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4:大使館、北へ
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人力車で走っている時に気づいたのは、畑が妙に黒くてかっているという事だった。
風に混ざる微かな硫黄の匂いも気になる。
「これ、黒油の匂いですね」
「黒油?」
「ウルヴルさんが昔教えてくれたんです、地面から黒くてどろっとした油が出てくる土地があってそれを燃料にできるって」
その特徴で連想したのは原油だった。
黒く粘り気があって悪臭がする油、といえばそれが先に出る。
「気になるな」
少し調べてもらう必要はあるがもしこの世界で言う黒油が原油の事なら、間違い無く欲しいものの一つだ。
(金羊国内で採掘できるならそれに越したことはないが意外な発見だな)
考え事をしているうちに日が傾き始め、人力車は大きな門前に辿り着く。
「あの門を超えた先がギーロンです」
「ここで降りたほうが良いのか?」
「ええ、ちょっと人探しに行くのでここで待ってて貰えますか?」
言われた通り人力車を降りると即座にグウズルン魔術官が人探しに行く。
その間にインスタントコーヒーを淹れてもらっていると「いい匂いだな」と見知らぬ人が声をかけてきた。
「興味がおありですか」
「ああ、もし良かったら1杯貰えるか?」
ヘルカ魔術官にコーヒーを淹れてもらい、その男に一杯渡す。
「お代はどうする?小銭がないんだ」
「別にいいさ、代わりにこの国の話を聞きたいんだ」
そう告げると男は「良いぜ」と答えた。
男は国内各地を回る行商人だと言い、国内の事情には明るいようだった。
「この辺りの田畑が黒光りしてるように見えたんだがあれは何なんだ?」
「黒油だよ、最近いろんな畑からしみだして来ててな。南部の麦畑がアレでかなりダメになってるし臭えし流れてきた空気が火を強くさせる効果もあるんで火事まで起きる」
火を強くさせる空気というのがよく分からないがそれが天然ガスならそれも重要な産品になる。
念のため「使い道のない代物だと大変だな」とつぶやいてみる。
「本当だよ、秋以降の食糧をどうすっかね」
やはりここでは使い道のない代物で確定らしい。
(問題は黒油が本当に原油なのかを確定させることぐらいか)
そうこうしていると遠くから手を振る獣人が表れてきた。
「グウズルン様のお客人ですね?」
大型の爬虫類の見た目をしたその獣人は俺たちのほうを見てそう告げる。
先ほどまで俺と話していた男がその見た目にちょっと引いたように後ずさりをしたのが気になるが、ヘルカ魔術官は顔色も変えず「はい」と答えた。
「グウズルン様は少し別の所に行かれまして、わたくしが案内を勤めさせていただくことになりました」
「そうでしたか。行きましょうか」
男に別れを告げて爬虫類の見た目の男についていく。
簡単な手続きを済ませ、男に従って連れていかれたのは黄金のトカゲ亭という看板のぶら下がった店だった。
「グウズルン様はもうしばらくしたらこちらに参りますのでお食事をしてお待ちください」
サッと出されたイモと煮込み肉の盛り合わせを受け取ると、その仕事の速さにあっけにとられる。
ヘルカ魔術官は「美味しそう」と気にせずに食べ始めるがちょっと腑に落ちない。あまりにも手際が良すぎるのだ。
「……知らぬが仏って事にしておこう」
大雑把な答えは出ているが深入りしないでおくほうが良い。そういう事にした。
風に混ざる微かな硫黄の匂いも気になる。
「これ、黒油の匂いですね」
「黒油?」
「ウルヴルさんが昔教えてくれたんです、地面から黒くてどろっとした油が出てくる土地があってそれを燃料にできるって」
その特徴で連想したのは原油だった。
黒く粘り気があって悪臭がする油、といえばそれが先に出る。
「気になるな」
少し調べてもらう必要はあるがもしこの世界で言う黒油が原油の事なら、間違い無く欲しいものの一つだ。
(金羊国内で採掘できるならそれに越したことはないが意外な発見だな)
考え事をしているうちに日が傾き始め、人力車は大きな門前に辿り着く。
「あの門を超えた先がギーロンです」
「ここで降りたほうが良いのか?」
「ええ、ちょっと人探しに行くのでここで待ってて貰えますか?」
言われた通り人力車を降りると即座にグウズルン魔術官が人探しに行く。
その間にインスタントコーヒーを淹れてもらっていると「いい匂いだな」と見知らぬ人が声をかけてきた。
「興味がおありですか」
「ああ、もし良かったら1杯貰えるか?」
ヘルカ魔術官にコーヒーを淹れてもらい、その男に一杯渡す。
「お代はどうする?小銭がないんだ」
「別にいいさ、代わりにこの国の話を聞きたいんだ」
そう告げると男は「良いぜ」と答えた。
男は国内各地を回る行商人だと言い、国内の事情には明るいようだった。
「この辺りの田畑が黒光りしてるように見えたんだがあれは何なんだ?」
「黒油だよ、最近いろんな畑からしみだして来ててな。南部の麦畑がアレでかなりダメになってるし臭えし流れてきた空気が火を強くさせる効果もあるんで火事まで起きる」
火を強くさせる空気というのがよく分からないがそれが天然ガスならそれも重要な産品になる。
念のため「使い道のない代物だと大変だな」とつぶやいてみる。
「本当だよ、秋以降の食糧をどうすっかね」
やはりここでは使い道のない代物で確定らしい。
(問題は黒油が本当に原油なのかを確定させることぐらいか)
そうこうしていると遠くから手を振る獣人が表れてきた。
「グウズルン様のお客人ですね?」
大型の爬虫類の見た目をしたその獣人は俺たちのほうを見てそう告げる。
先ほどまで俺と話していた男がその見た目にちょっと引いたように後ずさりをしたのが気になるが、ヘルカ魔術官は顔色も変えず「はい」と答えた。
「グウズルン様は少し別の所に行かれまして、わたくしが案内を勤めさせていただくことになりました」
「そうでしたか。行きましょうか」
男に別れを告げて爬虫類の見た目の男についていく。
簡単な手続きを済ませ、男に従って連れていかれたのは黄金のトカゲ亭という看板のぶら下がった店だった。
「グウズルン様はもうしばらくしたらこちらに参りますのでお食事をしてお待ちください」
サッと出されたイモと煮込み肉の盛り合わせを受け取ると、その仕事の速さにあっけにとられる。
ヘルカ魔術官は「美味しそう」と気にせずに食べ始めるがちょっと腑に落ちない。あまりにも手際が良すぎるのだ。
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