杉沢晴人は勇者になれない～悪役神に与えられたスキル、実は最強でした～

マリーのお城③

（確かに……）

紋様……この城を運営する権利を貰ったはいいが、使い方を知らなくてはまさしく宝の持ち腐れだろう。

俺は素直に、

「ああ、頼む」

と、マリーに告げた。

そんな俺に満足そうに頷くと、マリーは改めて自らの手を掲げてみせる。

「応えなさい、我が薔薇の居城よ……！」

すると、彼女の手の甲に刻まれている俺と同じ紋章が光り輝くや、銀色の鍵が飛び出して来たではないか。

驚き、目を見張る俺とマリア。

「凄い……！手から鍵が飛び出して来ました……！」

「ああ……」

きっと、管理者の権限があるとあの鍵が取り出し可能でーーあの鍵を使用して、居城の運営とやらをしていくのだろう。

と、そんな俺達に「ふふん」とまたもや胸を張ってみせるマリー。

彼女は取り出した鍵を一旦手の中に引っ込めると、今度は俺の手を指差してくる。

「さっき、あんたにも権限をつけたから。同じ様に唱えれば、きっと鍵を呼び出せる筈よ」

「そうなのか……」

とはいえ、先ほどのマリーの様に女王様然とした仕草や台詞では色々と恥ずかしすぎる。

なんせ、マリアに見られているのだから。