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キタミマサカズ駅②
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その後、キタミマサカズさんに案内され、家の中に上がる僕ら。
そこで通されたリビングで、僕達は初めて自己紹介をした。
ちなみに、この場にいる乗客は、僕を入れて全部で5人だ。
先ず、スーツ姿の男性――キタミマサカズさんが名乗りを上げた。
「皆さん。この度は、僕の後悔を晴らすお手伝いをして頂き、本当にありがとうございます。僕の名前は北見正和、57歳です」
そう言って頭を下げる北見さん。
ちなみに、彼はその見た目の通り、至って普通の会社員らしい。
と、彼の自己紹介が終わるや、彼の隣に座っていた――長い黒髪に大きな瞳の可愛らしい女の子が手を上げた。
「はーい。じゃぁ次、私ね。私の名前は泉 凛子。17歳の高校2年生!趣味はインスタ!好きなものはスイーツ!宜しくねー」
最後の一言は明らかに僕に向けて告げながら、こちらにひらひらと手を振って見せる凛子。
そんな凛子の様子に「あらあら、若い人はいいわねぇ」と微笑みながら、その隣に座っていたふわふわとした長い白髪の女性が口を開いた。
「私は、日ノ出 晴美と言います。68歳のおばあちゃんなのよ。何だか若い人が多くて緊張しちゃうわ。皆さん、よろしくね」
とても穏やかで朗らかな物言いに、思わずほっこりしてしまう僕。
(まるで、皆のおばあちゃんって感じの女性だな)
僕がそんなことを思っていると、日ノ出さんの隣に座っていた岬が声を上げた。
「何一人でニヤニヤしてんの?きっも。……私の名前は岬。17で高2。まぁ、必要最低限の協力はするんでよろしく」
まるで取り付く島もない。
必要最低限の言葉しかない、愛想もそっけもない自己紹介に、困った様な表情を浮かべる北見さんと日ノ出さん。
しかし、そんな彼らと岬の間を取り持つ様に、凛子が動いた。
「まーまー。岬っちはきっと照れ屋さんなだけなんだから!ねー!」
ムードメーカーとはきっと凛子みたいな人物の事を言うのだろう。
ねー!と言いながら凛子にのしかかられ、流石の岬もたじたじになっている様だ。
(と言うか、僕も岬も凛子も、よく考えたら同い年なんだな)
でも、3人とも制服が違うし、同じ町内でも見かけた覚えが無いので、きっと違う町か県の住人なのだろう。
そんなことを考えながら、一番最後に自己紹介をする僕。
「初めまして。日下部開斗です。僕も高校2年生で17歳です。部活に行く途中に、この電車に出逢いました。宜しくお願いします」
そこで通されたリビングで、僕達は初めて自己紹介をした。
ちなみに、この場にいる乗客は、僕を入れて全部で5人だ。
先ず、スーツ姿の男性――キタミマサカズさんが名乗りを上げた。
「皆さん。この度は、僕の後悔を晴らすお手伝いをして頂き、本当にありがとうございます。僕の名前は北見正和、57歳です」
そう言って頭を下げる北見さん。
ちなみに、彼はその見た目の通り、至って普通の会社員らしい。
と、彼の自己紹介が終わるや、彼の隣に座っていた――長い黒髪に大きな瞳の可愛らしい女の子が手を上げた。
「はーい。じゃぁ次、私ね。私の名前は泉 凛子。17歳の高校2年生!趣味はインスタ!好きなものはスイーツ!宜しくねー」
最後の一言は明らかに僕に向けて告げながら、こちらにひらひらと手を振って見せる凛子。
そんな凛子の様子に「あらあら、若い人はいいわねぇ」と微笑みながら、その隣に座っていたふわふわとした長い白髪の女性が口を開いた。
「私は、日ノ出 晴美と言います。68歳のおばあちゃんなのよ。何だか若い人が多くて緊張しちゃうわ。皆さん、よろしくね」
とても穏やかで朗らかな物言いに、思わずほっこりしてしまう僕。
(まるで、皆のおばあちゃんって感じの女性だな)
僕がそんなことを思っていると、日ノ出さんの隣に座っていた岬が声を上げた。
「何一人でニヤニヤしてんの?きっも。……私の名前は岬。17で高2。まぁ、必要最低限の協力はするんでよろしく」
まるで取り付く島もない。
必要最低限の言葉しかない、愛想もそっけもない自己紹介に、困った様な表情を浮かべる北見さんと日ノ出さん。
しかし、そんな彼らと岬の間を取り持つ様に、凛子が動いた。
「まーまー。岬っちはきっと照れ屋さんなだけなんだから!ねー!」
ムードメーカーとはきっと凛子みたいな人物の事を言うのだろう。
ねー!と言いながら凛子にのしかかられ、流石の岬もたじたじになっている様だ。
(と言うか、僕も岬も凛子も、よく考えたら同い年なんだな)
でも、3人とも制服が違うし、同じ町内でも見かけた覚えが無いので、きっと違う町か県の住人なのだろう。
そんなことを考えながら、一番最後に自己紹介をする僕。
「初めまして。日下部開斗です。僕も高校2年生で17歳です。部活に行く途中に、この電車に出逢いました。宜しくお願いします」
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