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「お兄様、ジークお話したいことがあります。」
わたくしの真剣さが分かったのか、そのままサロンに向かう。

メイドにはお茶の用意をしてもらったら部屋から出てもらう。

前には兄、隣にはジーク。

お茶で喉を潤してから話しだす。

前世では、小説やゲーム(説明が大変だった)が流行っていたこと、内容は悪役令嬢や婚約破棄、断罪、冤罪、逆ハーレムなど時間をかけて話していった。

婚約破棄のところでジークがギュと抱きしめてくれた。

悪役令嬢が転生者で断罪を回避しようとしても強制力が働き何もしていなくても、いつの間にか悪役令嬢に仕立て上げる酷いヒロインもいたこと。

そして断罪には修道院送り、娼館送り、平民落ち、最悪処刑がある事も話した。

断罪の内容に2人の顔色が悪くなったが、知っている限りのパターンを話していった。

「わたくしが前世の記憶を持っていることも小説やゲームではよくある話しだったの」

「だから、他に記憶を持っている人がいてもおかしくないと思う。それに申告制じゃないのだからいて当たり前だと思った方がいいわ」

最後まで話せた。

「その話しを前提に考えると怪しいのは、やっぱりハウゼン侯爵家の姉妹だね」

「ああ、イベントらしき行動と言動は一致するな」

「ここから高位貴族や顔のいい奴を侍らしたりしたら転生者の確率も上がるね」

「貴族令嬢が婚約者でもない男と親密になるのも有り得ないからな」

「それも複数人なんてバカだよね」

「だいたい高位貴族なのに無邪気で天真爛漫ならそれは演技だな」

「ああ、生まれた時から貴族なら身に付けた作法ややマナーは隠しきれないからね」

「例え庶子から養女になったとしても礼儀知らずに落ちる男は所詮その程度の男だ」

うわ~どんどん2人の話しが進む。
デキる男って会話も無駄がないのね。

「アリー今まで通り絶対に1人になってはダメだよ?」

ジークが頭を撫でながら心配そうな顔をしてる。

「はい」

「いい子だ。本当に気を付けろよ?シアを悪役令嬢に仕立てようとするかもしれないからな」

「わかったわ」

「アリー僕は裏切らないから安心してね」

「もちろん信じてるわ」

兄もジークもいつもわたくしを守ってくれる。

だけど大丈夫!わたくしだって鍛錬だけは毎日続けてきたんだから、いざとなったら自分の身は自分で守るだけの力はあるはずよ。

2人を安心させる為に笑顔を見せた。


長く話していたせいで遅い夕食になってしまったけど3人で食事を済ませた。

ジークを見送る時も抱きしめて「大丈夫だよ。アリーは絶対に僕が守るからね」と額へキスして帰って行った。


この世界が小説やゲームの世界とは限らないし、心配し過ぎるのもよくないものね。

暫くは様子見ね。
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