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17章 再開の約束

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しばらく闇の中を歩き続けたのち、初めに合流できたのは、フランとアルルカの二人だった。

「っ。桜下、ロウラン!」

「おお、フランか!よかった、無事だったんだな。あとアルルカも」

「なんであたしだけついでなのよ!」

俺たちは再会を喜び、それから二人は、ペトラを見て大いに驚いた。

「詳しい事情は追って話すよ。今は残りの二人を探そう」

「ん、分かった」

俺たちは再び歩き出す。仲間と合流できたことで、さっきより格段に足は軽い。
ほどなくして、フランがぴたりと足を止めた。

「……足音が聞こえる」

「お!よし、そっちだ!」

こんな場所に何人もいるはずがない。てことはおのずと……

「あっ!おうかだ!桜下ぁー!」

「ああ、桜下さん!それに、みなさんも!」

「ウィル、ライラ!ははは、よかった!」

ウィルと、それからライラが、こっちに向かって駆け寄ってきた。ライラはそのまま飛び込んできそうな勢いだったが、ロウランに肩を借りる俺を見てか、寸前で踏みとどまった。

「桜下……だいじょーぶ?怪我してるの?」

「いや、大したことないよ。ちょっと疲れただけさ」

「ほんとに?」

「おうとも」

それより、ライラの方が痛々しい。元々ふわふわだった髪はひどく乱れてこんがらがっているし、体のあちこちに青あざが見える。かわいそうに……ずいぶん大変だったみたいだ。俺はライラの胸に手を乗せると、呪文を唱えた。

「ディストーションハンド・ファズ」

ブゥン。俺の手が一瞬輪郭を失い、ライラの体の傷がすっかり消えた。ライラに笑顔が戻ったので、俺はやわらかい赤毛を撫でてやった。

「皆さん、ご無事だったんですね。よかった……」

俺がライラを撫でていると、ウィルが後からやって来た。幽霊のウィルは普段通りだが、それでも顔がいつもより青白く見える。

「ああ、そっちもな。俺はロウランと一緒で、フランはアルルカと一緒だったんだ。ライラにはウィルがいてくれて助かったよ」

「そんな、むしろライラさんがいてくれたおかげで、みんな無事に済んだんです」

ん、みんな?それはつまり、ウィル以外にもいたってことか?すると、ウィルが後ろを振り返った。

「ほら」

「お……クラークたちか!」

ウィルの後方からやって来たのは、クラーク一行だった。ああ、よかった。仲間が無事なのは、魂の波動から分かっていたけれど、他がどうかは自信が無かったんだ。だからこそ、クラークたちの姿を見た時には、心底ほっとした。

「ライラさんがとっさに呪文を唱えて、みんなを支えてくれたんです。ライラさんがいなかったら、今頃どうなっていたことか」

「そんなことないよ!ウィルおねーちゃんが後ろから支えてくれたから、落ち着いて詠唱ができたんだもん。ライラ一人の力じゃないよ」

「そっか。やっぱり、二人が一緒でよかったよ」

本当によかった。おかげでみんな無事だ。

「さて、クラーク……クラーク?」

はて?クラークの様子が変だ。彼はちゃんと自分の足で立って歩いているが、顔が奇妙にうつろだ。心ここにあらずというか、機械的に歩いて、機械的に止まっているみたいだな。

「うん……?アドリア、クラークのやつ、どっか怪我したのか?」

俺はクラークの後に続いているアドリアに訊ねる。彼女の顔は血で汚れていたが、それでも足取りはしっかりしていた。が、俺が訊ねると、顔をくしゃっと歪めた。

「……ああ、怪我をした」

「え。どこをだ?ひどいのか?ミカエルに治療してもらえば……」

「いいや、それは難しいだろう」

「え?どうして……」

俺は彼女の隣の、ミカエルを見る。ミカエルは涙をこらえるような、辛そうな顔をしていた。

「……なにか、あったのか?」

「ああ。クラークは、心を怪我してしまったんだ」

「ここ、ろ?」

「彼女の死を……三の国の勇者の死を、目の当たりにしたせいだ」

なんだって……?



つづく
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読了ありがとうございました。
続きは【翌日0時】に更新予定です(日曜日はお休み)。

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