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マリーのお城⑧

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彼女は宝石の様な瞳で俺を見つめたまま、こう話した。

「この城はね、私が生きていた頃の私の楽園を再現しているの。「勇者や人間を陥れるために特化した砦」や「最先端の設備を詰め込んだ情報拠点」ではないの。ここが特化しているのは、あくまで「私の思い出の再現」。だからこそ、「私の思い出にあまりに反する物」を再現したり出現させようとすると、その影響や負担は全て私自身に返って来てしまうの」

「そういう作用があるのか……」

俺はてっきり、城主であるマリーはこの城の中ではノーリスクで何でも出来ると思っていたのだがーー。

実際は、どうやら違うらしい。

と、俺の言葉にマリーが深く頷いてみせる。

彼女は真剣な面持ちのまま、言葉を続けた。

実際は、どうやら違うらしい。

「ええ、そうよ。でも、これは私に限ったことじゃないのだけどね。英霊には皆、それぞれ拠点があるのはあんたも知ってるでしょう?その拠点には全て「制約」があるの。拠点を作成するときに英霊が一際強く願ったことが、そのまま「制約」になるのだけれど」

そこまで語ると、一旦紅茶を口に含むマリー。

そうして彼女は、メイドのゴーストが用意してくれた焼きたてのクッキーを口に運びながら話を続けた。

「例えば、沢山の勇者を排除して、世界を手に入れたい英霊がいるとするわね。彼は、兎に角人間を殺せる拠点を望んだとする。そうすると、彼の願いは「人間を殺して世界を簒奪すること」な訳だから、それに特化した拠点が出来上がるの」

「成る程……」

マリーの言葉に、俺は大きく頷いてみせる。
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