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俺の覚悟

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「使用人の分際で!何しやがる!てめぇら使用人は俺たちの道具……奴隷みたいなもんだろうが!」

マリアにはたかれたのが余程腹に据えかねたのか、全力でそう吠えてくる昼也。

だが、マリアはそんな昼也を睨みつけたまま、きっぱりと言い放った。

「ええ。そうですね。私は確かに使用人です。私のことはどれだけ悪く言おうと構いません。ですが、晴人様を悪くいうことだけは、絶対に私が許しません!」

「マリア……」

彼女が告げた熱く想いの込められた台詞に、俺は思わず泣きそうになる。

(でも、それは後だ)

俺は、未だ口汚くマリアを罵る昼也を乗せた葦の船に命じた。

「葦の船よ。そこに乗っているのは蛭子神ひるこだ。彼を神話通り『おのころじま』へと送り届けるが良い」

すると、俺の言葉にさっと昼也の顔色が変わる。

「ふざっけんな!なんで俺がそんな島なんかに!この勇者の俺様が!」

船の上で大声で喚き立てる昼也。

しかし、船はそんな昼也の様子等御構い無しに、おのころ島へとゆっくりと動き出す。

神話上では海を渡っていったが……今は周囲に海がない為か、なんと空中に浮かび、空を移動し始める葦の船。

そこに乗せられたまま、最後まで昼也は喚き続ける。

「覚えてろ!全部親父達に報告してやるからな!!親父と兄貴達はきっとお前をゆるさねぇ!お前だけじゃない、そのメイドもだ!覚悟しろ!!杉沢家の力でお前達全員、ぶっ殺してやるからな!」

「……マリー?」

昼也の台詞を聞くや、俺はマリーに視線を向ける。

と、彼女も俺が昼也に怒りを感じているのを理解したのだろう、小さく頷くや、髪で俺の体を掴み……船の真上へ放り投げた。

俺はそのまま、昼也目掛けて木刀を振り上げる。

「俺のことはっ!杉沢家にいなかったことにしていい。俺は杉沢家には二度と帰らないし、父さんや兄さん達に何かしようとも思ってない!ただもう、俺のこともマリアのことも放っておいてくれ!」

そう叫びながら、昼也の脳天から木刀を一気に振り下ろす俺。

昼也が完全に沈黙したのを見届け、俺は葦の船から飛び降りた。
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