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吸血鬼さんin学校⑧

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「いや……この少年は、どちらかと言うと精霊の類だな」

  リルゼイの言葉に、私は小さく首を傾げる。

 「精霊と妖精って違うの?」

  頭の中に、昔読んだ絵本に出てきた妖精の姿を思い浮かべながら考え込む私。

  と、リルゼイはそんな私の様子に苦笑を浮かべると説明し始めた。

 「良いか、真由? 先ず妖精とは、草木や花々等それぞれの個体に宿る精のことを表している」

 「へぇ、そうなんだ」

 「ああ。次に、精霊についてだが。彼等は雨や闇、冬や満月等もっと大きな自然や、自然現象そのものに宿る精のことを表しているんだ」

 「えー、そんな違いがあるんだ。全然知らなかったよ! 流石、長生きの吸血鬼さん。ただのヘタレじゃなかったのね、見直したわ」

  私がそう言うと、かなり嬉しそうに微笑んでみせるリルゼイ。

  その笑顔は相変わらず、春の陽射しの様に優しくて……私は、彼も実は精霊なのではないかとさえ思ってしまう。

  例えば春の精霊なんて、優しい彼にきっとぴったりだ。

  私がそんなことを考えていると、精霊の少年がふわふわと浮かんだままリルゼイの方に近寄っていく。

 「吸血鬼さん、お願いです。僕に力を分けてください」

  酷く切羽詰まった様子で、リルゼイに訴える少年。

  彼の姿をよく見てみると――成る程、小さな体には無数の細かい傷が刻まれ、白いファーで出来たマントには赤い血が染み出している。

 (もしかしたら、何か事情があって、怪我を治す魔力が足りなくなっちゃったのかな?)

  全身に痛ましい怪我を負っている少年を見つめる。

 しかし、とあることに思い当たった。

 「力を分けるって……リルゼイ、大丈夫なの? 吸血鬼なのに、昨日から血も飲んでないよね? しかも、昨日戦って力を使ったばっかりだし。あんまり良くないんじゃないの?」
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