34 / 54
マリアの気持ち
しおりを挟む
そうして、マリーの髪で拘束をしたまま昼也を葦の船まで運ぶ俺達。
「よし、マリー。ここでいい」
「ふんっ」
もう少し昼也を痛めつけたかったのか、やや不満げに鼻を鳴らしながらもマリーは船の真上で昼也を解放した。
途端にドサッと船に落下する昼也。
意識が戻っていた昼也は、
「てめぇらふざけんじゃねぇぞ!」
と叫びながら、体を起こし、船のヘリに手をかけてきた。
が、
「っ……なっ……?!」
まるで透明な壁に阻まれているかの様に……船から出ようとした昼也の体が弾かれ、再度船の中へと押し戻されたのだ。
「な、なんだ……?!」
突然の出来事に驚愕し、しかし再度船の外へと出ようとする昼也。
だが、やはり彼の肉体は弾かれ、船の中へと戻されてしまう。
その姿を見て、俺は確信した。
(やっぱり、思った通りだ。勇者……神の力を使う者は、神話に記述されている弱点には逆らえない)
だからこそ、葦の船で流された蛭子神のスキルを持つ昼也は、神話には逆らえず……葦の船から逃げ出すことが出来ないのだろう。
「てめぇ!俺様に何しやがった!この、無能のくせに……!」
と、俺が動くより先に……なんとマリアが動いた。
そうして、彼女はつかつかと昼也に近寄るや、彼の頬を思い切りはたいたのだ。
「晴人様をこれ以上悪く言わないでくださいっ……!」
強く決意の滲んだ瞳で、はっきりと昼也にそう告げるマリア。
普段は大人しく淑やかな彼女がとった大胆な行動に、俺は思わず呆然とし、動くことが出来なかった。
「よし、マリー。ここでいい」
「ふんっ」
もう少し昼也を痛めつけたかったのか、やや不満げに鼻を鳴らしながらもマリーは船の真上で昼也を解放した。
途端にドサッと船に落下する昼也。
意識が戻っていた昼也は、
「てめぇらふざけんじゃねぇぞ!」
と叫びながら、体を起こし、船のヘリに手をかけてきた。
が、
「っ……なっ……?!」
まるで透明な壁に阻まれているかの様に……船から出ようとした昼也の体が弾かれ、再度船の中へと押し戻されたのだ。
「な、なんだ……?!」
突然の出来事に驚愕し、しかし再度船の外へと出ようとする昼也。
だが、やはり彼の肉体は弾かれ、船の中へと戻されてしまう。
その姿を見て、俺は確信した。
(やっぱり、思った通りだ。勇者……神の力を使う者は、神話に記述されている弱点には逆らえない)
だからこそ、葦の船で流された蛭子神のスキルを持つ昼也は、神話には逆らえず……葦の船から逃げ出すことが出来ないのだろう。
「てめぇ!俺様に何しやがった!この、無能のくせに……!」
と、俺が動くより先に……なんとマリアが動いた。
そうして、彼女はつかつかと昼也に近寄るや、彼の頬を思い切りはたいたのだ。
「晴人様をこれ以上悪く言わないでくださいっ……!」
強く決意の滲んだ瞳で、はっきりと昼也にそう告げるマリア。
普段は大人しく淑やかな彼女がとった大胆な行動に、俺は思わず呆然とし、動くことが出来なかった。
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる