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1章.無能チート冒険者になる
閑話・TF 対 SF
しおりを挟む「いやー、トンボちゃん可愛いよなー。妹タイプって言うの? いいよなぁー」
「わかる! この前よ、トンボちゃんがナイフ装備してるって言うから、俺のナイフ捌きを見せてやったんだよ。そしたらきらっきらの目で『スゲー!』って感心してくれてよ。あんな誉められたら嬉しくなっちまうよな」
「マジかー! 羨ましいなー、オレも今度何か披露しようかなー」
「私としては、あの男勝りのトンボちゃんがたまに見せる女の子らしさが可愛いと思うぞ」
「ほう、例えば?」
「あれはトンボちゃんが、薬草採取から戻ってきて、例の箱から査定の為に薬草を出していた時の事だ。どうやら薬草に芋虫が着いていたらしくてな、その芋虫を見たトンボちゃんが『きゃあ』って言ったんだ」
「なんと、あのトンボちゃんが!」
「うむ、驚き声など『ぎゃあー』や『ぎょえー』がデフォルトだと思っていたトンボちゃんが、『きゃあ』だぞ! しかも言った後、顔を赤くして、恥ずかしそうにもじもじしていた!」
「マジかー! いいなー、オレも今度驚かしてみようかなー」
「それは止めておけ、トンボちゃん、そういうのに対する報復、容赦ないからな」
「まぁ、そういう所も私は可愛いと思うがな!」
「「わかる(ー)!」」
「くっくっくっ、なにを言っておられる。真の可愛いは、セヨンたんにこそ相応しい」
「お前は……SFの人間か!!」
「その通り! 話を聞いていれば、妹タイプといえばセヨンたん一択でしょうが! トンボ氏はどちらかといえば勝ち気な幼馴染みタイプですぞ!」
「お前、昔はセヨンの事見て、声渋くて怖い人だって言ってなかったか?」
「拙者の黒歴史を抉らないでほしいですぞ! 拙者過去は振り返らない主義ですから?」
「それにセヨンのどこが妹タイプなんだよ?」
「見た目もそうですが、あのたどたどしい喋り方など、正にそうでしょうが!」
「そういうのは、酒飲んだセヨンとお話してから言ってくれや」
「あー、オレは絡まれたこと無いわー」
「かっ、絡まれる?! なんですかそのご褒美は?!」
「……知らないとは幸せなんだな」
「まぁ、一度ギルマスから指導入ってからは、宿の部屋でしか飲んでないみたいだしな。知らない奴も多いだろ。だからSFは新人なんかの若い奴らが多いのか?」
「だねー、それより、セヨンはお前より歳上だよー?」
「それもまた一興。妹タイプなのにお姉さんとは、ギャップが素晴らしい!」
「俺達おっさんから見ても、セヨンは同期だからな? 妹言われてもいまいち実感湧かねぇよ」
「私をおっさんのカテゴリーに入れるな。私はまだ乙女だぞ」
「わっはっはっ、お前が乙女って柄かよ!」
「デュフフ、乙女とは、セヨンたんの様な可憐な者に相応しい言葉ですぞ! BBAはお呼びじゃないですぞ!」
「あーあ、しーらない」
風切り音。
「おまっ! ギルド内で剣を抜くな!」
「ご乱心! ご乱心ですぞー!」
「貴様らそこに直れ、その目を本当の節穴にしてやろう」
「目に剣先を向けるな! 怖いだろ!」
「せ、拙者は関係ないですぞ! TFの諍いはそっちだけでやるですぞ!」
「お前! 元はといえばお前が会話に入って来たからだろ!」
「安心しろ、二人とも平等にくりぬいてやる」
「「ぎゃあー!!」」
「これは、真似しないようにしよー」
ギルド内にいつの間にかできていた二つの勢力。
TF(トンボちゃんファンクラブ)とSF(セヨンたんファンクラブ)の戦いは、まだはじまったばかりであった。
ーーーーーーーーーー
こういう話の書き方だと、15分で書けますね。
今後、冒険者達の生態を書く時は、こういう形式になるかもです。
影の薄かった冒険者に、もっとスポットを浴びせてあげたいですね。
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