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攻城戦 終了
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ジジイ……。
俺は生まれて初めて本気で怒った。
ジジイが余裕を見せながら考え込む。
「ふむ、どちらの衣装にするかのう……よし今日はこれじゃ!」
黒装束を一瞬で着込む。
「刀は……よしこれじゃ正宗じゃ」
名刀正宗か。国宝級の武器だ。
ここは異世界だ。ただの正宗じゃないんだろうな。
「ほれ!」
ジジイはパンプアップで自己強化をする。
身体が二倍になる。
「ふぉふぉふぉ、ハルキごときが儂にかなうはずないじゃろ! 儂はお前らが希望を見つけてそれを踏みにじりたいんじゃ!」
「儂の強さを知っておるじゃろ!ふぉふぉふぉふぉふぉ」
俺の怒りはどうやって収まるのか?
ジジイを倒すだけで収まるのか?
このくそったれな塔をぶっ壊してやる。
手始めに糞ジジイをぶっ潰す。
こいつは俺達を侮っている。
自分が最強だと思っている。
弟子が師匠に勝てるはずがないと思っている。
……俺の師匠はメイドだけだ。
「アリス……」
「きゅきゅきゅ……」
俺達は動いた。
「ふぁ!? なんじゃその速度は!」
ジジイが視認出来ない速度で動く俺達。
アリスは残像を残しつつ高速で地を駆け巡る。
アリスはその小さい身体で、ジジイの足先から頭まで上りながら爪の連撃を食らわす。頭を蹴りつけて空高く飛ぶ。
ジジイは少し経ってから攻撃を受けたことを認識した。
「くっ! ちょこざいな! どこへ行った!」
ジジイは痛みをこらえながら、目に付いた俺に向けて正宗を振るう。
衝撃波が俺に襲いかかってくる。
俺はジジイに走りながら、メイドとの戦いて使える様になった盾を生成展開。
盾に衝撃がくる。
確かに強力な一撃だ……
だが軽いんだよ! 心がないんだよ!
メイドの一撃みたいに重たくないんだよ!
「なんと!!」
俺は田中が作った刀を抜く。
「しょぼい刀ごと叩き切ってやるわい!」
ジジイは腰だめに正宗を構える。
ジジイの右腕だけが3倍に膨れ上がる。
ジジイが気合と共に俺に正宗を振るう。
俺はジジイの正宗に向けて刀を振り下ろした。
その速度はジジイの剣速をゆうに上回り、ジジイが視認出来ない一線だった。
まるで砂糖細工の様にもろく壊れる正宗。
ジジイは吠える。
「なんじゃ! お前ら! この儂が押されているじゃと! 10層まで来れただけの小童どもに!?」
「くそ! かくなる上は…」
ジジイは懐から丸薬を取り出して大量に飲み込んだ。
「ふぉふぉふぉふぉ! これで貴様らも終わりじゃ!」
ジジイの顔が赤くなり、闘気があふれる。
右手をあげて闘気を練り上げている。
手のひらから赤い闘気が渦巻いている。
徐々に大きくなるそれはまるで闘気の台風。
「儂の最強の一撃じゃ! 食らうのじゃ!」
ジジイが右手を振るい、渦巻く闘気が俺に襲いかかる。
だが、そんなもの。
俺には効かないんだよ!
「高速生成!」
盾を生成する
盾を生成する
盾を生成する
……
……
俺の半径20メートル全てを埋め尽くす透明な盾を展開。
メイドの気持ちは砕けない。
メイドと戦って得た砕けない盾。
メイドと俺とアリスはお前に負けない……。
盾にぶつかると一瞬で闘気が霧散する。
呆けるジジイ。
一瞬でかたをつけて殺るよ!
「アリス!」
遠い上空からきゅ!っと鳴く声が聞こえた。
「同時高速生成! ジジイを囲む!」
ジジイの半径30メートルを覆い尽くすように盾が半球状に高速展開。
ジジイが空に逃げようとした時に、空から風の塊が来た。
アリスの魔術がジジイを襲う。
ジジイは風の圧力に耐えるように地面にひれ伏す。
「くっ、くそ……。だが、まだまだ……」
風は収縮している……一箇所に風が集まってピンク色のボールの様なものが浮いている。
アリスの風の精霊召喚だ。
盾の展開が終了したと同時、幾千幾万ある盾から剣と刀が生成された。
「……うそじゃろ……ハルキ! 儂師匠だぞ! 今なら死んだNPCを助けて……」
ジジイの言葉を最後まで聞く前に俺はチカラを込めた。
「消えてなくなれ……」
一斉にジジイに襲いかかる剣と刀。
その一撃一撃は致命の一撃。
ジジイはギリギリで躱すが、剣と刀は無限に生成される。
やがてジジイは躱しきれなくなり、腕が消え、足が爆散し、刀に貫かれ、ピンクの風の球体に首を狩られ……
ジジイは消え去った。
アリスが空から落ちてくる。
俺が優しく抱きしめる。
二人に言葉は無い。
メイドは俺達の成長をきっと見てくれているだろう……。
「藤崎ーーーー! 恵比寿たちはまだ無事だよ!」
遠くから大声で豊洲が叫ぶ。
豊洲の横にはボロボロに血まみれになった恵比寿が座り込んでいる。
恵比寿は晴れやかな顔をしている。
その傍らには少女NPCが恵比寿を抱きしめて泣いている。
……あいつも色々大変だったんだろうな。
「これで私たちの勝ちだね!」
豊洲が飛び跳ねる!
勇者や伊集院たちもボロボロになりながらなんとか生きていた。
タブレットが告知をした。
「10層攻城戦 3世界生徒側の勝利となります」
一瞬の静寂の中、俺達は歓声を上げた!
俺は生まれて初めて本気で怒った。
ジジイが余裕を見せながら考え込む。
「ふむ、どちらの衣装にするかのう……よし今日はこれじゃ!」
黒装束を一瞬で着込む。
「刀は……よしこれじゃ正宗じゃ」
名刀正宗か。国宝級の武器だ。
ここは異世界だ。ただの正宗じゃないんだろうな。
「ほれ!」
ジジイはパンプアップで自己強化をする。
身体が二倍になる。
「ふぉふぉふぉ、ハルキごときが儂にかなうはずないじゃろ! 儂はお前らが希望を見つけてそれを踏みにじりたいんじゃ!」
「儂の強さを知っておるじゃろ!ふぉふぉふぉふぉふぉ」
俺の怒りはどうやって収まるのか?
ジジイを倒すだけで収まるのか?
このくそったれな塔をぶっ壊してやる。
手始めに糞ジジイをぶっ潰す。
こいつは俺達を侮っている。
自分が最強だと思っている。
弟子が師匠に勝てるはずがないと思っている。
……俺の師匠はメイドだけだ。
「アリス……」
「きゅきゅきゅ……」
俺達は動いた。
「ふぁ!? なんじゃその速度は!」
ジジイが視認出来ない速度で動く俺達。
アリスは残像を残しつつ高速で地を駆け巡る。
アリスはその小さい身体で、ジジイの足先から頭まで上りながら爪の連撃を食らわす。頭を蹴りつけて空高く飛ぶ。
ジジイは少し経ってから攻撃を受けたことを認識した。
「くっ! ちょこざいな! どこへ行った!」
ジジイは痛みをこらえながら、目に付いた俺に向けて正宗を振るう。
衝撃波が俺に襲いかかってくる。
俺はジジイに走りながら、メイドとの戦いて使える様になった盾を生成展開。
盾に衝撃がくる。
確かに強力な一撃だ……
だが軽いんだよ! 心がないんだよ!
メイドの一撃みたいに重たくないんだよ!
「なんと!!」
俺は田中が作った刀を抜く。
「しょぼい刀ごと叩き切ってやるわい!」
ジジイは腰だめに正宗を構える。
ジジイの右腕だけが3倍に膨れ上がる。
ジジイが気合と共に俺に正宗を振るう。
俺はジジイの正宗に向けて刀を振り下ろした。
その速度はジジイの剣速をゆうに上回り、ジジイが視認出来ない一線だった。
まるで砂糖細工の様にもろく壊れる正宗。
ジジイは吠える。
「なんじゃ! お前ら! この儂が押されているじゃと! 10層まで来れただけの小童どもに!?」
「くそ! かくなる上は…」
ジジイは懐から丸薬を取り出して大量に飲み込んだ。
「ふぉふぉふぉふぉ! これで貴様らも終わりじゃ!」
ジジイの顔が赤くなり、闘気があふれる。
右手をあげて闘気を練り上げている。
手のひらから赤い闘気が渦巻いている。
徐々に大きくなるそれはまるで闘気の台風。
「儂の最強の一撃じゃ! 食らうのじゃ!」
ジジイが右手を振るい、渦巻く闘気が俺に襲いかかる。
だが、そんなもの。
俺には効かないんだよ!
「高速生成!」
盾を生成する
盾を生成する
盾を生成する
……
……
俺の半径20メートル全てを埋め尽くす透明な盾を展開。
メイドの気持ちは砕けない。
メイドと戦って得た砕けない盾。
メイドと俺とアリスはお前に負けない……。
盾にぶつかると一瞬で闘気が霧散する。
呆けるジジイ。
一瞬でかたをつけて殺るよ!
「アリス!」
遠い上空からきゅ!っと鳴く声が聞こえた。
「同時高速生成! ジジイを囲む!」
ジジイの半径30メートルを覆い尽くすように盾が半球状に高速展開。
ジジイが空に逃げようとした時に、空から風の塊が来た。
アリスの魔術がジジイを襲う。
ジジイは風の圧力に耐えるように地面にひれ伏す。
「くっ、くそ……。だが、まだまだ……」
風は収縮している……一箇所に風が集まってピンク色のボールの様なものが浮いている。
アリスの風の精霊召喚だ。
盾の展開が終了したと同時、幾千幾万ある盾から剣と刀が生成された。
「……うそじゃろ……ハルキ! 儂師匠だぞ! 今なら死んだNPCを助けて……」
ジジイの言葉を最後まで聞く前に俺はチカラを込めた。
「消えてなくなれ……」
一斉にジジイに襲いかかる剣と刀。
その一撃一撃は致命の一撃。
ジジイはギリギリで躱すが、剣と刀は無限に生成される。
やがてジジイは躱しきれなくなり、腕が消え、足が爆散し、刀に貫かれ、ピンクの風の球体に首を狩られ……
ジジイは消え去った。
アリスが空から落ちてくる。
俺が優しく抱きしめる。
二人に言葉は無い。
メイドは俺達の成長をきっと見てくれているだろう……。
「藤崎ーーーー! 恵比寿たちはまだ無事だよ!」
遠くから大声で豊洲が叫ぶ。
豊洲の横にはボロボロに血まみれになった恵比寿が座り込んでいる。
恵比寿は晴れやかな顔をしている。
その傍らには少女NPCが恵比寿を抱きしめて泣いている。
……あいつも色々大変だったんだろうな。
「これで私たちの勝ちだね!」
豊洲が飛び跳ねる!
勇者や伊集院たちもボロボロになりながらなんとか生きていた。
タブレットが告知をした。
「10層攻城戦 3世界生徒側の勝利となります」
一瞬の静寂の中、俺達は歓声を上げた!
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