66 / 94
非情
しおりを挟む
優は全てを床に置くや、両手をあげ、ゆっくりと此方を振り返る。
そして、とても驚いた表情を浮かべた。
恐らく、今俺の頭に押し付けられているーー由理恵が持っている凶器を見て、驚いたのだろう。
恐らく――。
(短筒、だ……)
ーー五稜郭で俺の生命を絶った凶器、短筒。
確か、この時代では『鉄砲』と呼ぶのだったか。
呼び方はともあれ、この感触、恐らく短筒に間違いはないだろう。
敵軍の武器として手にした時の冷たさ、硬さを思い出した。
耳にすれば歴戦の仲間達でさえも一瞬身をすくませる、発砲の音。
そして、弾丸を我が身に受けた時に感じた灼熱と衝撃。
継いで否が応にも理解させられる……大切なものが流れ出ていく寒さ。
――ソレが己を死へと近付けているという自覚を。
(参ったな……)
腕に覚えのある俺でも、流石に短筒を頭に押し付けられている状況じゃ、抵抗する術はない。
俺は悔しさに歯噛みしながらも、優に瞳を向けた。
すると、優も俺と同じーーいや、俺以上に悔しそうな表情をしながら俺の方を見つめている。
と、そんな俺と優を見つめていた由理恵が口をひらく。
「ふふ。2人とも、とっても良い表情ね。……優?あなたがいつか来ることはわかっていたわ。でも、まさかこんな綺麗な男も一緒だなんて。私に捨てられてから、随分と趣味が変わったものね?」
由理恵はそう告げると、隣の男に何やら小声で指示を出す。
すると、由理恵の隣にいた男が俺の腰に手を添えるや……そのまま抱き寄せてきた。
そして、俺の耳元に唇を寄せ始める。
「止めろっ……!」
思わず悲鳴じみた声を上げる俺。
優も慌てて駆けつけようとする。
しかし、そんな優を由理恵の鋭い声が制止した。
「少しでも動いたら、この頭を撃ち抜くわよ。いいの?あなたの新しい大切な人が、襤褸切れみたいになっても」
そして、とても驚いた表情を浮かべた。
恐らく、今俺の頭に押し付けられているーー由理恵が持っている凶器を見て、驚いたのだろう。
恐らく――。
(短筒、だ……)
ーー五稜郭で俺の生命を絶った凶器、短筒。
確か、この時代では『鉄砲』と呼ぶのだったか。
呼び方はともあれ、この感触、恐らく短筒に間違いはないだろう。
敵軍の武器として手にした時の冷たさ、硬さを思い出した。
耳にすれば歴戦の仲間達でさえも一瞬身をすくませる、発砲の音。
そして、弾丸を我が身に受けた時に感じた灼熱と衝撃。
継いで否が応にも理解させられる……大切なものが流れ出ていく寒さ。
――ソレが己を死へと近付けているという自覚を。
(参ったな……)
腕に覚えのある俺でも、流石に短筒を頭に押し付けられている状況じゃ、抵抗する術はない。
俺は悔しさに歯噛みしながらも、優に瞳を向けた。
すると、優も俺と同じーーいや、俺以上に悔しそうな表情をしながら俺の方を見つめている。
と、そんな俺と優を見つめていた由理恵が口をひらく。
「ふふ。2人とも、とっても良い表情ね。……優?あなたがいつか来ることはわかっていたわ。でも、まさかこんな綺麗な男も一緒だなんて。私に捨てられてから、随分と趣味が変わったものね?」
由理恵はそう告げると、隣の男に何やら小声で指示を出す。
すると、由理恵の隣にいた男が俺の腰に手を添えるや……そのまま抱き寄せてきた。
そして、俺の耳元に唇を寄せ始める。
「止めろっ……!」
思わず悲鳴じみた声を上げる俺。
優も慌てて駆けつけようとする。
しかし、そんな優を由理恵の鋭い声が制止した。
「少しでも動いたら、この頭を撃ち抜くわよ。いいの?あなたの新しい大切な人が、襤褸切れみたいになっても」
10
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる