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第7章<アンナの夢>
11、処遇
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私の子犬事件から3日程経った時だろうか、突如、セイフィード様の執事から連絡があり、お屋敷に来て欲しいとのことだった。
どうやら、マーリン師が謝罪をしに、セイフィード様のお屋敷を訪れたようだ。
セイフィード様と、マーリン師、それにミランダさんも一緒に応接間にいる。
セイフィード様のお父様は、ほぼ毎日登城してて、例に漏れず今日も不在だ。
恐らく、セイフィード様のお父様は、ワーカホリックなのだろう。
家庭より仕事を愛している。
だからもう既に、セイフィード様の家の雑務は全て、セイフィード様が行っているようだ。
「ご機嫌よう。皆さま」
私が挨拶すると、ソファーに腰掛けているセイフィード様は隣をポンポンと叩き、そこに座るよう示唆した。
私は素直にセイフィード様の隣に腰掛ける。
マーリン師は、緊張しているのだろうか⋯⋯、一点を見つめ石のように固まっている。
ミランダさんは、何か吹っ切れたような、清々しい表情をしている。
「それで、話って何ですか?」
セイフィード様が話を切り出す。
マーリン師は真っ直ぐにセイフィード様を見つめ、硬直したようないつもと違う声を発した。
「まずは、謝罪したい。研究所の所長は僕だから、アンナちゃんが危ない目にあったのは僕の責任だ。改めて謝罪するよ、アンナちゃん、ごめんなさい」
「私からも、改めて謝罪します。アンナ様、申し訳ございませんでした」
マーリン師に続き、ミランダさんも謝罪する。
2人は心から反省し、謝罪しているように思われた。
「でも、犬耳を付けたいって言ったのは、私ですし⋯⋯。マーリン師は悪くないですよ」
「いや、悪いのは僕、管理しきれなかった僕の責任だ。だから今回ミランダが犯した罪を半分負いたいんだ。だから罰として、僕は6ヶ月間無給、ミランダは6ヶ月間50%減額支給としたいんだ。どうかな?」
「ミランダが行った行為は誘拐ですよ。本来なら投獄される罪だ。それなのに減給だけとは都合が良すぎますね」
「そうなんだけど⋯⋯、そうなんだけど⋯⋯、セイフィード、お願いだ、僕の一生のお願いだ」
あれ⋯⋯、もしかして、マーリン師はミランダさんのこと好きなのかな⋯⋯。
だからこんなにも熱心にお願いするのかも。
私、別に怪我してないし、もう許してもいいんじゃないかな⋯⋯。
「少し、ミランダと2人で話がしたい。それからどうするか決める」
マーリン師はミランダさんが心配らしく、なかなか席を立とうとしない。
しかし、ミランダさんはそうなる事を予期してたかのように、マーリン師を宥め、席を外すよう促す。
私も、もちろん、セイフィード様とミランダさんがどんな話をするのか知りたかったが、私が居座れる雰囲気は全く無かった。
仕方がなく、私とマーリン師は応接間を出て、図書室で時間を潰すことにした。
「マーリン師、私はもうミランダさんに対して何も思ってないです。だからもし、ミランダさんの処罰が悪い方向になるようなら、私からも、セイフィード様にお願いしてみますね」
「あっ、ありがとう、ありがとう~、アンナちゃん」
「マーリン師は、ミランダさんのこと、好きなんですか?」
マーリン師は顔が真っ赤になる。
どうやら、図星のようだ。
「うっ、うん。でも、僕、ミランダの気持ちも知っているから。ただ、僕はミランダが側にいるだけで幸せなんだよ」
「至高の愛ですね。私、改めて、マーリン師を尊敬します」
マーリン師の見返りを求めない無償の愛⋯⋯、私には絶対に無理。
私がマーリン師だったら、フェリックスさんをクビにしてるに違いない。
それにしても、セイフィード様とミランダさん、何話してるのかな⋯⋯。
遅いんだけど⋯⋯。
「そこまで、言われると照れるね⋯⋯」
「それと、マーリン師、お礼を言わせて下さい。私、マーリン師の研究所で勉強できて、刺激を沢山頂けました。ありがとうございました。これからはここの図書室で医術の勉強に励みたいと思います」
「そっか⋯⋯、でも、またセイフィードと一緒に遊びに来てよー」
私とマーリン師の話がひと段落すると、セイフィード様がいる応接間へ戻るようにと連絡が入る。
その途端、マーリン師に緊張が走り、真顔になる。
「マーリン師、さっき提示した処遇で問題ありません」
セイフィード様は、マーリン師が椅子に腰掛ける前に話を切り出した。
「本当かい、ありがとう、セイフィード。感謝するよ」
マーリン師は良かったね、良かったねと言いながら、ミランダさんの手を握る。
ミランダさんの口は薄っすらと笑みを浮かべているが、目はどこか悲しげだ。
何か、セイフィード様に酷いことを言われたのだろうか⋯⋯。
「じゃあ、セイフィード、アンナちゃん、またね」
マーリン師は和かに、ミランダさんは静かに帰って行った。
その後、私とセイフィード様は天気がいいのでガゼボでお茶をすることにした。
「シャーロットと第二王子の婚約の話を聞いた。実際結婚する日程聞いたか?」
「いいえ、全く聞いてません」
「そうか⋯⋯、その日程に考慮しないとな」
「考慮って、もしかして、私達の、その、あの日程ですか?」
「そうだ。そろそろ決めないとな」
「そろそろですね!」
あの日程って、結婚の日程だよね⋯⋯。
私もセイフィード様ももうすぐ、結婚できる年齢になる。
とうとう、私はセイフィード様のお嫁さんになれるんだ⋯⋯。
幸せすぎて、怖いぐらい。
「それと、アンナにこれをやる」
セイフィード様が何かを私の頭にくっ付ける。
なんだろう⋯⋯。
私は頭に取り付けられた何かを触ってみると⋯⋯、弾力があり、明らかに私とは違う毛に触れた。
「これって⋯⋯、もしかして⋯⋯」
「そう、犬耳だ。おもちゃの犬耳。付けたかったんだろう」
私は急いで、鞄の中から手鏡を取り出し、見てみた。
手のサイズよりも一回り小さくした犬耳が、どういう仕様かわからないけど、頭の地肌に馴染んでちょこんと2つくっ付いている。
色は私の髪の色よりも、少し落ち着いたブロンドだ。
「アンナ、お手」
セイフィード様は私に手を出す。
セイフィード様の目は輝き、いかにも嬉しそう。
「⋯⋯しませんよ」
そんな恥ずかしいことできるわけない。
私は、こっそり自分だけで犬耳を楽しもうと思っていたのに。
「じゃあ、お座り」
「もう、座っていますっ」
「違う、ここにお座り」
セイフィード様は、自分の太ももをポンポンと叩く。
⋯⋯、座りたい。
セイフィード様の膝の上に座りたい。
けど、私は人間だーっ。
だから、そんなっ、そんな真似⋯⋯、できなくない。
うん、欲望のままに素直に従おう。
私は、セイフィード様の膝の上に腰掛ける。
セイフィード様との距離が近過ぎて、胸がドキドキする。
「大変よくできました。はい、これご褒美」
セイフィード様は使い古した一冊の分厚い本を私に手渡してくれた。
中を見ると、医術関係の記事を切り抜いて貼ってあったり、セイフィード様の文字で色々書かれてある。
「これは、何でしょうか?」
「俺の母親の病気に関する事柄を俺なりにまとめたものだ。ただ資料を集めただけで考察などはしていない。この件は、アンナに任すよ。アンナなら画期的な何かを見つけてくれそうだ」
「ありがとうございます。私、頑張ります」
「頑張り過ぎるなよ」
「はい」
いつのまにか、私は、後ろからセイフィード様に抱きしめられている。
おそらく、セイフィード様は後ろから抱きしめるのが好きなようだ。
もちろん、私も大好きだ。
「ワン、ワワンワワワワワン」
私は可愛らしく、犬ぽく犬語を喋ってみた。
犬派なセイフィード様なら、なんてアンナは可愛いんだろうと思ってくれるに違いない。
我ながら、あざとい。
「⋯⋯⋯⋯」
しかしセイフィード様は、とうとうコイツの頭おかしくなったか、みたいな表情をして私を見る。
どうやら犬語は失敗のようだ⋯⋯。
私は気を取り直して、セイフィード様に普通に話し掛ける。
「何て言ったと思いますか?」
「アンナはバカです、しかないだろ」
「違いますよっ。私は、セイフィード様のことが大好きですって、犬語で言ったんです」
「⋯⋯⋯⋯」
セイフィード様は少し顔を赤らめ、顔を横に背ける。
「セイフィード様も、犬語でいいんで、私のこと好きって言ってください」
「そんなバカなことできるかっ」
「じゃあ人間の言葉でもいいです」
「そのうちな」
「本当ですか! そのうちっていつですか? 絶対に言ってくださいね、犬語じゃ、駄目ですからね。約束ですよ!」
「あー、もう煩いっ」
セイフィード様は、突然、私の唇を唇で塞ぐ。
しっ、幸せ⋯⋯。
もう、ずっとこうしていたい⋯⋯。
どうやら、マーリン師が謝罪をしに、セイフィード様のお屋敷を訪れたようだ。
セイフィード様と、マーリン師、それにミランダさんも一緒に応接間にいる。
セイフィード様のお父様は、ほぼ毎日登城してて、例に漏れず今日も不在だ。
恐らく、セイフィード様のお父様は、ワーカホリックなのだろう。
家庭より仕事を愛している。
だからもう既に、セイフィード様の家の雑務は全て、セイフィード様が行っているようだ。
「ご機嫌よう。皆さま」
私が挨拶すると、ソファーに腰掛けているセイフィード様は隣をポンポンと叩き、そこに座るよう示唆した。
私は素直にセイフィード様の隣に腰掛ける。
マーリン師は、緊張しているのだろうか⋯⋯、一点を見つめ石のように固まっている。
ミランダさんは、何か吹っ切れたような、清々しい表情をしている。
「それで、話って何ですか?」
セイフィード様が話を切り出す。
マーリン師は真っ直ぐにセイフィード様を見つめ、硬直したようないつもと違う声を発した。
「まずは、謝罪したい。研究所の所長は僕だから、アンナちゃんが危ない目にあったのは僕の責任だ。改めて謝罪するよ、アンナちゃん、ごめんなさい」
「私からも、改めて謝罪します。アンナ様、申し訳ございませんでした」
マーリン師に続き、ミランダさんも謝罪する。
2人は心から反省し、謝罪しているように思われた。
「でも、犬耳を付けたいって言ったのは、私ですし⋯⋯。マーリン師は悪くないですよ」
「いや、悪いのは僕、管理しきれなかった僕の責任だ。だから今回ミランダが犯した罪を半分負いたいんだ。だから罰として、僕は6ヶ月間無給、ミランダは6ヶ月間50%減額支給としたいんだ。どうかな?」
「ミランダが行った行為は誘拐ですよ。本来なら投獄される罪だ。それなのに減給だけとは都合が良すぎますね」
「そうなんだけど⋯⋯、そうなんだけど⋯⋯、セイフィード、お願いだ、僕の一生のお願いだ」
あれ⋯⋯、もしかして、マーリン師はミランダさんのこと好きなのかな⋯⋯。
だからこんなにも熱心にお願いするのかも。
私、別に怪我してないし、もう許してもいいんじゃないかな⋯⋯。
「少し、ミランダと2人で話がしたい。それからどうするか決める」
マーリン師はミランダさんが心配らしく、なかなか席を立とうとしない。
しかし、ミランダさんはそうなる事を予期してたかのように、マーリン師を宥め、席を外すよう促す。
私も、もちろん、セイフィード様とミランダさんがどんな話をするのか知りたかったが、私が居座れる雰囲気は全く無かった。
仕方がなく、私とマーリン師は応接間を出て、図書室で時間を潰すことにした。
「マーリン師、私はもうミランダさんに対して何も思ってないです。だからもし、ミランダさんの処罰が悪い方向になるようなら、私からも、セイフィード様にお願いしてみますね」
「あっ、ありがとう、ありがとう~、アンナちゃん」
「マーリン師は、ミランダさんのこと、好きなんですか?」
マーリン師は顔が真っ赤になる。
どうやら、図星のようだ。
「うっ、うん。でも、僕、ミランダの気持ちも知っているから。ただ、僕はミランダが側にいるだけで幸せなんだよ」
「至高の愛ですね。私、改めて、マーリン師を尊敬します」
マーリン師の見返りを求めない無償の愛⋯⋯、私には絶対に無理。
私がマーリン師だったら、フェリックスさんをクビにしてるに違いない。
それにしても、セイフィード様とミランダさん、何話してるのかな⋯⋯。
遅いんだけど⋯⋯。
「そこまで、言われると照れるね⋯⋯」
「それと、マーリン師、お礼を言わせて下さい。私、マーリン師の研究所で勉強できて、刺激を沢山頂けました。ありがとうございました。これからはここの図書室で医術の勉強に励みたいと思います」
「そっか⋯⋯、でも、またセイフィードと一緒に遊びに来てよー」
私とマーリン師の話がひと段落すると、セイフィード様がいる応接間へ戻るようにと連絡が入る。
その途端、マーリン師に緊張が走り、真顔になる。
「マーリン師、さっき提示した処遇で問題ありません」
セイフィード様は、マーリン師が椅子に腰掛ける前に話を切り出した。
「本当かい、ありがとう、セイフィード。感謝するよ」
マーリン師は良かったね、良かったねと言いながら、ミランダさんの手を握る。
ミランダさんの口は薄っすらと笑みを浮かべているが、目はどこか悲しげだ。
何か、セイフィード様に酷いことを言われたのだろうか⋯⋯。
「じゃあ、セイフィード、アンナちゃん、またね」
マーリン師は和かに、ミランダさんは静かに帰って行った。
その後、私とセイフィード様は天気がいいのでガゼボでお茶をすることにした。
「シャーロットと第二王子の婚約の話を聞いた。実際結婚する日程聞いたか?」
「いいえ、全く聞いてません」
「そうか⋯⋯、その日程に考慮しないとな」
「考慮って、もしかして、私達の、その、あの日程ですか?」
「そうだ。そろそろ決めないとな」
「そろそろですね!」
あの日程って、結婚の日程だよね⋯⋯。
私もセイフィード様ももうすぐ、結婚できる年齢になる。
とうとう、私はセイフィード様のお嫁さんになれるんだ⋯⋯。
幸せすぎて、怖いぐらい。
「それと、アンナにこれをやる」
セイフィード様が何かを私の頭にくっ付ける。
なんだろう⋯⋯。
私は頭に取り付けられた何かを触ってみると⋯⋯、弾力があり、明らかに私とは違う毛に触れた。
「これって⋯⋯、もしかして⋯⋯」
「そう、犬耳だ。おもちゃの犬耳。付けたかったんだろう」
私は急いで、鞄の中から手鏡を取り出し、見てみた。
手のサイズよりも一回り小さくした犬耳が、どういう仕様かわからないけど、頭の地肌に馴染んでちょこんと2つくっ付いている。
色は私の髪の色よりも、少し落ち着いたブロンドだ。
「アンナ、お手」
セイフィード様は私に手を出す。
セイフィード様の目は輝き、いかにも嬉しそう。
「⋯⋯しませんよ」
そんな恥ずかしいことできるわけない。
私は、こっそり自分だけで犬耳を楽しもうと思っていたのに。
「じゃあ、お座り」
「もう、座っていますっ」
「違う、ここにお座り」
セイフィード様は、自分の太ももをポンポンと叩く。
⋯⋯、座りたい。
セイフィード様の膝の上に座りたい。
けど、私は人間だーっ。
だから、そんなっ、そんな真似⋯⋯、できなくない。
うん、欲望のままに素直に従おう。
私は、セイフィード様の膝の上に腰掛ける。
セイフィード様との距離が近過ぎて、胸がドキドキする。
「大変よくできました。はい、これご褒美」
セイフィード様は使い古した一冊の分厚い本を私に手渡してくれた。
中を見ると、医術関係の記事を切り抜いて貼ってあったり、セイフィード様の文字で色々書かれてある。
「これは、何でしょうか?」
「俺の母親の病気に関する事柄を俺なりにまとめたものだ。ただ資料を集めただけで考察などはしていない。この件は、アンナに任すよ。アンナなら画期的な何かを見つけてくれそうだ」
「ありがとうございます。私、頑張ります」
「頑張り過ぎるなよ」
「はい」
いつのまにか、私は、後ろからセイフィード様に抱きしめられている。
おそらく、セイフィード様は後ろから抱きしめるのが好きなようだ。
もちろん、私も大好きだ。
「ワン、ワワンワワワワワン」
私は可愛らしく、犬ぽく犬語を喋ってみた。
犬派なセイフィード様なら、なんてアンナは可愛いんだろうと思ってくれるに違いない。
我ながら、あざとい。
「⋯⋯⋯⋯」
しかしセイフィード様は、とうとうコイツの頭おかしくなったか、みたいな表情をして私を見る。
どうやら犬語は失敗のようだ⋯⋯。
私は気を取り直して、セイフィード様に普通に話し掛ける。
「何て言ったと思いますか?」
「アンナはバカです、しかないだろ」
「違いますよっ。私は、セイフィード様のことが大好きですって、犬語で言ったんです」
「⋯⋯⋯⋯」
セイフィード様は少し顔を赤らめ、顔を横に背ける。
「セイフィード様も、犬語でいいんで、私のこと好きって言ってください」
「そんなバカなことできるかっ」
「じゃあ人間の言葉でもいいです」
「そのうちな」
「本当ですか! そのうちっていつですか? 絶対に言ってくださいね、犬語じゃ、駄目ですからね。約束ですよ!」
「あー、もう煩いっ」
セイフィード様は、突然、私の唇を唇で塞ぐ。
しっ、幸せ⋯⋯。
もう、ずっとこうしていたい⋯⋯。
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