17 / 36
17
しおりを挟む
3人の姿が見えなくなって振り向くと、そっくりな姉妹がキラキラした眼差しを私に向けていた⋯⋯なんで?
話を聞くとこの2人は双子で私と同じ学年だそうだ。
名前はリスナー子爵家の、テレーゼ嬢とルイーゼ嬢。薄い黄緑色の髪と黄色い瞳の色まで同じの双子ちゃんだ。
私ともコリーナ嬢ともクラスが違う。
この学園は1学年3クラスあり、1年生は家格や学力は関係なくクラス分けされている。
2年生からは学力で分けられるのだ。
「「助けて下さりありがとうございました」」
さすが双子声も揃っている。
「詳しいことをお聞きしたいところですが、食堂にコリーナ嬢を待たせていますの。放課後にでもお時間を取っていただくことはできるかしら?」
「「もちろんです!」」
放課後に図書館にある個室自習室で待ち合わせることを約束して私は食堂に向かった。
もちろんこのことは他言無用と伝えている。
まあ盗み聞きした限り双子にコリーナ嬢に怪我を負わせようと強要したのは間違いないだろう。
⋯⋯今回はたまたま事前に阻止することが出来たけれど、同じような考えを持つ者は他にもいると考えた方がよさそうね。
「メイジェーン様、今日は遅かったですね」
ああ、今日もコリーナ嬢に癒される~
大丈夫よ。私が貴女の笑顔は必ず守ってみせるから!
「ごめんなさい。少し立ち話をしていましたの」
上手く誤魔化せたと思う。
さっきことは頭の隅に置いてコリーナ嬢との楽しいランチタイムを過ごすことにした。
「呼び出してごめんなさい」
「いえ!光栄です!」
「イスト様はわたし達の憧れですから!」
いや、そんなキラキラした目で憧れって⋯⋯面と向かって言われると照れるわね。えへっ
⋯⋯て、照れてる場合ではないわね。
気を取り直して双子姉妹に経緯を聞いた。
コリーナ嬢は私と居ることで目立つようになったそうだ。そこへ休暇中に我が家(イスト公爵家)に招待され歓迎されていたことが噂になった。
私から言わせれば友達を自宅に呼んで何が悪いの?なんだけれど、どうも世間ではイスト公爵に招かれることが一種のステータスなんだとか⋯⋯お母様はお茶会など開くことがあるけれど、基本お兄様が知り合いを呼んだとかは聞いたことがないし、私に至っては初めて招待したのがコリーナ嬢だ。
これだけでも羨む者がいるところへ、『レオクリフ様』とお兄様の名を呼ぶことを許されたものだから、妬みや嫉妬がコリーナ嬢に向けられたらしい。
「イスト様(お兄様)はとても神々しく遠目で拝むのが丁度いいんです!」
「そうです!イスト様(お兄様)と目を合わせてしまうと心が奪われると言われています!」
2人とも拳を作って力説している⋯⋯げ、元気な双子ね。
まあ、私もお兄様はフェロモンビームを出しているんじゃないかと疑っているぐらいだもの。
「そ、そうなのね」
「コリーナ嬢はわたし達と同じ下位貴族ですからね。そんな令嬢が公爵家の方々に大切にされていると噂になれば面白くない方々も出てくるワケですよ!」
「それで子爵家や男爵家の令嬢に司令を出すのが高位貴族の方々なのです!」
「内容は先程イスト様が聞かれた怪我をさせろ!ですとか意地悪やイタズラをしろ!ってやつなのです!」
「「誰が聞くものですか!ね!」」
なるほど⋯⋯内容は確かに理不尽なものだけれど、この2人⋯家を潰すとまで脅されたのにキッパリと断っていた。
「それにわたし達は商売人の娘です。信用を失うようなことは出来ません」
いい子たちだ。それに面白い。
「お2人とも教えて下さりありがとうございました。これからは私のことはメイジェーンと呼んでほしいの」
お兄様と被るのは紛らわしいし、彼女たちとは仲良くなりたいと思うもの。
「「え?!」」
驚いた顔も面白いわね。
「お友達になってくれると嬉しいわ」
「「い、いいのですか?本当にいいのですか?」」
「ええ、もちろんよ」
「ありがとうございます!わたしの事はテレーゼとお呼びください」
「わたしの事はルイーゼと!もちろん敬称はいりません」
私も敬称はいらないし、なんなら『メイ』って愛称で呼んでもらってもいいぐらいなんだけれど、それをするとこの子達まで標的になってしまうかもしれない。
「これからよろしくね。テレーゼ、ルイーゼ」
「「はい!メイジェーン様!」」
今日のお礼と、明日のランチタイムにコリーナ嬢を紹介すると言って2人とは別れた。
まずは帰ったら相談ね。
コリーナ嬢が怪我をするような事態になる事だけは回避しないといけない。
それにコリーナ嬢に早くテレーゼとルイーゼを紹介したい。
きっと2人ともコリーナ嬢と仲良くなれるはずだ。
そんなことを想像しながらのんびり歩いている途中で、お兄様を待たせていることを思い出し馬車止めまで急いだ。
そんな私を陰から見ていた者がいたことに気付かないまま⋯⋯
話を聞くとこの2人は双子で私と同じ学年だそうだ。
名前はリスナー子爵家の、テレーゼ嬢とルイーゼ嬢。薄い黄緑色の髪と黄色い瞳の色まで同じの双子ちゃんだ。
私ともコリーナ嬢ともクラスが違う。
この学園は1学年3クラスあり、1年生は家格や学力は関係なくクラス分けされている。
2年生からは学力で分けられるのだ。
「「助けて下さりありがとうございました」」
さすが双子声も揃っている。
「詳しいことをお聞きしたいところですが、食堂にコリーナ嬢を待たせていますの。放課後にでもお時間を取っていただくことはできるかしら?」
「「もちろんです!」」
放課後に図書館にある個室自習室で待ち合わせることを約束して私は食堂に向かった。
もちろんこのことは他言無用と伝えている。
まあ盗み聞きした限り双子にコリーナ嬢に怪我を負わせようと強要したのは間違いないだろう。
⋯⋯今回はたまたま事前に阻止することが出来たけれど、同じような考えを持つ者は他にもいると考えた方がよさそうね。
「メイジェーン様、今日は遅かったですね」
ああ、今日もコリーナ嬢に癒される~
大丈夫よ。私が貴女の笑顔は必ず守ってみせるから!
「ごめんなさい。少し立ち話をしていましたの」
上手く誤魔化せたと思う。
さっきことは頭の隅に置いてコリーナ嬢との楽しいランチタイムを過ごすことにした。
「呼び出してごめんなさい」
「いえ!光栄です!」
「イスト様はわたし達の憧れですから!」
いや、そんなキラキラした目で憧れって⋯⋯面と向かって言われると照れるわね。えへっ
⋯⋯て、照れてる場合ではないわね。
気を取り直して双子姉妹に経緯を聞いた。
コリーナ嬢は私と居ることで目立つようになったそうだ。そこへ休暇中に我が家(イスト公爵家)に招待され歓迎されていたことが噂になった。
私から言わせれば友達を自宅に呼んで何が悪いの?なんだけれど、どうも世間ではイスト公爵に招かれることが一種のステータスなんだとか⋯⋯お母様はお茶会など開くことがあるけれど、基本お兄様が知り合いを呼んだとかは聞いたことがないし、私に至っては初めて招待したのがコリーナ嬢だ。
これだけでも羨む者がいるところへ、『レオクリフ様』とお兄様の名を呼ぶことを許されたものだから、妬みや嫉妬がコリーナ嬢に向けられたらしい。
「イスト様(お兄様)はとても神々しく遠目で拝むのが丁度いいんです!」
「そうです!イスト様(お兄様)と目を合わせてしまうと心が奪われると言われています!」
2人とも拳を作って力説している⋯⋯げ、元気な双子ね。
まあ、私もお兄様はフェロモンビームを出しているんじゃないかと疑っているぐらいだもの。
「そ、そうなのね」
「コリーナ嬢はわたし達と同じ下位貴族ですからね。そんな令嬢が公爵家の方々に大切にされていると噂になれば面白くない方々も出てくるワケですよ!」
「それで子爵家や男爵家の令嬢に司令を出すのが高位貴族の方々なのです!」
「内容は先程イスト様が聞かれた怪我をさせろ!ですとか意地悪やイタズラをしろ!ってやつなのです!」
「「誰が聞くものですか!ね!」」
なるほど⋯⋯内容は確かに理不尽なものだけれど、この2人⋯家を潰すとまで脅されたのにキッパリと断っていた。
「それにわたし達は商売人の娘です。信用を失うようなことは出来ません」
いい子たちだ。それに面白い。
「お2人とも教えて下さりありがとうございました。これからは私のことはメイジェーンと呼んでほしいの」
お兄様と被るのは紛らわしいし、彼女たちとは仲良くなりたいと思うもの。
「「え?!」」
驚いた顔も面白いわね。
「お友達になってくれると嬉しいわ」
「「い、いいのですか?本当にいいのですか?」」
「ええ、もちろんよ」
「ありがとうございます!わたしの事はテレーゼとお呼びください」
「わたしの事はルイーゼと!もちろん敬称はいりません」
私も敬称はいらないし、なんなら『メイ』って愛称で呼んでもらってもいいぐらいなんだけれど、それをするとこの子達まで標的になってしまうかもしれない。
「これからよろしくね。テレーゼ、ルイーゼ」
「「はい!メイジェーン様!」」
今日のお礼と、明日のランチタイムにコリーナ嬢を紹介すると言って2人とは別れた。
まずは帰ったら相談ね。
コリーナ嬢が怪我をするような事態になる事だけは回避しないといけない。
それにコリーナ嬢に早くテレーゼとルイーゼを紹介したい。
きっと2人ともコリーナ嬢と仲良くなれるはずだ。
そんなことを想像しながらのんびり歩いている途中で、お兄様を待たせていることを思い出し馬車止めまで急いだ。
そんな私を陰から見ていた者がいたことに気付かないまま⋯⋯
4,574
お気に入りに追加
6,404
あなたにおすすめの小説
愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた
迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」
待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。
「え……あの、どうし……て?」
あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。
彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。
ーーーーーーーーーーーーー
侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。
吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。
自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。
だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。
婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。
※基本的にゆるふわ設定です。
※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます
※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。
※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
あなたと別れて、この子を生みました
キムラましゅろう
恋愛
約二年前、ジュリアは恋人だったクリスと別れた後、たった一人で息子のリューイを生んで育てていた。
クリスとは二度と会わないように生まれ育った王都を捨て地方でドリア屋を営んでいたジュリアだが、偶然にも最愛の息子リューイの父親であるクリスと再会してしまう。
自分にそっくりのリューイを見て、自分の息子ではないかというクリスにジュリアは言い放つ。
この子は私一人で生んだ私一人の子だと。
ジュリアとクリスの過去に何があったのか。
子は鎹となり得るのか。
完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。
⚠️ご注意⚠️
作者は元サヤハピエン主義です。
え?コイツと元サヤ……?と思われた方は回れ右をよろしくお願い申し上げます。
誤字脱字、最初に謝っておきます。
申し訳ございませぬ< (_"_) >ペコリ
小説家になろうさんにも時差投稿します。
【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
【取り下げ予定】アマレッタの第二の人生
ごろごろみかん。
恋愛
『僕らは、恋をするんだ。お互いに』
彼がそう言ったから。
アマレッタは彼に恋をした。厳しい王太子妃教育にも耐え、誰もが認める妃になろうと励んだ。
だけどある日、婚約者に呼び出されて言われた言葉は、彼女の想像を裏切るものだった。
「きみは第二妃となって、エミリアを支えてやって欲しい」
その瞬間、アマレッタは思い出した。
この世界が、恋愛小説の世界であること。
そこで彼女は、悪役として処刑されてしまうこと──。
アマレッタの恋心を、彼は利用しようと言うのだ。誰からの理解も得られず、深い裏切りを受けた彼女は、国を出ることにした。
一方、彼女が去った後。国は、緩やかに破滅の道を辿ることになる。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる