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スキル覚醒
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少女の髪に拘束されたまま、必死に叫ぶ俺。
そんな俺を見つめながら――マリアはそっと微笑んだ。
「晴人様……。例えスキル等なくとも……孤児だった私を救ってくれたあの日から、貴方は確かに、私の勇者でした。そうして、今も……。私の勇者は、貴方だけなのですよ。ですからどうか、もう俯かないで……。以前の様に、胸を張って生きていってください。私の大好きで、大切な勇者様」
マリアがそう言い終えると同時、少女の別の髪の房がもう1つの巨大な手に変わるや、マリアを圧殺せんと彼女の頭上から襲いかかる。
俺はそんな彼女の姿を見つめ、激しく両手で地面を叩きながら心の底から叫んだ。
「天津甕星!!!!くそ!!!天津甕星!!!!!マリアを助けてくれ!!!!あの髪を切り裂いてくれ!!!!」
その瞬間、
「きゃぁっ……?!」
マリアを拘束していた少女の身を突風が襲う。
同時に、マリアを拘束していた髪が本当に切り裂かれた。
(な、何が起きたんだ……?)
少女の髪から解放され、どさりと地面に落ちるマリア。
同時に、俺を拘束していた髪の力が緩む。
俺は髪の拘束から這い出す様にして逃げると、慌ててマリアに駆け寄り、その体をぎゅっと抱き締めた。
――息は、ある。
だが、所々怪我をしている様だ。
何より、長く手に掴まれていたのだから、内臓や骨に支障が出ているかもしれない。
(早く医者に見せないと……!)
俺は、ぐったりしたマリアをそっと抱き抱えた。
けれど、その瞬間、俺のいく手を阻む様に幾房もの伸びた髪が槍の様に地面に突き刺さって来たではないか。
「あんた!能力がないなんて嘘じゃない!一体あたしに何をしたの?!」
そんな俺を見つめながら――マリアはそっと微笑んだ。
「晴人様……。例えスキル等なくとも……孤児だった私を救ってくれたあの日から、貴方は確かに、私の勇者でした。そうして、今も……。私の勇者は、貴方だけなのですよ。ですからどうか、もう俯かないで……。以前の様に、胸を張って生きていってください。私の大好きで、大切な勇者様」
マリアがそう言い終えると同時、少女の別の髪の房がもう1つの巨大な手に変わるや、マリアを圧殺せんと彼女の頭上から襲いかかる。
俺はそんな彼女の姿を見つめ、激しく両手で地面を叩きながら心の底から叫んだ。
「天津甕星!!!!くそ!!!天津甕星!!!!!マリアを助けてくれ!!!!あの髪を切り裂いてくれ!!!!」
その瞬間、
「きゃぁっ……?!」
マリアを拘束していた少女の身を突風が襲う。
同時に、マリアを拘束していた髪が本当に切り裂かれた。
(な、何が起きたんだ……?)
少女の髪から解放され、どさりと地面に落ちるマリア。
同時に、俺を拘束していた髪の力が緩む。
俺は髪の拘束から這い出す様にして逃げると、慌ててマリアに駆け寄り、その体をぎゅっと抱き締めた。
――息は、ある。
だが、所々怪我をしている様だ。
何より、長く手に掴まれていたのだから、内臓や骨に支障が出ているかもしれない。
(早く医者に見せないと……!)
俺は、ぐったりしたマリアをそっと抱き抱えた。
けれど、その瞬間、俺のいく手を阻む様に幾房もの伸びた髪が槍の様に地面に突き刺さって来たではないか。
「あんた!能力がないなんて嘘じゃない!一体あたしに何をしたの?!」
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