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第5章<恋敵オリヴィア様>
7、離宮
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舞踏会当日、セイフィード様との不仲を演じるため、私はセイフィード様から頂いたドレスではなく、ゾフィー兄様から頂いたドレスを着ることにした。
そのせいで、ゾフィー兄様は、私とセイフィード様に何かあったのではないかと心配している。
噂話については、嘘だと確信しているようだったけど⋯⋯。
ゾフィー兄様に心配かけてしまって、申し訳なく思う⋯⋯⋯。
一刻も早く、ゲリーとの件を解決して、心穏やかに過ごしたい。
そして、セイフィード様とイチャイチャするんだ!
今日、頑張ろう。
と、気合を入れ、私は馬車に乗り込んだ。
もちろん、シャーロットも一緒に。
馬車が離宮につくと、早速、水の妖精が出迎えてくれた。
日が沈みかけていたが、水の妖精は、水を振りまき、虹を至る所に作ってくれていた。
「わぁーー。綺麗だね、シャーロット」
「ほんとうに、綺麗で幻想的ですわ」
その美しい光景の中に、これまた美しいセイフィード様とオリヴィア様が、仲睦まじそうに離宮の庭園を歩いていた。
ちょっ、ちょっと、セイフィード様、オリヴィア様と近過ぎ!
なんなの、もう。
あ、あんな笑顔をオリヴィア様に向けて⋯⋯⋯⋯。
ドス暗い嫉妬がふつふつと、私から湧きだしてきた。
「アンナ、表情が怖くてよ」
シャーロットが、私に耳打ちした。
まずい⋯⋯⋯。
きっと私は、般若のような表情をしてたに違いない。
落ち着け、私。
平静を装わなければ。
セイフィード様は、演技でオリヴィア様と仲良くしてるのだから⋯⋯。
気を取り直して私は、シャーロットと一緒に、離宮の邸宅に入った。
先ずは第二王子に挨拶するべく、虹の間に入った。
その虹の間は、大きな窓がいくつもあり、ステンドグラスがはめ込まれていた。
そのステンドグラスに夕刻の光が差し込み、虹を浮かび上がらせていた
その虹の光を浴びながら、第二王子は堂々と立ち、来賓に挨拶していた。
「よく来たな、シャーロット、アンナ」
「お招き頂き、ありがとうございます」
「ここ離宮は、食べ物は美味いし、珍しい紅茶もある。是非、楽しんでってくれ」
美味しいと噂される料理の品々は、別室に用意されており、私達は早速見に行った。
「わぁ、とても美味しそう。食べてもいいのかな?」
「ええ、よろしいんじゃないかしら」
「シャーロットも、食べる?」
「わたくしは、是非、珍しい紅茶を頂きたいわ」
この離宮には専用のティールームがあるらしく、そこで紅茶とお菓子を頂けるとのことだった。
「じゃあ、私、ここにある料理をティールームに運んでもらおうかな」
「ええ、そうなさるといいわ。わたくしは先にティールームに行きますわね」
シャーロットは大の紅茶好きだ。
珍しい紅茶と聞いて居ても立っても居られない様子だ。
私はシャーロットと別れて、料理を物色した。
間が悪いことに、オリヴィア様とセイフィード様も料理が置いてある部屋に現れた。
オリヴィア様は、私を見ると、まぁ、なんて意地汚いのかしら、というような表情をした。
セイフィード様は無表情だ。
私はそんな2人を無視して、メイドさんに料理を取り分けてもらい、ティールームに運んでくれるようにお願いした。
私が、ティールームに着くと、シャーロットはいなかった。
シャーロット、誰かと会って話をしてたりするのかな⋯⋯。
それとも⋯⋯、トイレかな。
私はしばらくシャーロットを待つことにした。
けれど、待てど暮らせど、シャーロットはティールームに現れなかった。
もう日も落ち、離宮の庭園は暗くなっていた。
流石に、庭園にはいないだろうし⋯⋯。
シャーロットどこ行ったんだろう。
⋯⋯⋯⋯⋯。
今回の作戦って確か⋯⋯⋯私が人気の無い所に行ってゲリーを誘い出すんだよね。
シャーロットは関係ないよね。
すっごく不安になってきた。
なんで、第二王子もセイフィード様も私にちゃんと今回の作戦を説明してくれなかったんだろう。
⋯⋯⋯⋯うーーーーん。
悩んでいてもしょうがない、シャーロットを探しに行こう!
虹の間に戻り、シャーロットを探したけど見当たらず⋯⋯。
トイレや、他の部屋をこっそり探したけどシャーロットはいなかった。
あとは庭園だけど、警備の人に止められて出られなかった。
私は仕方がないので、ティールームのメイドさんにシャーロットが来なかったか、どこか他に行くような所がないか聞いてみた。
「シャーロット様⋯⋯⋯、あ、もしかしたら茶葉を保管しているリーフセラーに行ったかもしれません。茶葉を運んで来る途中、シャーロット様にお会いしまして、そのリーフセラーのことをお話ししましたので」
「そのリーフセラーってどこにあるの?」
「御案内致しましょうか?」
「ほんと!お願いします」
良かった。
シャーロットはリーフセラーに、きっといるんだ。
リーフセラーってどんなところだろう。
きっとワインセラーみたいなところだよね。
私もちょっと興味があるかも。
リーフセラーは邸宅の端の地下室にあるとのことだった。
地下室と聞いて一瞬、嫌な記憶がよぎったけど、今回はセイフィード様も第二王子も近くにいるし⋯⋯、大丈夫だよね。
地下へ続く階段は、冷んやりしていて、鳥肌が立った。
上着持って来れば良かった⋯⋯。
中はもっと寒いのかな。
シャーロット大丈夫かな、寒くないのかな⋯⋯。
リーフセラーの扉をメイドさんが開けてくれ、中に入ると、伊達男にシャーロットは腕を掴まれ、囚われていた。
そしてシャーロットの首元には伊達男の剣が近づけられていた。
その隣には薄ら笑いをしているゲリーがいた。
「騒ぐなよ、貴族のお嬢さん」
ゲリーは脅しを秘めた口調で私に声をかけた。
そのせいで、ゾフィー兄様は、私とセイフィード様に何かあったのではないかと心配している。
噂話については、嘘だと確信しているようだったけど⋯⋯。
ゾフィー兄様に心配かけてしまって、申し訳なく思う⋯⋯⋯。
一刻も早く、ゲリーとの件を解決して、心穏やかに過ごしたい。
そして、セイフィード様とイチャイチャするんだ!
今日、頑張ろう。
と、気合を入れ、私は馬車に乗り込んだ。
もちろん、シャーロットも一緒に。
馬車が離宮につくと、早速、水の妖精が出迎えてくれた。
日が沈みかけていたが、水の妖精は、水を振りまき、虹を至る所に作ってくれていた。
「わぁーー。綺麗だね、シャーロット」
「ほんとうに、綺麗で幻想的ですわ」
その美しい光景の中に、これまた美しいセイフィード様とオリヴィア様が、仲睦まじそうに離宮の庭園を歩いていた。
ちょっ、ちょっと、セイフィード様、オリヴィア様と近過ぎ!
なんなの、もう。
あ、あんな笑顔をオリヴィア様に向けて⋯⋯⋯⋯。
ドス暗い嫉妬がふつふつと、私から湧きだしてきた。
「アンナ、表情が怖くてよ」
シャーロットが、私に耳打ちした。
まずい⋯⋯⋯。
きっと私は、般若のような表情をしてたに違いない。
落ち着け、私。
平静を装わなければ。
セイフィード様は、演技でオリヴィア様と仲良くしてるのだから⋯⋯。
気を取り直して私は、シャーロットと一緒に、離宮の邸宅に入った。
先ずは第二王子に挨拶するべく、虹の間に入った。
その虹の間は、大きな窓がいくつもあり、ステンドグラスがはめ込まれていた。
そのステンドグラスに夕刻の光が差し込み、虹を浮かび上がらせていた
その虹の光を浴びながら、第二王子は堂々と立ち、来賓に挨拶していた。
「よく来たな、シャーロット、アンナ」
「お招き頂き、ありがとうございます」
「ここ離宮は、食べ物は美味いし、珍しい紅茶もある。是非、楽しんでってくれ」
美味しいと噂される料理の品々は、別室に用意されており、私達は早速見に行った。
「わぁ、とても美味しそう。食べてもいいのかな?」
「ええ、よろしいんじゃないかしら」
「シャーロットも、食べる?」
「わたくしは、是非、珍しい紅茶を頂きたいわ」
この離宮には専用のティールームがあるらしく、そこで紅茶とお菓子を頂けるとのことだった。
「じゃあ、私、ここにある料理をティールームに運んでもらおうかな」
「ええ、そうなさるといいわ。わたくしは先にティールームに行きますわね」
シャーロットは大の紅茶好きだ。
珍しい紅茶と聞いて居ても立っても居られない様子だ。
私はシャーロットと別れて、料理を物色した。
間が悪いことに、オリヴィア様とセイフィード様も料理が置いてある部屋に現れた。
オリヴィア様は、私を見ると、まぁ、なんて意地汚いのかしら、というような表情をした。
セイフィード様は無表情だ。
私はそんな2人を無視して、メイドさんに料理を取り分けてもらい、ティールームに運んでくれるようにお願いした。
私が、ティールームに着くと、シャーロットはいなかった。
シャーロット、誰かと会って話をしてたりするのかな⋯⋯。
それとも⋯⋯、トイレかな。
私はしばらくシャーロットを待つことにした。
けれど、待てど暮らせど、シャーロットはティールームに現れなかった。
もう日も落ち、離宮の庭園は暗くなっていた。
流石に、庭園にはいないだろうし⋯⋯。
シャーロットどこ行ったんだろう。
⋯⋯⋯⋯⋯。
今回の作戦って確か⋯⋯⋯私が人気の無い所に行ってゲリーを誘い出すんだよね。
シャーロットは関係ないよね。
すっごく不安になってきた。
なんで、第二王子もセイフィード様も私にちゃんと今回の作戦を説明してくれなかったんだろう。
⋯⋯⋯⋯うーーーーん。
悩んでいてもしょうがない、シャーロットを探しに行こう!
虹の間に戻り、シャーロットを探したけど見当たらず⋯⋯。
トイレや、他の部屋をこっそり探したけどシャーロットはいなかった。
あとは庭園だけど、警備の人に止められて出られなかった。
私は仕方がないので、ティールームのメイドさんにシャーロットが来なかったか、どこか他に行くような所がないか聞いてみた。
「シャーロット様⋯⋯⋯、あ、もしかしたら茶葉を保管しているリーフセラーに行ったかもしれません。茶葉を運んで来る途中、シャーロット様にお会いしまして、そのリーフセラーのことをお話ししましたので」
「そのリーフセラーってどこにあるの?」
「御案内致しましょうか?」
「ほんと!お願いします」
良かった。
シャーロットはリーフセラーに、きっといるんだ。
リーフセラーってどんなところだろう。
きっとワインセラーみたいなところだよね。
私もちょっと興味があるかも。
リーフセラーは邸宅の端の地下室にあるとのことだった。
地下室と聞いて一瞬、嫌な記憶がよぎったけど、今回はセイフィード様も第二王子も近くにいるし⋯⋯、大丈夫だよね。
地下へ続く階段は、冷んやりしていて、鳥肌が立った。
上着持って来れば良かった⋯⋯。
中はもっと寒いのかな。
シャーロット大丈夫かな、寒くないのかな⋯⋯。
リーフセラーの扉をメイドさんが開けてくれ、中に入ると、伊達男にシャーロットは腕を掴まれ、囚われていた。
そしてシャーロットの首元には伊達男の剣が近づけられていた。
その隣には薄ら笑いをしているゲリーがいた。
「騒ぐなよ、貴族のお嬢さん」
ゲリーは脅しを秘めた口調で私に声をかけた。
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