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遭遇③
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2人が完全に口を閉ざしてから数分後。
「……そう、そうなのね……」
そう呟いて、口裂け女が鎌を降ろす。
(諦めたか……?!)
歓喜に震えそうになる切夜の体。
しかし、口裂け女は再度鎌を構え直すや、憎悪に満ちた瞳で2人を睨み付けた。
「……あなた達もあいつらと同じ……全て隠してしまうのね……」
彼女はそう告げるや、鎌を振り上げ、2人に迫って来る。
「……っ?!」
声にならない悲鳴を上げ、咄嗟に避ける2人。
口裂け女の鎌は人家のブロック塀を容易く切り裂くと――中に生えていた大樹の樹皮まで削り取っていた。
(こ、殺される……!)
目前にした命の恐怖に、思わずペタリと尻餅をついてしまう切夜と剛。
そんな2人の耳に、ある叫びが飛び込んでくる。
「お母さんの名前を言って!!!」
見ると、学校で2人が助けた陸人が必死に叫んでいるではないか。
「2人のお母さんの名前だよ!絶対に大丈夫だから!!お母さんの名前を言って!!!」
2人にそう呼び掛ける陸人。
一方、目の前の口裂け女はブロック塀から鎌を引き抜くや、構え直し――再度2人に向かって来ている。
強く頷き合う切夜と剛。
彼らはぎゅっと手を繋ぎ、思い切り息を吸い込むと、ありったけの大声で告げた。
「「大切な人の名前はクリスティーナ!!!!」」
「……そう、そうなのね……」
そう呟いて、口裂け女が鎌を降ろす。
(諦めたか……?!)
歓喜に震えそうになる切夜の体。
しかし、口裂け女は再度鎌を構え直すや、憎悪に満ちた瞳で2人を睨み付けた。
「……あなた達もあいつらと同じ……全て隠してしまうのね……」
彼女はそう告げるや、鎌を振り上げ、2人に迫って来る。
「……っ?!」
声にならない悲鳴を上げ、咄嗟に避ける2人。
口裂け女の鎌は人家のブロック塀を容易く切り裂くと――中に生えていた大樹の樹皮まで削り取っていた。
(こ、殺される……!)
目前にした命の恐怖に、思わずペタリと尻餅をついてしまう切夜と剛。
そんな2人の耳に、ある叫びが飛び込んでくる。
「お母さんの名前を言って!!!」
見ると、学校で2人が助けた陸人が必死に叫んでいるではないか。
「2人のお母さんの名前だよ!絶対に大丈夫だから!!お母さんの名前を言って!!!」
2人にそう呼び掛ける陸人。
一方、目の前の口裂け女はブロック塀から鎌を引き抜くや、構え直し――再度2人に向かって来ている。
強く頷き合う切夜と剛。
彼らはぎゅっと手を繋ぎ、思い切り息を吸い込むと、ありったけの大声で告げた。
「「大切な人の名前はクリスティーナ!!!!」」
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