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第2章<セイフィード様との出会い>
4、魔物
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今日は昼と夜の長さが同じになるメデオ日。
またそれは年二回ある。
首都も町も強力な結界を施しているため、魔物はほぼ出現しない。
しかし、森や平原においては数多くの魔物が出現する。
魔物は放っておいても魔界には戻らないため、騎士が討伐する。
もしくは魔物を退治すると珍しい鉱物が手に入るため、一攫千金を狙って腕に覚えがある戦士も魔物と戦う。
このメデオ日だけは、学校もお店もお休みになり、住込み以外のメイドさんも休暇を取りそれぞれ自分の家で過ごす。
そして私は、メイドさんがいないことをいいことに、ケーキを作ることになっていた。
「シャーロット、じゃあケーキ作るね」
シャーロットと一緒に作りたかったけど、メイドさんの真似はできないって拒否されてしまった。
拒否したけど、私がどんなケーキを作るか興味があったらしくお菓子作りを見ている。
「アンナ、どんなケーキを作るおつもり?」
「果物盛りだくさんのクリームケーキだよ」
「とても、心配だわ」
「大丈夫」
自信満々に私は答える。
なぜなら、菓子作りは化学の実験に似ているため、前世の私は、かなり極めた。
よく女友達にあげ、好評を博していた。
小麦粉、砂糖、牛乳を計量する度に心が震える。
卵白が泡立つ瞬間、化学変化を想像して悶絶してしまう。
スポンジが焼けて、いい匂いがキッチンに充満する。
いい香りでとろけてしまいそうだ。
「すごいわ、アンナってケーキ職人になれてよ。早く食べましょう」
完成したケーキを見て、シャーロットの目が輝く。
早速、私は、シャーロット、お腹が大きいエレナ様、シャーロットの両親と一緒にケーキを食べた。
みんな口々に美味しい、美味しいと言ってくれた。
そうなってくると、私はセイフィード様にも食べて欲しくなった。
メデオ日は、基本外出は禁止だ。
でもセイフィード様は隣の家だし、両家の塀に小さな抜け穴を見つけたので、そこを通っていけば近道になる。
私はこっそりケーキを包み、誰にも見つからないよう出かける準備をした。
あたりが暗くなり始める前に、抜け穴を通り抜け、セイフィード様のお屋敷に着いた。
セイフィード様のお父様は魔法長官として登城してるし、お母様は田舎で療養中らしい。
メイドもこの時はほぼいないので実質、セイフィード様お一人だ。
「コンコン。アンナ・フェ・シーラスです。急用があって参りました」
私は急用なんて別にないが、ちょっと嘘をついてみた。
すると、セイフィード様自ら出てきた。
ちょっと不機嫌そうで、外出用のマントを着ている。
「なんだ、何の用だ?」
「えっと⋯⋯ケーキ作ったんです。私が。セイフィード様にも食べて欲しくってお持ちしました」
一瞬、セイフィード様の目が輝いた。
どうやら性格に似合わず甘いものが好きらしい。
「ふーん。じゃあ貰っておく。じゃあな」
すぐに、セイフィード様は扉を閉めそうになったので、私は急いで体を扉に挟んだ。
「セイフィード様、どこかに出掛けるのですか? メイドも1人もいないんですか?」
「あぁ、メイドはいない。俺も、もう大きいから1日くらい留守番できる。それと別に出掛けない」
「でも、マント着てますし⋯⋯」
「うるさいな、早く帰れ」
「もしかして、魔物を見に行くんですか?」
城壁の回廊から平野を見渡すことができ、魔物を見ることができる。
そのため怖いもの見たさや、度胸試しで見に行く人がいる。
「⋯⋯⋯⋯」
セイフィード様は無言だ。
どうやら正解したらしい。
「私も魔物、見に行きたいです」
「駄目だ」
「今から家に帰って、みんなに言いふらしますよ」
「アンナ、俺を脅すとはいい度胸だな⋯⋯。まぁ、しょうがないな。そのかわり俺のそばを絶対に離れるなよ」
「はい。セイフィード様」
とうとう、魔物が見れる。
キングスライムとか見たいな。
それか、ドラゴン系のカッコイイ魔物とかいるかな。
楽しみだなー。
私達は静まり返った街中を歩いた。
私は、セイフィード様のマントを掴み、その後ろを歩いた。
行けども、行けども、人は見渡す限りいない。
20分間ぐらい歩いただろうか、背の高い城壁が見えてきた。
「高いですね~。セイフィード様」
「うるさい、静かにしろ。衛兵に見つかる」
セイフィード様が私を睨んだ。
セイフィード様はどうやら魔物を見に行くのが、初めてではないらしい。
妙に慣れている。
セイフィード様は城壁に到着すると、衛兵には気づかれない場所に移動した。
すると、セイフィード様は地面に手をつき呪文を唱えた。
『コリジェンス・ウ・テイミー』
魔法陣が浮かび上がり、その魔法陣に地面の砂が集まってきた。
集まった砂は鉄板のように固まり、マンホールの蓋のような形になった。
「乗るぞ」
とセイフィード様は言うと、私の手を引っ張り抱き寄せた。
そうすると、そのマンホールの蓋らしきものは私たちを乗せて急上昇したのである。
魔法式エレベーターだ。
私は抱きしめられた嬉しさと、魔法を体感できた高揚感で胸がいっぱいになった。
城壁の一番高い場所まで着くと、私とセイフィード様は城壁の回廊に飛び移った。
早速、城壁の外を見てみると遠くの方で何かが赤黒く光った。
丁度、魔物が出現したらしい。
セイフィード様は望遠鏡を取り出し、その魔物を見た。
「っ、まずいな⋯⋯」
私も早く見たくて、セイフィード様に望遠鏡を借りて見てみた。
その魔物はおそらく体長3メートルぐらいで足が8本あり、まるで蜘蛛のようだ。
蜘蛛の形をしているが、頭には目も鼻もなく大きな口だけがある。
また大きな口の中には数多くの牙がある。
「なにあれ⋯⋯、全然可愛くない」
我ながらバカな感想をしてしまった。
「あの魔物はグーモだ。毒も持っている」
セイフィード様は呆れながら魔物の説明をしてくれた。
「大丈夫かな。こっちには来ないよね」
「ここは強力な魔法壁が貼ってあるから大丈夫だ。グーモが来ても跳ね返される」
セイフィード様が私の頭をポンポンと軽く叩き安心させてくれた。
「ただ、騎士や戦士に怪我人が出るかもしれない。グーモは中級の魔物だ。それに・・・・」
とセイフィード様が言うと、突然雷鳴が轟いた。
その雷鳴が轟くと同時に稲妻がグーモに激突した。
グーモの出現に気づいた魔法戦士が雷の魔法で攻撃した。
それを機に他の戦士も攻撃に加わる。
どの戦士もグーモの戦いに慣れているようで、グーモの後方から足目掛けて攻撃している。
戦いは意外にも一瞬で戦士側が勝利した。
「すごーい。勝ちましたね」
私は思わず拍手してしまった。
しかし、セイフィード様はまだ浮かない顔をしている。
私はそろそろ帰りたいなと思っていたら、城壁からほど近い所にまた赤黒い光が発生した。
その赤黒い光は5箇所に発生し、またそこからグーモが5匹現れた。
すぐに2匹は戦士によって倒されたが、3匹がものすごい勢いで城壁に向かってくる。
その3匹はセイフィード様が言ってた通り、城壁に衝突する前に跳ね返された。
しかし、3匹は再度こちらに向かってくる。
「やっぱりな。グーモは群れて行動する。まだまだ現れるかもしれない」
その時、何処からともなくフードを被り、杖を持った黒ずくめの人が現れた。
その人は何かの呪文を唱え、城壁に向かって巨大な魔法陣を出現させた。
すると地鳴りがし首都に施してある魔法壁に亀裂が入った。
それを見ていたセイフィード様も呪文を唱えた。
『プロテイヤ・プロテイヤ・土の精霊よ・我に集い・我を守れ』
詠唱が終わると、亀裂が発生した魔法壁の前に魔法陣が発生し、グーモの侵入を防いだ。
この騒ぎを聞きつけた衛兵が、グーモの討伐に加わる。
「アンナ、お前はこのことを俺の父、城にいる魔法長官に伝えるんだ。俺はここを守る」
「は、はい」
私はすぐに走り出し、城壁の階段を降り、城に向かって走り出した。
城まで私の足だと30分くらいかかる。
私は自慢じゃないが前世から運動音痴だ。
マラソンなんて大嫌い。
こんなとき、私に魔力があったら、魔法が使えたら、セイフィード様は一緒に戦おうって言ってくれただろうか。
そもそも、城に着いたとしても中に入れてくれるだろうか。
こんな小娘のこと信じてくれるんだろうか。
なんて私は役立たずなんだろ。
そんなことを考えながら私は精一杯走った。
思いのほか早く城に到着し、城の衛兵に先の出来事を話そうとした。
「ゼエゼエ、ゼエゼエ・・・・じょおへ・・きが、ゼエゼエ」
私は思っきり走り過ぎて苦しくて言葉が出てこない。
「こんな日に女の子が1人で出歩いては駄目だ。早く家に帰りなさい」
「あの、ゼエゼエ、ま、まほうへきに、ゼエゼエ、きれつが入りました。へ、へんな人がいきなり」
と私がいいかけた時、1人の騎士が馬に乗って現れた。
どうやら城壁から来たようだ。
「魔法壁が破られた。一刻も早く王に報告する必要がある。道を開けよ」
大きな声でその騎士が叫んだ。
騎士は私を見ると、
「きみは、城壁にいた子供だな。君もきなさい」
と言うと私を担ぎ上げ馬に乗せた。
馬の乗り心地は最悪だった。
騎士の甲冑がゴツゴツしてて体に触れると痛いし、揺れすぎて股が痛い。
白馬の王子様と優雅に馬に乗るプリンセスは幻なんだな⋯⋯と私はその時、悟った。
王の謁見はその騎士1人で行われた。
そに騎士の名前はロイと言う。
その後、ロイさんは魔法長官に会いに行くと言うので、私も魔法長官に会わせてほしいとお願いした。
首都を守る魔法壁の魔法陣は城の地下にある。
その地下は半円形の空洞で、テニスコートぐらいの大きさだ。
魔法陣の大きさはその地下空間を埋めてしまうほど大きい。
そこには、5人の魔法使いが魔方陣を組み立て維持している。
また補佐要員として他に10人ほどの魔法使いがいる。
そして魔方陣から少し離れた所に魔法長官がいた。
「ネヴィリス伯爵、セイフィード様が、城壁にいるんです。助けてあげて下さい」
「ああ、わかっている。魔法騎士団を向かわせるから、安心しなさい。それにセイフィードは強い。大丈夫だよ」
ネヴィリス伯爵は優しく私に言う。
「さてロイ、説明してくれ」
ネヴィリス伯爵はロイに向き合い、ロイは城壁であったことを詳細に説明した。
「なるほど、不審な魔法使いか。かなり強い魔法使いなのだろう。今、亀裂の修繕に取り掛かっているが、難航中だ。その魔法壁に亀裂を入れた魔方陣はどんなだったか覚えているか?」
「いえ、申し訳ございません。覚えていません」
ロイは拳を強く握りしめて応えた。
「あの⋯⋯、私、覚えています」
私は遠慮がちに手を挙げた。
セイフィード様の宿題をやっていたせいか、魔方陣の構成方法は熟知していた。
それに魔方陣って化学式に似ていて大好きだ。
「本当か! では早速この紙に書いてみなさい」
ネヴィリス伯爵が、私に紙とペンを渡してくれた。
私は、すぐさま覚えている魔方陣を書いて、ネヴィリス伯爵に渡した。
「これは⋯⋯、なるほど。アンナ、ありがとう。とても役立つよ」
ネヴィリス伯爵が役立つと言ってくれて私はとても嬉しかった。
すぐにネヴィリス伯爵は、魔法陣を形成している5人の魔法使いに加わり、新たな魔法陣を追加した。
するとその新たな魔法陣は時計の歯車のように魔法陣に組み込まれ、回転しだし、光り輝き始めた。
それを見たロイさんが私に話しかけた。
「私はまた城壁に戻ります。アンナ様はここにいなさい、わかったね。では失礼します」
セイフィード様、大丈夫かな。
ネヴィリス伯爵はセイフィード様は強いって言ってたけど、まだ11歳だし。
あの不審な魔法使いが、セイフィード様を攻撃したらどうしよう⋯⋯。
不安の中、私はじっと大人しく待機していた。
私が城に来てから3時間ほど経った時、セイフィード様がロイさんに付き添われて、現れた。
「セイフィード様!」
私はセイフィード様に抱きついた。
緊張と不安から解放された私は、涙がとめどなく溢れ、セイフィード様の胸の中で泣きじゃくった。
そんな私に対し、セイフィード様は無言のまま私の頭を軽くポンポンとしてくれた。
ロイの話によると、魔法壁の亀裂は修復され、魔物は全て跳ね返された。
その後もグーモが数多く出現したが全て討伐できたようだ。
またグーモの討伐にセイフィード様も応戦し、大活躍したらしい。
しかしあの不審な魔法使いは、消え去り捕まえることができなかった。
安心しきってた私だったが、突如後ろから肩を掴まれた。
振り返るとコルベーナ侯爵がいた。
「アンナ、無事で何より」
口元は微笑んでいるが、相変わらず目が笑っていない。
というより今回は目が怒りに満ちてる。
どうやら、ロイさんが私の家に連絡をしてくれ、コルベーナ侯爵が迎えに来てくれた。
しかし、この件を話し合う会議が先ほど召集され、コルベーナ侯爵は大臣として城に残ることになり、結局、私はメイドさんと一緒に家に帰ることになった。
セイフィード様と一緒に帰りたかったが、まだここに留まるらしい。
それにしても、家に帰るのがとても怖い。
きっとコルベーナ家全員怒っているに違いない。
案の定、家に到着するや否や、侯爵夫人から大目玉を食らった。
きっと侯爵夫人の人生の中で1番怒ったんじゃないかと思われる。
侯爵夫人から解放された私は、すぐに泥のように眠った。
目がさめるとお昼で、シャーロットが心配そうに私を見つめている。
「アンナ、目覚めたのね。わたくし心配してました」
「ごめんなさい、シャーロット。今回もみんなにいっぱい迷惑かけちゃった」
「ええ、そうね。でもわたくしはあなたが無事ならそれでいいわ」
シャーロットが優しく私の手を握る。
「そうそう、アンナ。あなたお咎めがないそうよ。魔法陣でなにか功績を納めたらしいわね。それにその経緯を見ていた宮廷学校の先生が、魔法陣学を受講するようにって言ってくだされたわ。単位は取得できないと思うけど受講はできるそうよ」
「ほんとに! すごい! 嬉しい~。やった」
私が受講したかった魔法陣学だ。
絶対に無理だと思っていたのに奇跡が起こった。
嬉しすぎてニヤニヤしちゃう。
「アンナ、調子に乗りすぎてもダメよ」
シャーロットが釘をさした。
「あ、セイフィード様は?お咎めなしかな」
「ええ、セイフィード様も城壁での功績を鑑みてお咎めなしとのことよ」
シャーロットは少しムスッとした。
シャーロットはもしかしてセイフィード様のこと好きじゃないのかなと思ったが訊かないでおいた。
今回のことを大いに反省した私は、もうみんなには迷惑かけまいと強く強く思った。
またそれは年二回ある。
首都も町も強力な結界を施しているため、魔物はほぼ出現しない。
しかし、森や平原においては数多くの魔物が出現する。
魔物は放っておいても魔界には戻らないため、騎士が討伐する。
もしくは魔物を退治すると珍しい鉱物が手に入るため、一攫千金を狙って腕に覚えがある戦士も魔物と戦う。
このメデオ日だけは、学校もお店もお休みになり、住込み以外のメイドさんも休暇を取りそれぞれ自分の家で過ごす。
そして私は、メイドさんがいないことをいいことに、ケーキを作ることになっていた。
「シャーロット、じゃあケーキ作るね」
シャーロットと一緒に作りたかったけど、メイドさんの真似はできないって拒否されてしまった。
拒否したけど、私がどんなケーキを作るか興味があったらしくお菓子作りを見ている。
「アンナ、どんなケーキを作るおつもり?」
「果物盛りだくさんのクリームケーキだよ」
「とても、心配だわ」
「大丈夫」
自信満々に私は答える。
なぜなら、菓子作りは化学の実験に似ているため、前世の私は、かなり極めた。
よく女友達にあげ、好評を博していた。
小麦粉、砂糖、牛乳を計量する度に心が震える。
卵白が泡立つ瞬間、化学変化を想像して悶絶してしまう。
スポンジが焼けて、いい匂いがキッチンに充満する。
いい香りでとろけてしまいそうだ。
「すごいわ、アンナってケーキ職人になれてよ。早く食べましょう」
完成したケーキを見て、シャーロットの目が輝く。
早速、私は、シャーロット、お腹が大きいエレナ様、シャーロットの両親と一緒にケーキを食べた。
みんな口々に美味しい、美味しいと言ってくれた。
そうなってくると、私はセイフィード様にも食べて欲しくなった。
メデオ日は、基本外出は禁止だ。
でもセイフィード様は隣の家だし、両家の塀に小さな抜け穴を見つけたので、そこを通っていけば近道になる。
私はこっそりケーキを包み、誰にも見つからないよう出かける準備をした。
あたりが暗くなり始める前に、抜け穴を通り抜け、セイフィード様のお屋敷に着いた。
セイフィード様のお父様は魔法長官として登城してるし、お母様は田舎で療養中らしい。
メイドもこの時はほぼいないので実質、セイフィード様お一人だ。
「コンコン。アンナ・フェ・シーラスです。急用があって参りました」
私は急用なんて別にないが、ちょっと嘘をついてみた。
すると、セイフィード様自ら出てきた。
ちょっと不機嫌そうで、外出用のマントを着ている。
「なんだ、何の用だ?」
「えっと⋯⋯ケーキ作ったんです。私が。セイフィード様にも食べて欲しくってお持ちしました」
一瞬、セイフィード様の目が輝いた。
どうやら性格に似合わず甘いものが好きらしい。
「ふーん。じゃあ貰っておく。じゃあな」
すぐに、セイフィード様は扉を閉めそうになったので、私は急いで体を扉に挟んだ。
「セイフィード様、どこかに出掛けるのですか? メイドも1人もいないんですか?」
「あぁ、メイドはいない。俺も、もう大きいから1日くらい留守番できる。それと別に出掛けない」
「でも、マント着てますし⋯⋯」
「うるさいな、早く帰れ」
「もしかして、魔物を見に行くんですか?」
城壁の回廊から平野を見渡すことができ、魔物を見ることができる。
そのため怖いもの見たさや、度胸試しで見に行く人がいる。
「⋯⋯⋯⋯」
セイフィード様は無言だ。
どうやら正解したらしい。
「私も魔物、見に行きたいです」
「駄目だ」
「今から家に帰って、みんなに言いふらしますよ」
「アンナ、俺を脅すとはいい度胸だな⋯⋯。まぁ、しょうがないな。そのかわり俺のそばを絶対に離れるなよ」
「はい。セイフィード様」
とうとう、魔物が見れる。
キングスライムとか見たいな。
それか、ドラゴン系のカッコイイ魔物とかいるかな。
楽しみだなー。
私達は静まり返った街中を歩いた。
私は、セイフィード様のマントを掴み、その後ろを歩いた。
行けども、行けども、人は見渡す限りいない。
20分間ぐらい歩いただろうか、背の高い城壁が見えてきた。
「高いですね~。セイフィード様」
「うるさい、静かにしろ。衛兵に見つかる」
セイフィード様が私を睨んだ。
セイフィード様はどうやら魔物を見に行くのが、初めてではないらしい。
妙に慣れている。
セイフィード様は城壁に到着すると、衛兵には気づかれない場所に移動した。
すると、セイフィード様は地面に手をつき呪文を唱えた。
『コリジェンス・ウ・テイミー』
魔法陣が浮かび上がり、その魔法陣に地面の砂が集まってきた。
集まった砂は鉄板のように固まり、マンホールの蓋のような形になった。
「乗るぞ」
とセイフィード様は言うと、私の手を引っ張り抱き寄せた。
そうすると、そのマンホールの蓋らしきものは私たちを乗せて急上昇したのである。
魔法式エレベーターだ。
私は抱きしめられた嬉しさと、魔法を体感できた高揚感で胸がいっぱいになった。
城壁の一番高い場所まで着くと、私とセイフィード様は城壁の回廊に飛び移った。
早速、城壁の外を見てみると遠くの方で何かが赤黒く光った。
丁度、魔物が出現したらしい。
セイフィード様は望遠鏡を取り出し、その魔物を見た。
「っ、まずいな⋯⋯」
私も早く見たくて、セイフィード様に望遠鏡を借りて見てみた。
その魔物はおそらく体長3メートルぐらいで足が8本あり、まるで蜘蛛のようだ。
蜘蛛の形をしているが、頭には目も鼻もなく大きな口だけがある。
また大きな口の中には数多くの牙がある。
「なにあれ⋯⋯、全然可愛くない」
我ながらバカな感想をしてしまった。
「あの魔物はグーモだ。毒も持っている」
セイフィード様は呆れながら魔物の説明をしてくれた。
「大丈夫かな。こっちには来ないよね」
「ここは強力な魔法壁が貼ってあるから大丈夫だ。グーモが来ても跳ね返される」
セイフィード様が私の頭をポンポンと軽く叩き安心させてくれた。
「ただ、騎士や戦士に怪我人が出るかもしれない。グーモは中級の魔物だ。それに・・・・」
とセイフィード様が言うと、突然雷鳴が轟いた。
その雷鳴が轟くと同時に稲妻がグーモに激突した。
グーモの出現に気づいた魔法戦士が雷の魔法で攻撃した。
それを機に他の戦士も攻撃に加わる。
どの戦士もグーモの戦いに慣れているようで、グーモの後方から足目掛けて攻撃している。
戦いは意外にも一瞬で戦士側が勝利した。
「すごーい。勝ちましたね」
私は思わず拍手してしまった。
しかし、セイフィード様はまだ浮かない顔をしている。
私はそろそろ帰りたいなと思っていたら、城壁からほど近い所にまた赤黒い光が発生した。
その赤黒い光は5箇所に発生し、またそこからグーモが5匹現れた。
すぐに2匹は戦士によって倒されたが、3匹がものすごい勢いで城壁に向かってくる。
その3匹はセイフィード様が言ってた通り、城壁に衝突する前に跳ね返された。
しかし、3匹は再度こちらに向かってくる。
「やっぱりな。グーモは群れて行動する。まだまだ現れるかもしれない」
その時、何処からともなくフードを被り、杖を持った黒ずくめの人が現れた。
その人は何かの呪文を唱え、城壁に向かって巨大な魔法陣を出現させた。
すると地鳴りがし首都に施してある魔法壁に亀裂が入った。
それを見ていたセイフィード様も呪文を唱えた。
『プロテイヤ・プロテイヤ・土の精霊よ・我に集い・我を守れ』
詠唱が終わると、亀裂が発生した魔法壁の前に魔法陣が発生し、グーモの侵入を防いだ。
この騒ぎを聞きつけた衛兵が、グーモの討伐に加わる。
「アンナ、お前はこのことを俺の父、城にいる魔法長官に伝えるんだ。俺はここを守る」
「は、はい」
私はすぐに走り出し、城壁の階段を降り、城に向かって走り出した。
城まで私の足だと30分くらいかかる。
私は自慢じゃないが前世から運動音痴だ。
マラソンなんて大嫌い。
こんなとき、私に魔力があったら、魔法が使えたら、セイフィード様は一緒に戦おうって言ってくれただろうか。
そもそも、城に着いたとしても中に入れてくれるだろうか。
こんな小娘のこと信じてくれるんだろうか。
なんて私は役立たずなんだろ。
そんなことを考えながら私は精一杯走った。
思いのほか早く城に到着し、城の衛兵に先の出来事を話そうとした。
「ゼエゼエ、ゼエゼエ・・・・じょおへ・・きが、ゼエゼエ」
私は思っきり走り過ぎて苦しくて言葉が出てこない。
「こんな日に女の子が1人で出歩いては駄目だ。早く家に帰りなさい」
「あの、ゼエゼエ、ま、まほうへきに、ゼエゼエ、きれつが入りました。へ、へんな人がいきなり」
と私がいいかけた時、1人の騎士が馬に乗って現れた。
どうやら城壁から来たようだ。
「魔法壁が破られた。一刻も早く王に報告する必要がある。道を開けよ」
大きな声でその騎士が叫んだ。
騎士は私を見ると、
「きみは、城壁にいた子供だな。君もきなさい」
と言うと私を担ぎ上げ馬に乗せた。
馬の乗り心地は最悪だった。
騎士の甲冑がゴツゴツしてて体に触れると痛いし、揺れすぎて股が痛い。
白馬の王子様と優雅に馬に乗るプリンセスは幻なんだな⋯⋯と私はその時、悟った。
王の謁見はその騎士1人で行われた。
そに騎士の名前はロイと言う。
その後、ロイさんは魔法長官に会いに行くと言うので、私も魔法長官に会わせてほしいとお願いした。
首都を守る魔法壁の魔法陣は城の地下にある。
その地下は半円形の空洞で、テニスコートぐらいの大きさだ。
魔法陣の大きさはその地下空間を埋めてしまうほど大きい。
そこには、5人の魔法使いが魔方陣を組み立て維持している。
また補佐要員として他に10人ほどの魔法使いがいる。
そして魔方陣から少し離れた所に魔法長官がいた。
「ネヴィリス伯爵、セイフィード様が、城壁にいるんです。助けてあげて下さい」
「ああ、わかっている。魔法騎士団を向かわせるから、安心しなさい。それにセイフィードは強い。大丈夫だよ」
ネヴィリス伯爵は優しく私に言う。
「さてロイ、説明してくれ」
ネヴィリス伯爵はロイに向き合い、ロイは城壁であったことを詳細に説明した。
「なるほど、不審な魔法使いか。かなり強い魔法使いなのだろう。今、亀裂の修繕に取り掛かっているが、難航中だ。その魔法壁に亀裂を入れた魔方陣はどんなだったか覚えているか?」
「いえ、申し訳ございません。覚えていません」
ロイは拳を強く握りしめて応えた。
「あの⋯⋯、私、覚えています」
私は遠慮がちに手を挙げた。
セイフィード様の宿題をやっていたせいか、魔方陣の構成方法は熟知していた。
それに魔方陣って化学式に似ていて大好きだ。
「本当か! では早速この紙に書いてみなさい」
ネヴィリス伯爵が、私に紙とペンを渡してくれた。
私は、すぐさま覚えている魔方陣を書いて、ネヴィリス伯爵に渡した。
「これは⋯⋯、なるほど。アンナ、ありがとう。とても役立つよ」
ネヴィリス伯爵が役立つと言ってくれて私はとても嬉しかった。
すぐにネヴィリス伯爵は、魔法陣を形成している5人の魔法使いに加わり、新たな魔法陣を追加した。
するとその新たな魔法陣は時計の歯車のように魔法陣に組み込まれ、回転しだし、光り輝き始めた。
それを見たロイさんが私に話しかけた。
「私はまた城壁に戻ります。アンナ様はここにいなさい、わかったね。では失礼します」
セイフィード様、大丈夫かな。
ネヴィリス伯爵はセイフィード様は強いって言ってたけど、まだ11歳だし。
あの不審な魔法使いが、セイフィード様を攻撃したらどうしよう⋯⋯。
不安の中、私はじっと大人しく待機していた。
私が城に来てから3時間ほど経った時、セイフィード様がロイさんに付き添われて、現れた。
「セイフィード様!」
私はセイフィード様に抱きついた。
緊張と不安から解放された私は、涙がとめどなく溢れ、セイフィード様の胸の中で泣きじゃくった。
そんな私に対し、セイフィード様は無言のまま私の頭を軽くポンポンとしてくれた。
ロイの話によると、魔法壁の亀裂は修復され、魔物は全て跳ね返された。
その後もグーモが数多く出現したが全て討伐できたようだ。
またグーモの討伐にセイフィード様も応戦し、大活躍したらしい。
しかしあの不審な魔法使いは、消え去り捕まえることができなかった。
安心しきってた私だったが、突如後ろから肩を掴まれた。
振り返るとコルベーナ侯爵がいた。
「アンナ、無事で何より」
口元は微笑んでいるが、相変わらず目が笑っていない。
というより今回は目が怒りに満ちてる。
どうやら、ロイさんが私の家に連絡をしてくれ、コルベーナ侯爵が迎えに来てくれた。
しかし、この件を話し合う会議が先ほど召集され、コルベーナ侯爵は大臣として城に残ることになり、結局、私はメイドさんと一緒に家に帰ることになった。
セイフィード様と一緒に帰りたかったが、まだここに留まるらしい。
それにしても、家に帰るのがとても怖い。
きっとコルベーナ家全員怒っているに違いない。
案の定、家に到着するや否や、侯爵夫人から大目玉を食らった。
きっと侯爵夫人の人生の中で1番怒ったんじゃないかと思われる。
侯爵夫人から解放された私は、すぐに泥のように眠った。
目がさめるとお昼で、シャーロットが心配そうに私を見つめている。
「アンナ、目覚めたのね。わたくし心配してました」
「ごめんなさい、シャーロット。今回もみんなにいっぱい迷惑かけちゃった」
「ええ、そうね。でもわたくしはあなたが無事ならそれでいいわ」
シャーロットが優しく私の手を握る。
「そうそう、アンナ。あなたお咎めがないそうよ。魔法陣でなにか功績を納めたらしいわね。それにその経緯を見ていた宮廷学校の先生が、魔法陣学を受講するようにって言ってくだされたわ。単位は取得できないと思うけど受講はできるそうよ」
「ほんとに! すごい! 嬉しい~。やった」
私が受講したかった魔法陣学だ。
絶対に無理だと思っていたのに奇跡が起こった。
嬉しすぎてニヤニヤしちゃう。
「アンナ、調子に乗りすぎてもダメよ」
シャーロットが釘をさした。
「あ、セイフィード様は?お咎めなしかな」
「ええ、セイフィード様も城壁での功績を鑑みてお咎めなしとのことよ」
シャーロットは少しムスッとした。
シャーロットはもしかしてセイフィード様のこと好きじゃないのかなと思ったが訊かないでおいた。
今回のことを大いに反省した私は、もうみんなには迷惑かけまいと強く強く思った。
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◆◇◆
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拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
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【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
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