上 下
51 / 62

51

しおりを挟む
「フィリス・・・ライラはもう10年も前に亡くなっただろう?あの子はミラだライラじゃない」

「陛下、大丈夫ですか?ミラちゃんはまだ幼い子供ですわよ?それにわたくしがライラを間違える訳ないですわ!それよりはライラから離れなさい!」

ミラより一歳しか違わない俺を認識しているのにミラの成長は認めようとしない・・・
ライラ叔母上が亡くなったことは王妃の中では無かった事になっているのか?
それを認められなくて自分の都合のいいように頭で変換しているのか?
こっそり陛下を見るとこの数時間ですっかり老け込んだように見える。



王妃はこんな人じゃなかったと思う。
見た目は儚く頼りなさげに見える王妃だが、舐めてかかると痛い目に遭う。
と、以前母上に聞いたことがある。

陛下と仲睦まじく王妃としても優秀で、国民からも人気があり我が国は安泰だと思っていた。
それがこんな聞き分けのない王妃だったとは・・・いや、ライラ叔母上限定でこうなるのか?
だとしても王妃がした事は許されることはない。

「フィリス、そんなにライラが大切なら何故隷属の首輪をつけたんだ?」

そこだよ!
言っていることが矛盾しているんだっ!

「だって~ライラからもし拒絶されたらって思ったら・・・だから、行動も制限させてもらったわ。それにライラの可愛らしい口からあの男の名前がで出たら腹立たしいでしょう?だから言葉も奪ったのよ」

最後は自慢げに言い切った。

「フィリスよく聞け・・・ボイル侯爵は今は子爵となりとはは切れている。も二度とボイル子爵と会うことは無い。だから安心して隷属を解除するんだ」

「本当?それは本当ですの?・・・じゃあ解除してもいいですわ。ライラは王宮ここでわたくしと一緒に暮らせばこれからも毎日会えますもの」

やっとか・・・
陛下は先ほど部屋に戻ってきた父上に目配せをした。

「それにね・・・うふふっ、わたくしいい事を思いつきましたのよ。ライラの娘のミラちゃんをカイルかオズワルドの婚約者にすればミラちゃんもここで一緒に暮らせますでしょう?それならライラも寂しくないと思いませんか?ふふふっ楽しみですわ」

はあ?カイルかオズワルドだと?
思わずミラを抱いたまま立ち上がりかけたが、父上に厳しい視線を向けられ少し冷静になった。
ここで王妃の気分を損ねるような事をすれば、また振り出しに戻ってしまう。

"頭のおかしな奴の言葉に心を惑わされるな" あと少しの辛抱だ。と、自分に言い聞かせながら訂正したいのを我慢する。
ミラが解放されたら王妃に言ってやる『ミラの婚約者は俺だ!』ってな!

「それは本人達の気持ちを聞いてからでいいだろう。さあを解放してくれ」

「そうですわね。子供たちに恋愛結婚して欲しいですわね」

そこは子供たちにって言った方が正しくないか?
陛下と王妃は学院で知り合い大恋愛の末、婚姻を結ばれたんじゃないのか?

何か腑に落ちないが王妃が近づいてきた。
やっとミラを解放する気になったか。
早くしろ!と言いたいのを我慢してじっと待つ。そしてミラの首輪に手をかざした。

カチッと音がしたと思ったら鎖ごと首輪が落ちた。
と、同時に父上が王妃を拘束した。

「何をしますの!離しなさい!」

喚く王妃は2人に任せればいい。

「ミラ、もう大丈夫だ。ミラ?」

「・・・デュ、デューク」と俺を名を呼んだと思ったらそのまま気を失ってしまった。
焦る俺に陛下が隷属された者が解放された時にはよくある事だと教えてくれたが、もうこんな所にミラを置いておきたくない。

「父上、陛下あとは頼みます」

それだけ言って王妃宮を後にした。

ミラ、ミラ、ミラやっと帰れるぞ。
ミラの存在を確かめるようについ力が入ってしまう。
もう、絶対にこんな目には合わせないから安心して今はゆっくりおやすみ・・・ミラ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

姉の厄介さは叔母譲りでしたが、嘘のようにあっさりと私の人生からいなくなりました

珠宮さくら
恋愛
イヴォンヌ・ロカンクールは、自分宛てに届いたものを勝手に開けてしまう姉に悩まされていた。 それも、イヴォンヌの婚約者からの贈り物で、それを阻止しようとする使用人たちが悪戦苦闘しているのを心配して、諦めるしかなくなっていた。 それが日常となってしまい、イヴォンヌの心が疲弊していく一方となっていたところで、そこから目まぐるしく変化していくとは思いもしなかった。

夫に用無しと捨てられたので薬師になって幸せになります。

光子
恋愛
この世界には、魔力病という、まだ治療法の見つかっていない未知の病が存在する。私の両親も、義理の母親も、その病によって亡くなった。 最後まで私の幸せを祈って死んで行った家族のために、私は絶対、幸せになってみせる。 たとえ、離婚した元夫であるクレオパス子爵が、市民に落ち、幸せに暮らしている私を連れ戻そうとしていても、私は、あんな地獄になんか戻らない。 地獄に連れ戻されそうになった私を救ってくれた、同じ薬師であるフォルク様と一緒に、私はいつか必ず、魔力病を治す薬を作ってみせる。 天国から見守っているお義母様達に、いつか立派な薬師になった姿を見てもらうの。そうしたら、きっと、私のことを褒めてくれるよね。自慢の娘だって、思ってくれるよね―――― 不定期更新。 この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

【完結】あの子の代わり

野村にれ
恋愛
突然、しばらく会っていなかった従姉妹の婚約者と、 婚約するように言われたベルアンジュ・ソアリ。 ソアリ伯爵家は持病を持つ妹・キャリーヌを中心に回っている。 18歳のベルアンジュに婚約者がいないのも、 キャリーヌにいないからという理由だったが、 今回は両親も断ることが出来なかった。 この婚約でベルアンジュの人生は回り始める。

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

【完結】「冤罪で処刑された公爵令嬢はタイムリープする〜二度目の人生は殺(や)られる前に殺(や)ってやりますわ!」

まほりろ
恋愛
【完結しました】 アリシア・フォスターは第一王子の婚約者だった。 だが卒業パーティで第一王子とその仲間たちに冤罪をかけられ、弁解することも許されず、その場で斬り殺されてしまう。 気がつけば、アリシアは十歳の誕生日までタイムリープしていた。 「二度目の人生は|殺《や》られる前に|殺《や》ってやりますわ!」 アリシアはやり直す前の人生で、自分を殺した者たちへの復讐を誓う。 敵は第一王子のスタン、男爵令嬢のゲレ、義弟(いとこ)のルーウィー、騎士団長の息子のジェイ、宰相の息子のカスパーの五人。 アリシアは父親と信頼のおけるメイドを仲間につけ、一人づつ確実に報復していく。 前回の人生では出会うことのなかった隣国の第三皇子に好意を持たれ……。 ☆ ※ざまぁ有り(死ネタ有り) ※虫を潰すように、さくさく敵を抹殺していきます。 ※ヒロインのパパは味方です。 ※他サイトにも投稿しています。 「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 ※本編1〜14話。タイムリープしたヒロインが、タイムリープする前の人生で自分を殺した相手を、ぷちぷちと潰していく話です。 ※番外編15〜26話。タイムリープする前の時間軸で、娘を殺された公爵が、娘を殺した相手を捻り潰していく話です。 2022年3月8日HOTランキング7位! ありがとうございます!

心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。

木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。 そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。 ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。 そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。 こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。

【完結】婚約者が好きなのです

maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。 でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。 冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。 彼の幼馴染だ。 そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。 私はどうすればいいのだろうか。 全34話(番外編含む) ※他サイトにも投稿しております ※1話〜4話までは文字数多めです

聖女は妹ではありません。本物の聖女は、私の方です

光子
恋愛
私の双子の妹の《エミル》は、聖女として産まれた。 特別な力を持ち、心優しく、いつも愛を囁く妹は、何の力も持たない、出来損ないの双子の姉である私にも優しかった。 「《ユウナ》お姉様、大好きです。ずっと、仲良しの姉妹でいましょうね」 傍から見れば、エミルは姉想いの可愛い妹で、『あんな素敵な妹がいて良かったわね』なんて、皆から声を掛けられた。 でも違う、私と同じ顔をした双子の妹は、私を好きと言いながら、執着に近い感情を向けて、私を独り占めしようと、全てを私に似せ、奪い、閉じ込めた。 冷たく突き放せば、妹はシクシクと泣き、聖女である妹を溺愛する両親、婚約者、町の人達に、酷い姉だと責められる。 私は妹が大嫌いだった。 でも、それでも家族だから、たった一人の、双子の片割れだからと、ずっと我慢してきた。 「ユウナお姉様、私、ユウナお姉様の婚約者を好きになってしまいました。《ルキ》様は、私の想いに応えて、ユウナお姉様よりも私を好きだと言ってくれました。だから、ユウナお姉様の婚約者を、私に下さいね。ユウナお姉様、大好きです」  ――――ずっと我慢してたけど、もう限界。 好きって言えば何でも許される免罪符じゃないのよ? 今まで家族だからって、双子の片割れだからって我慢してたけど、もう無理。 丁度良いことに、両親から家を出て行けと追い出されたので、このまま家を出ることにします。 さようなら、もう二度と貴女達を家族だなんて思わない。 泣いて助けを求めて来ても、絶対に助けてあげない。 本物の聖女は私の方なのに、馬鹿な人達。 不定期更新。 この作品は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

処理中です...