない
次のハンターを呼ばなければ

しかしそれだけではないことにワシは気づいていた
吸血鬼に血を吸われたものは
長い時間をかけて吸血鬼へと変貌する
そのような言い伝えがあった
あの吸血鬼をも殺す女が吸血鬼になったら?
我々人間に救いの日が来ることはない……!

ワシはやらねばならんと決意した
昼間、吸血鬼が眠る刻
かの洋館に忍び込むと
女はのんきにも庭の白百合に水をやっていた
殺しはどうした?
救ってみせると言ったのは貴様だ!
吸血鬼になる前に、殺さなければ
後ろから、
気づかれないように
的確に頚動脈を切り裂いた
聖水をブチまけたナイフで
吸血鬼になりかけの
ハンターのあの女が
なぜ無抵抗だったのかはわからない
吹き出した血は庭の白百合を紅く染めた

後日、女が死んだ噂が村にも流れてきた
これで被害は最小限で済んだ
ワシは安堵した
しかし村民の反応は想定していたものではなかった
あの最強のハンターが吸血鬼に殺された!
もう誰にも止められない!
村民全員殺され尽くしてしまう!

恐怖は最高潮に達した
村民は吸血鬼を畏怖し、狂った
柵を立て、
杭を打ち、
洋館の周りに木を植え続け、
やがて洋館は森の中へと消えた



「この村を殺した……あの女は反逆者だ!!」

ちょっと待て

「アンバーは200年前の人だ、貴女が会ったことあるはずがない」
「ワシはもう200年以上生きておる」
「何を…言って……」
「あの女を殺してから数十日後、ワシの家に来たのさ」

かの吸血鬼が!



『アンバーを…殺したのは貴様か』

全身が震えるようなドス黒い声色
殺してやる
殺意に満ちた眼光

『あわ、わわ、どうか、命だけは』

吸血鬼はワシの目を抉り出し

『あぎゃあああああああ』

両目に傷をつけ
そしてワシの首筋に噛み付いた



「ワシは吸血鬼にもならず、人間でもなくなった」

老婆はニタァと笑う
空虚な目は憎悪に満ちる

「永遠に老いながら、生き続ける、化け物さ」

そうだ、吸血鬼になるには確か条件がある
血を吸われたものが処女であること
では処女でない者が吸血されたら?
グールになるとか、死を迎えるとか
確信めいた伝承は聞いたことがない

「……貴様のせいだ」
「……は?」
「あの女の血が混じる者、全員その罪を負え」

老婆が懐からナイフを取り出す
まずいっ…!
ギルは思わず数歩下がる

「反逆者の血めええエェェェッ……!!!」

ナイフを突き立て
全速力で走り狂う老婆
顔を両腕で庇う
他の抵抗力を持ち合わせていない
目をギュッと瞑る
しかし想像していた痛みは訪れなかった
ゆっくりと目を開くと

「200年ぶりだな、女」

自分の目の前には吸血鬼、ヴラドの背中
老婆のナイフを素手で掴み
その手にはどくどくと血が流れている

「その、声は…!」
「このナイフは、アンバーを殺したナイフか?」

ヴラドが力を込めると
なおも右手から血を流しながらも
その刃先はみるみるうちに
ぐりんとねじ曲がる

「ひっヒィっ!化け物……!」

老婆はナイフから手を離す

「貴様はアンバーを殺し、次はコハクまで殺そうというのか」
「憎きコハク・ミラ・マイヤーの末裔だッ!死んで然るべき悪魔だ!」
「『コハク・ミラ・マイヤー』……それがアンバーの真名か」

ヴラドは嬉しそうにわずかに口角を上げた

「忌むべき血なのだ!人間を裏切ったマイヤー家の穢らわしい反逆者の血だ!!」
「その口を閉じろ。それ以上、彼女とこの男を蔑むことは許さない」

ヴラドは老婆の顎を掴み
その口をこじ開け
黙らせる

ちょっと待て
ギルの頭に一つの疑問が浮かぶ
おかしい
俺が生まれているということは、アンバーは処女ではなかった

「アンバーも貴女と同じ体質だったはずだ、ならば彼女が殺されるはずがない!」
「何もおかしいことなどない」

ヴラドは落ち着いた様子で整然と言う

「私は、彼女の血を吸っていないからな」
「何だって……?」
「私は彼女の生き血を吸ったことはない、吸血鬼にはしていない」
「……なぜ…貴方は彼女の血が欲しかったんだろ…」
「彼女が嫌だと言ったから、それだけだ」

当然のように言った
吸血鬼が人間の女の言うことに
そんな簡単に従うのか
この吸血鬼は本気で
人間の女アンバーのことを愛していたと言うのか


ぎひっ、ぎひっ
老婆は不気味に笑う

「ヴラド!その老婆は吸血鬼のなり損ないだ。殺せない!」
「あぁ、まだ人間は知らぬのか」

吸血鬼は老婆の顎を掴み
こじ開けたその口に
先ほどナイフで傷を負った自身の手を

「純血種の吸血鬼の血を飲んだ者は、人間に戻ると」

その指先から滴り落ちる赤い雫を
老婆の口に流し込む

「う”が、が、ぎゃあ」

老婆は体を暴れさせ
みるみるうちに干からびていく
抵抗力を失った老婆の首を掴み
宙に掴み上げる

「あの時、目を抉り出しておいて良かったな」
「グゴ、ォ”、ォオオ”」
「もう一度、私のこの顔を見ずに済んだのだから……!」

この憎悪と殺気に満ちた顔を!!

ヴラドは手の力を抜く
老婆の体はドスンと床に落ち
さらに干からびて
真夏のミミズのように
暴れ狂ったのち、息絶えた

「殺した…のか?」
「殺してなどいない。200年の負荷に人間の体が耐えきれず、死んだだけだ」
「良かっ…た」
「生き地獄を与えてやろうと思っていたが、失敗だったな」

まさかコハクに危害を加えるとは
そう言ってヴラドはギルの頬を撫でる

「私の血を与えるのは美しい女だけと決めていたのだが」
「た、すかった。ありがとう」
「まだだ」

その顎を優しく上げる

「貴様、このままでは吸血鬼になるぞ」
「あ、あぁ、そうか」
「どうせ童貞だろう」
「…ッ余計なお世話だ」

処女だけではなく
童貞も吸血鬼になる
資料に加えておかなければ

「どうした、顔が真っ赤だぞ」

手帳を探す手を押さえつけ
血のついた親指を
キスのごとくギルの舌先に押し付ける

あ、こいつの血、美味い…

我を忘れて舐めたくる
指先に舌を這わせ
奉仕するかのように舐めとる
両手でヴラドの手を掴んで
隅々まで味わう

「唆る顔だ」
「んちゅっ、は…」

必死で舐めきる

「これで貴様は人間に戻る」
「れろ、んっ、おいひ…ぃ…♡」
「それどころではないな」

吸血鬼の治癒力で
ヴラドの傷口がふさがる
血がなくなっても
ヴラドの手を舐め続けていたギル
その頭をヴラドが掴む

「もう終いだ、くすぐったくて叶わん」
「はぁっ、は…あれ、俺」

正気に戻る
ヴラドの手には
洋館から持ってきたカバンと
適当に見繕ったコート
ギルに押し付け

「今晩は寒くなる。これを着て中心地のホテルにでも泊まるがいい」

顔を背け、そう吐き捨てた
コートとカバンを受け取り面食らうギル

さらば

その場から立ち去ろうとするヴラドを

「……一つ聞かせてくれ」

ギルは呼び止めた

「あんたがアンバーを愛していることは重々理解した。だけど、俺はアンバーじゃない」
「アンバーじゃない、コハクだ」

それは、どちらの?

「お前を満足させれば、俺の質問に正直に答える。そう言ったな」
「あぁしかしお前は快感に悶えていて、それどころではなかった」
「じゃあ今答えろ。お前が愛しているのは、誰だ」
「かつて愛していたのは、アンバーだ。コハク・ミラ・マイヤー」

そして

ヴラドはギルの前に立った
噛み跡だらけの首筋から頬を優しく撫で
愛おしそうに笑った

「今愛しているのはギルベルト・コハク・マイヤーだ。」

ギルは真剣な瞳でヴラドを見つめる

「じゃあなんで俺を人間に戻した。吸血鬼であれば一生永遠に貴方と過ごせるのに」
「決まっている。人間である方がコハクが幸せでいられると思ったからだ」

この吸血鬼は
愛した者のために
自分の痛みを惜しまない生き物だ
それを痛みとも気づいていないのだ
またあの洋館で
何百年という月日を
一人きりで過ごすのだろう

「俺が、一緒に居られる時間なんてせいぜい50年くらいで」

ギルは目一杯背伸びをして
ヴラドの顔に自身の顔を近づける

「貴方にとっては50/597に過ぎないかもしれないけど、」

その赤い唇に
ちゅっと触れるだけのキスをした

「アンバーと過ごした10日を超えてみせるから、『さらば』なんて寂しいこと言うなよ」

ヴラドは目を見開く
かけられた言葉の意味を理解するのに
時間をかけている
呆然とした顔をしている
数秒して
その燃えるような赤い瞳から
一粒、静かに涙を零した

「愛している、コハク」

震えた声でそう呟いた




『アンバー、アンバー。どうした』

痺れる体を奮い起こし
壁にもたれかかりながら
庭に向かうと
庭には横たわる女の姿
真っ赤な血を流して倒れている

『アンバー!!』

一歩踏み出すも
頭に焼けるような痛みが走り、
外に出ることはできない
今日は快晴
燦々と照りつける太陽
少しでも外に出たら
灰になって消える

『アンバー、アンバー……』

ヴラドはその場に膝をついて座り込んだ
日よけのコートを取りに
クローゼットに向かうも
痺れた体は床を這うことしかできず
一向にたどり着かない
1時間ほどかけて
ようやくコートを着て
庭に戻ると
日はわずかに傾きかけていた

『アンバー……目を覚ませ』

横たえる女の上半身を起こすも
血を流す首は
だらりと力なく下がったままだった

『目を覚ませ……生きろ……!』

血まみれの首に噛み付いた
その血を吸った
死んだ血の味
人間にも吸血鬼にもなれない
死人の血

『ぁ……ぁ……』

初めて味わった彼女の血は
生き血には到底及ばないだろう
それでも
今まで飲んだどの女の血よりも
甘く
美しく
香しい
至高の味わいだった

ヴラドはそのまま
泣き叫んだまま
その体を抱きしめ続けていた
日が落ちて
重くのしかかる
鉛色の空で
カラスがギャアと泣いた




ギルベルト・コハク・マイヤーは
伝承民俗学研究の若き学者だ
吸血鬼伝説に関する伝承研究を専門とし
その功績が認められ、この度
ルーマニアに研究留学が認められた

ルーマニアの市街地のアパートに在住し
ルーマニアの人々に根付くドラキュラ公の話を
日々フィールドワークしている

『ヴラド三世は対オスマン帝国戦争の英雄よ』

『敵兵を串刺しにして回ったんだ、怖いよね』

『残酷な男さ、まさに『吸血鬼ドラキュラ』だ』

しかしギルは知っている
ヴラド三世は

「行ってみたいパブがあるんだ。今晩はそこに行こう」
「私は人間の食べ物は食さないが」
「酒は飲めるだろ?それに雰囲気だけでも楽しいさ。」
「バレたらどうする」
「サングラスをしていれば目はバレないし、その牙は八重歯ってことにしておけばいい」
「そんな簡単に行くものか」
「万が一バレたら、俺を抱えて逃げてくれ」
「ふっ、わかったわかった。行こうか、コハク」

今はそんなに、悪い男じゃない
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