1 / 16
第一話 - 野菜泥棒
しおりを挟む
江戸時代中期。山陽地方のとある山村──。
「はぁ……」
大きなため息は、青い空に溶けて消えた。
豊かに実った夏野菜、穂を出しはじめた青い稲。小川では小魚の群れが銀色の腹をひるがえし、小さな集落を囲む山々には松の若木が見える。のどかで少し退屈な農村の日常だ。
「おなかすいたな」
──あの大きな入道雲が食べ物だったら良いのに。
そんなどうでもいいことを考えながら、どうでもいいことを呟く。何か意図があって発したわけではない、ただの独り言。
……そのはずだった。
「わかる!!」
予想外の返事に、僕の肩は跳ね上がった。その驚きたるや、「太陽が返事をよこしたのか?」と考えてしまったほどだ。
しかし、声の主は地上にいる何か。背後の茂みが動く大きな音に、僕は転がるように振り返って──。その瞬間、目の端で何かが動いた。
「うわ!」
この村では久しく見ないすばやい動きに、僕は思わず驚きの声を上げた。
何が出たのか。声が聞こえたのだから人間か。いや、声だと思ったのは空腹による幻聴で、畑を荒らす獣の可能性もある。それくらい突然の現れだった。
僕は背後の茂みから離れて膝をつくと、一気に緊張を高めた。すぐに応戦できるように……。
「やっほー」
前屈みで警戒する僕の目の前に飛び出して来たのは、両腕いっぱいに食べ物を抱えた少女だった。こげ茶色の旅装束と見慣れない顔の。言葉が通じる相手らしいが、得体のしれない旅人だ。
「はいっ」
厳しい顔で状況を理解しようとする僕の鼻先に、少女は瓜を突き出してきた。
「おなかすいてるんでしょ?」と言う陽気な笑顔とともに。
僕は警戒をとかずに、少女の差し出す作物と彼女の顔を見比べた。長い黒髪を頭の高い位置で一つに束ねた十代後半の少女。化粧っ気のない顔は良く日に焼けている。
敵意は、感じられない。
「あの……、これはどこから?」
僕は次に、彼女が抱えているものを確認した。瓜にかぼちゃに芋に青菜──。そのどれもが今収穫してきたばかりのように土で汚れている。
「腹ペコだったから、取ってきたの!」
彼女は悪びれずに答えた。
「つまり盗んだ、と」
僕は情報を整理しながらあたりを見回した。予想通り、野菜泥棒を追って村の衆が駆けている。「いたぞ」「あいつだ」と話す声も聞こえた。
「捕まるよ」
僕が追手を指差して、少女はやっと自分の罪を理解したらしい。それでも、彼女の口から出たのは、「ありゃまー」と言う気の抜けた言葉だったが……。
「こりゃ、逃げなきゃだね」
言うと同時に、少女は野兎のような俊敏さで駆け出した。
……なぜか僕を連れて。僕の両足が地面を離れ、少女とともに移動していく。
「なんで僕まで!」
僕は下に見える少女の頭に向かって叫んだ。
というか待て。これはどういう状態だ?
「だってキミ、あたしの瓜を受け取ったじゃん」
「受け取ってない!」
「そうだっけ?」
きょとんとまあるくなった目に、間の抜けた返事。思わず彼女のペースに乗せられそうになったが、重大な疑問を忘れてはいけない。
僕は慎重に自分の足を動かした。しかし、足先に当たるものはない。僕の足は完全に宙に浮いている。荷物のごとく運ばれている状態だ。この少女は僕を持ち上げられるほど怪力なのだろうか。
「君は……」
尋ねようと話しかけたものの、次の言葉は出なかった。少女が両手に農作物を抱えたまま走っているのを見てしまったから。
僕は少女の手で運ばれているわけではないらしい。それなら、僕の胴に巻き付いているこれは何だ? 腹に感じる圧迫感。ここに僕の体を支える「何か」があるはずなのだ。
おそるおそる、僕は視線を自分の体に向けた。本当ならばもっと慎重になるべきだったのかもしれない。しかし、この時の僕は敵意を感じさせない陽気な少女に少し油断していた。
「ちょ……! これ!!」
僕が絞り出せた言葉は、それだけだった。
「元気でよく食べる髪の毛!」
それでも、少女は僕が尋ねたかったことを正確に察したようだ。とっさの叫びにすぐの返答。しかし僕の頭は混乱する一方だった。
胴に巻き付いているのは少女の頭から伸びる黒いもの。それは彼女の言う通り髪の毛なのかもしれない。しかし、そいつはいくつかの束になって分かれ、意志を持っているかのようにうごめきながら僕の胴を持ち上げているのだ。
「あ、あやかし!!」
僕は叫んだ。
こいつ、人じゃない! 一刻も早く彼女から離れなければ!
僕は慌てて身をよじった。しかし、空中に持ち上げられた体は、思うように動かせない。
「あやかしじゃないもん! それと、動かないで!!」
暴れる僕のせいで、少女の体が均衡を崩す。その拍子に、彼女の腕からたくさんの農作物がバラバラとこぼれ落ちた。
「あー、もう!」
少女の意識と視線が地面を転がっていく芋を向いた。逃げるなら今がチャンスだ。
僕は携帯している小刀を抜いた。真っすぐ一閃。僕を縛り付けている蛇のような髪の毛へ。その瞬間、ばさりと太い毛束を断ち切る感触があった。
「あっ!」
少女の叫びと短い浮遊感。地面に転がって着地した僕は、次にその刃を少女に向けた。
一つに束ねた黒髪は不格好に一部が短くなっている。地面に切り落とされた毛にも視線を向けたが、もう意志を持って動く力はないようだ。
「ひどい!!」
僕を糾弾する少女の大きな目は、少し潤んで見えた。
「髪の毛切るとかひどいよ、キミ! 確かにちょっと呪われてるかもしれないけど、あたしはニンゲンだもん!!」
怒りを見せつつも、腰に両手を当てた彼女に反撃の意思はないらしい。
それでも、僕は警戒を解かなかった。少女の髪はすでに普通の毛に戻っているが、いつまた蛇の姿になるかわからないのだ。
僕は少女に刃と意識を向けたまま、すばやくあたりを見回した。誰か援護に来てくれそうな人はいないかと。
しかしいない。先ほどまで少女を追いかけていた村の男たちは、すでに走り疲れてしまったらしく、道の真ん中で膝をついていた。この村の人間はみんなそうだ。疲れやすく、常に空腹と戦っている。
僕も例外ではない。今は死と隣り合わせの極限状態だから立っているが、本当ならば地べたに座り込んでぼんやりしていたい。この少女と出会う直前までしていたように。
「はぁ……」
大きなため息は、青い空に溶けて消えた。
豊かに実った夏野菜、穂を出しはじめた青い稲。小川では小魚の群れが銀色の腹をひるがえし、小さな集落を囲む山々には松の若木が見える。のどかで少し退屈な農村の日常だ。
「おなかすいたな」
──あの大きな入道雲が食べ物だったら良いのに。
そんなどうでもいいことを考えながら、どうでもいいことを呟く。何か意図があって発したわけではない、ただの独り言。
……そのはずだった。
「わかる!!」
予想外の返事に、僕の肩は跳ね上がった。その驚きたるや、「太陽が返事をよこしたのか?」と考えてしまったほどだ。
しかし、声の主は地上にいる何か。背後の茂みが動く大きな音に、僕は転がるように振り返って──。その瞬間、目の端で何かが動いた。
「うわ!」
この村では久しく見ないすばやい動きに、僕は思わず驚きの声を上げた。
何が出たのか。声が聞こえたのだから人間か。いや、声だと思ったのは空腹による幻聴で、畑を荒らす獣の可能性もある。それくらい突然の現れだった。
僕は背後の茂みから離れて膝をつくと、一気に緊張を高めた。すぐに応戦できるように……。
「やっほー」
前屈みで警戒する僕の目の前に飛び出して来たのは、両腕いっぱいに食べ物を抱えた少女だった。こげ茶色の旅装束と見慣れない顔の。言葉が通じる相手らしいが、得体のしれない旅人だ。
「はいっ」
厳しい顔で状況を理解しようとする僕の鼻先に、少女は瓜を突き出してきた。
「おなかすいてるんでしょ?」と言う陽気な笑顔とともに。
僕は警戒をとかずに、少女の差し出す作物と彼女の顔を見比べた。長い黒髪を頭の高い位置で一つに束ねた十代後半の少女。化粧っ気のない顔は良く日に焼けている。
敵意は、感じられない。
「あの……、これはどこから?」
僕は次に、彼女が抱えているものを確認した。瓜にかぼちゃに芋に青菜──。そのどれもが今収穫してきたばかりのように土で汚れている。
「腹ペコだったから、取ってきたの!」
彼女は悪びれずに答えた。
「つまり盗んだ、と」
僕は情報を整理しながらあたりを見回した。予想通り、野菜泥棒を追って村の衆が駆けている。「いたぞ」「あいつだ」と話す声も聞こえた。
「捕まるよ」
僕が追手を指差して、少女はやっと自分の罪を理解したらしい。それでも、彼女の口から出たのは、「ありゃまー」と言う気の抜けた言葉だったが……。
「こりゃ、逃げなきゃだね」
言うと同時に、少女は野兎のような俊敏さで駆け出した。
……なぜか僕を連れて。僕の両足が地面を離れ、少女とともに移動していく。
「なんで僕まで!」
僕は下に見える少女の頭に向かって叫んだ。
というか待て。これはどういう状態だ?
「だってキミ、あたしの瓜を受け取ったじゃん」
「受け取ってない!」
「そうだっけ?」
きょとんとまあるくなった目に、間の抜けた返事。思わず彼女のペースに乗せられそうになったが、重大な疑問を忘れてはいけない。
僕は慎重に自分の足を動かした。しかし、足先に当たるものはない。僕の足は完全に宙に浮いている。荷物のごとく運ばれている状態だ。この少女は僕を持ち上げられるほど怪力なのだろうか。
「君は……」
尋ねようと話しかけたものの、次の言葉は出なかった。少女が両手に農作物を抱えたまま走っているのを見てしまったから。
僕は少女の手で運ばれているわけではないらしい。それなら、僕の胴に巻き付いているこれは何だ? 腹に感じる圧迫感。ここに僕の体を支える「何か」があるはずなのだ。
おそるおそる、僕は視線を自分の体に向けた。本当ならばもっと慎重になるべきだったのかもしれない。しかし、この時の僕は敵意を感じさせない陽気な少女に少し油断していた。
「ちょ……! これ!!」
僕が絞り出せた言葉は、それだけだった。
「元気でよく食べる髪の毛!」
それでも、少女は僕が尋ねたかったことを正確に察したようだ。とっさの叫びにすぐの返答。しかし僕の頭は混乱する一方だった。
胴に巻き付いているのは少女の頭から伸びる黒いもの。それは彼女の言う通り髪の毛なのかもしれない。しかし、そいつはいくつかの束になって分かれ、意志を持っているかのようにうごめきながら僕の胴を持ち上げているのだ。
「あ、あやかし!!」
僕は叫んだ。
こいつ、人じゃない! 一刻も早く彼女から離れなければ!
僕は慌てて身をよじった。しかし、空中に持ち上げられた体は、思うように動かせない。
「あやかしじゃないもん! それと、動かないで!!」
暴れる僕のせいで、少女の体が均衡を崩す。その拍子に、彼女の腕からたくさんの農作物がバラバラとこぼれ落ちた。
「あー、もう!」
少女の意識と視線が地面を転がっていく芋を向いた。逃げるなら今がチャンスだ。
僕は携帯している小刀を抜いた。真っすぐ一閃。僕を縛り付けている蛇のような髪の毛へ。その瞬間、ばさりと太い毛束を断ち切る感触があった。
「あっ!」
少女の叫びと短い浮遊感。地面に転がって着地した僕は、次にその刃を少女に向けた。
一つに束ねた黒髪は不格好に一部が短くなっている。地面に切り落とされた毛にも視線を向けたが、もう意志を持って動く力はないようだ。
「ひどい!!」
僕を糾弾する少女の大きな目は、少し潤んで見えた。
「髪の毛切るとかひどいよ、キミ! 確かにちょっと呪われてるかもしれないけど、あたしはニンゲンだもん!!」
怒りを見せつつも、腰に両手を当てた彼女に反撃の意思はないらしい。
それでも、僕は警戒を解かなかった。少女の髪はすでに普通の毛に戻っているが、いつまた蛇の姿になるかわからないのだ。
僕は少女に刃と意識を向けたまま、すばやくあたりを見回した。誰か援護に来てくれそうな人はいないかと。
しかしいない。先ほどまで少女を追いかけていた村の男たちは、すでに走り疲れてしまったらしく、道の真ん中で膝をついていた。この村の人間はみんなそうだ。疲れやすく、常に空腹と戦っている。
僕も例外ではない。今は死と隣り合わせの極限状態だから立っているが、本当ならば地べたに座り込んでぼんやりしていたい。この少女と出会う直前までしていたように。
1
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
父(とと)さん 母(かか)さん 求めたし
佐倉 蘭
歴史・時代
★第10回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
ある日、丑丸(うしまる)の父親が流行病でこの世を去った。
貧乏裏店(長屋)暮らしゆえ、家守(大家)のツケでなんとか弔いを終えたと思いきや……
脱藩浪人だった父親が江戸に出てきてから知り合い夫婦(めおと)となった母親が、裏店の連中がなけなしの金を叩いて出し合った線香代(香典)をすべて持って夜逃げした。
齢八つにして丑丸はたった一人、無一文で残された——
※「今宵は遣らずの雨」 「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
懴悔(さんげ)
蒼あかり
歴史・時代
嵐のような晩だった。
銀次は押し込み強盗「おかめ盗賊」の一味だった。「金は盗っても命は取らぬ」と誓っていたのに、仲間が失態をおかし、人殺し盗賊に成り下がってしまう。銀次は何の因果かその家の一人娘を連れ去ることに。
そして、おかめ強盗に命を散らされた女中、鈴の兄源助は、妹の敵を討つために一人、旅に出るのだった。
追われ、追いかけ、過去を悔い、そんな人生の長い旅路を過ごす者達の物語。
※ 地名などは全て架空のものです。
※ 詳しい下調べはおこなっておりません。作者のつたない記憶の中から絞り出しましたので、歴史の中の史実と違うこともあるかと思います。その辺をご理解のほど、よろしくお願いいたします。
大和型戦艦4番艦 帝国から棄てられた船~古(いにしえ)の愛へ~
花田 一劫
歴史・時代
東北大地震が発生した1週間後、小笠原清秀と言う青年と長岡与一郎と言う老人が道路巡回車で仕事のために東北自動車道を走っていた。
この1週間、長岡は震災による津波で行方不明となっている妻(玉)のことを捜していた。この日も疲労困憊の中、老人の身体に異変が生じてきた。徐々に動かなくなる神経機能の中で、老人はあることを思い出していた。
長岡が青年だった頃に出会った九鬼大佐と大和型戦艦4番艦桔梗丸のことを。
~1941年~大和型戦艦4番艦111号(仮称:紀伊)は呉海軍工廠のドックで船を組み立てている作業の途中に、軍本部より工事中止及び船の廃棄の命令がなされたが、青木、長瀬と言う青年将校と岩瀬少佐の働きにより、大和型戦艦4番艦は廃棄を免れ、戦艦ではなく輸送船として生まれる(竣工する)ことになった。
船の名前は桔梗丸(船頭の名前は九鬼大佐)と決まった。
輸送船でありながらその当時最新鋭の武器を持ち、癖があるが最高の技量を持った船員達が集まり桔梗丸は戦地を切り抜け輸送業務をこなしてきた。
その桔梗丸が修理のため横須賀軍港に入港し、その時、長岡与一郎と言う新人が桔梗丸の船員に入ったが、九鬼船頭は遠い遥か遠い昔に長岡に会ったような気がしてならなかった。もしかして前世で会ったのか…。
それから桔梗丸は、兄弟艦の武蔵、信濃、大和の哀しくも壮絶な最後を看取るようになってしまった。
~1945年8月~日本国の降伏後にも関わらずソビエト連邦が非道極まりなく、満洲、朝鮮、北海道へ攻め込んできた。桔梗丸は北海道へ向かい疎開船に乗っている民間人達を助けに行ったが、小笠原丸及び第二号新興丸は既にソ連の潜水艦の攻撃の餌食になり撃沈され、泰東丸も沈没しつつあった。桔梗丸はソ連の潜水艦2隻に対し最新鋭の怒りの主砲を発砲し、見事に撃沈した。
この行為が米国及びソ連国から(ソ連国は日本の民間船3隻を沈没させ民間人1.708名を殺戮した行為は棚に上げて)日本国が非難され国際問題となろうとしていた。桔梗丸は日本国から投降するように強硬な厳命があったが拒否した。しかし、桔梗丸は日本国には弓を引けず無抵抗のまま(一部、ソ連機への反撃あり)、日本国の戦闘機の爆撃を受け、最後は無念の自爆を遂げることになった。
桔梗丸の船員のうち、意識のないまま小島(宮城県江島)に一人生き残された長岡は、「何故、私一人だけが。」と思い悩み、残された理由について、探しの旅に出る。その理由は何なのか…。前世で何があったのか。与一郎と玉の古の愛の行方は…。
大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜
佐倉 蘭
歴史・時代
★第9回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
「近頃、吉原にて次々と遊女の美髪を根元より切りたる『髪切り』現れり。狐か……はたまた、物の怪〈もののけ〉或いは、妖〈あやかし〉の仕業か——」
江戸の人々が行き交う天下の往来で、声高らかに触れ回る讀賣(瓦版)を、平生は鳶の火消しでありながら岡っ引きだった亡き祖父に憧れて、奉行所の「手先」の修行もしている与太は、我慢ならぬ顔で見ていた。
「是っ非とも、おいらがそいつの正体暴いてよ——お縄にしてやるぜ」
※「今宵は遣らずの雨」 「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」に関連したお話でネタバレを含みます。
【完結】風天の虎 ――車丹波、北の関ヶ原
糸冬
歴史・時代
車丹波守斯忠。「猛虎」の諱で知られる戦国武将である。
慶長五年(一六〇〇年)二月、徳川家康が上杉征伐に向けて策動する中、斯忠は反徳川派の急先鋒として、主君・佐竹義宣から追放の憂き目に遭う。
しかし一念発起した斯忠は、異母弟にして養子の車善七郎と共に数百の手勢を集めて会津に乗り込み、上杉家の筆頭家老・直江兼続が指揮する「組外衆」に加わり働くことになる。
目指すは徳川家康の首級ただ一つ。
しかし、その思いとは裏腹に、最初に与えられた役目は神指城の普請場での土運びであった……。
その名と生き様から、「国民的映画の主人公のモデル」とも噂される男が身を投じた、「もう一つの関ヶ原」の物語。
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる