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あの後、新入生の入学式が始まるまでクラスメイト達は留学してきたマーガレット王女の話で持ちきりになった。
何人かは実際に王女を見たそうで、うっとりと惚気けた顔で話していたから本当に魅力的な王女様みたいだ。
私の事から話しをそらせたからいいけれど、友人達には今度ちゃんと話すとその場は逃れられた。
入学式も滞りなく終わり、アレク様の教室まで迎えに行く途中だった。
何やら揉めているような声が聞こえてきた。
ここは空き教室?
「なぜですか?」
「今までお傍に居ることを許して下さっていたではありませんか?」
「触れることも許さないとは何故なのですか?」
令嬢たちは叫ぶように相手に訴えているようだ。
「ごめんね。僕は君たちにいい顔をし過ぎたと反省しているんだ。今の僕が誰かを選ぶ資格なんてないと思っている。君たちにはこんな僕よりも相応しい人がいるはずだよ」
「そ、そんな・・・」
「・・・」
「ドルチアーノ殿下・・・」
え?ドルチアーノ殿下?
「それに、君たちは下位の者や平民に横暴な態度を取っていることを僕は知っているよ?そんな女性を王子妃には出来ないと分かるよね?」
まあ、確かにそんな人は王子妃に相応しくないかも。
それよりも僕?
私にはいつも俺って言ってたよね。
「態度を改めますから」
「お願いします」
「婚約者候補から外さないで下さい」
「ごめんね。僕に人を見る目が無かったんだ。他の候補者も全員外したよ。これは陛下にも許可を貰っているから覆らない。君たちも自由になれるんだよ」
ドルチアーノ殿下の声は、キツい言葉を敢えて使っているようだが、優しく諭しているように聞こえた。
私にかけた口調とも、言葉使いとも違う穏やかな話し方だ。。
ドルチアーノ殿下は本来は穏やかな人なのかもしれない・・・。
・・・なるほど。
私限定で口調が乱れるほど彼は私のことが嫌いだったんだ。
そこまで嫌われるって、私が知らないうちにドルチアーノ殿下を怒らせたのか?
誕生日プレゼントに嫌いな物を送ったとか?
いや、毎年刺繍したハンカチだったわ。
それとも手紙の内容に失礼があったとか?
・・・今さらね。
もう、関係は絶たれたのだから。
「じゃあ僕はこれで失礼するよ」
ガラッとドアが開いてから、今の自分の状況が立ち聞きだったと気付いた。
私に聞かれてドルチアーノ殿下に怒鳴られるか睨まれるかと身構えながらも、あら、ちゃんとドアは閉めるんだなと冷静に思いながら、恐る恐る見上げると、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
でも・・・に、睨んでない?
「・・・どこから聞いていたの?」
の?ですと!!聞き間違いか?
それに怒鳴らないの?
「・・・いい顔し過ぎたところからで、す」
「・・・ほとんど最初からじゃないか」
「す、すみません」
「それはいいよ。それよりも悪かったね。君にとって僕は最低の男だっただろうね」
暴君が謝った?
「君のことを何も知らないのに、君の為人を勝手に決めつけてしまった」
ど、どうしたの?変な物でも食べたの?
「君への口調も態度も反省している」
「そ、そうですか。大丈夫ですよ、気にしていませんから」
「それと、君を睨んでいるつもりはなかったんだよ。ただ君を見たら緊張しちゃって体が固まってしまっていたんだよね」
緊張???
何を言っているか分からないんだけど?
・・・・・・。
・・・・・・。
「それよりも3年の階に何か用事があったの?」
!!やっぱり!
の?って言ってるわ!
く、口調が今までと全然違う!
彼は二重人格なの?
「に、2年の階だとあの御方と出くわすと面倒かと思い、私がアレク様を迎えに行くと約束したんです」
「そうなんだ。アレクシスとは同じクラスだから・・・一緒に行こうか。送るよ」
そうなんだ?
行こうか?
送るよ?
・・・謝ってもらったけど、別人過ぎて怖いんですけど!
「大丈夫ですよ。1人で行けますから」
「気にしないで、僕も教室に戻るところだからね、さあ行こうか」
い~や~!
あの"俺様王子"が"普通の王子"になっている~。
こ、これは、新手の意地悪か?
仕方ない、ついて行くしかないか。
「アレクシス、ディハルト嬢が迎えに来ているよ」
よ?
それに、ずっと穏やかな口調なんですけど!
怖いわ!
帰ったらルイス兄様とリアム兄様にドルチアーノ殿下の性格を聞いてみよう。
「待っていたよヴィー!ここまで何もなかった?」
すぐに教室から飛び出してきたアレク様にドルチアーノ殿下がここまで送ってくれたことを伝えて、ドルチアーノ殿下には一応お礼を言って別れた。
「何でヴィーがドルチアーノ殿下と一緒にいたんだ?」
「たまたまココに来るまでに会っただけですよ」
そう、たまたま話し声が聞こえて、たまたま立ち聞きしてしまっただけよ。
「そっか・・・それよりも帰りに街に寄って何か食べて行く?」
!!!
制服デート!
「はい!行きたいです」
2人で何を食べようか話しながら馬車乗り場に到着したが・・・人集りがある。
嫌な予感がする。
まだ後ろ姿だけど、ふわふわしたこの国では珍しいピンク色の髪が見えた瞬間、脳裏に前世の乙女ゲームや小説に出てきたヒロインの描写が浮かんだ。
ヒロインはピンク色の髪が一番多かったような気がする・・・
いや、ここはゲームの世界じゃない・・・はず。
そして、ゆっくりとピンク髪の令嬢が振り向いた・・・
何人かは実際に王女を見たそうで、うっとりと惚気けた顔で話していたから本当に魅力的な王女様みたいだ。
私の事から話しをそらせたからいいけれど、友人達には今度ちゃんと話すとその場は逃れられた。
入学式も滞りなく終わり、アレク様の教室まで迎えに行く途中だった。
何やら揉めているような声が聞こえてきた。
ここは空き教室?
「なぜですか?」
「今までお傍に居ることを許して下さっていたではありませんか?」
「触れることも許さないとは何故なのですか?」
令嬢たちは叫ぶように相手に訴えているようだ。
「ごめんね。僕は君たちにいい顔をし過ぎたと反省しているんだ。今の僕が誰かを選ぶ資格なんてないと思っている。君たちにはこんな僕よりも相応しい人がいるはずだよ」
「そ、そんな・・・」
「・・・」
「ドルチアーノ殿下・・・」
え?ドルチアーノ殿下?
「それに、君たちは下位の者や平民に横暴な態度を取っていることを僕は知っているよ?そんな女性を王子妃には出来ないと分かるよね?」
まあ、確かにそんな人は王子妃に相応しくないかも。
それよりも僕?
私にはいつも俺って言ってたよね。
「態度を改めますから」
「お願いします」
「婚約者候補から外さないで下さい」
「ごめんね。僕に人を見る目が無かったんだ。他の候補者も全員外したよ。これは陛下にも許可を貰っているから覆らない。君たちも自由になれるんだよ」
ドルチアーノ殿下の声は、キツい言葉を敢えて使っているようだが、優しく諭しているように聞こえた。
私にかけた口調とも、言葉使いとも違う穏やかな話し方だ。。
ドルチアーノ殿下は本来は穏やかな人なのかもしれない・・・。
・・・なるほど。
私限定で口調が乱れるほど彼は私のことが嫌いだったんだ。
そこまで嫌われるって、私が知らないうちにドルチアーノ殿下を怒らせたのか?
誕生日プレゼントに嫌いな物を送ったとか?
いや、毎年刺繍したハンカチだったわ。
それとも手紙の内容に失礼があったとか?
・・・今さらね。
もう、関係は絶たれたのだから。
「じゃあ僕はこれで失礼するよ」
ガラッとドアが開いてから、今の自分の状況が立ち聞きだったと気付いた。
私に聞かれてドルチアーノ殿下に怒鳴られるか睨まれるかと身構えながらも、あら、ちゃんとドアは閉めるんだなと冷静に思いながら、恐る恐る見上げると、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
でも・・・に、睨んでない?
「・・・どこから聞いていたの?」
の?ですと!!聞き間違いか?
それに怒鳴らないの?
「・・・いい顔し過ぎたところからで、す」
「・・・ほとんど最初からじゃないか」
「す、すみません」
「それはいいよ。それよりも悪かったね。君にとって僕は最低の男だっただろうね」
暴君が謝った?
「君のことを何も知らないのに、君の為人を勝手に決めつけてしまった」
ど、どうしたの?変な物でも食べたの?
「君への口調も態度も反省している」
「そ、そうですか。大丈夫ですよ、気にしていませんから」
「それと、君を睨んでいるつもりはなかったんだよ。ただ君を見たら緊張しちゃって体が固まってしまっていたんだよね」
緊張???
何を言っているか分からないんだけど?
・・・・・・。
・・・・・・。
「それよりも3年の階に何か用事があったの?」
!!やっぱり!
の?って言ってるわ!
く、口調が今までと全然違う!
彼は二重人格なの?
「に、2年の階だとあの御方と出くわすと面倒かと思い、私がアレク様を迎えに行くと約束したんです」
「そうなんだ。アレクシスとは同じクラスだから・・・一緒に行こうか。送るよ」
そうなんだ?
行こうか?
送るよ?
・・・謝ってもらったけど、別人過ぎて怖いんですけど!
「大丈夫ですよ。1人で行けますから」
「気にしないで、僕も教室に戻るところだからね、さあ行こうか」
い~や~!
あの"俺様王子"が"普通の王子"になっている~。
こ、これは、新手の意地悪か?
仕方ない、ついて行くしかないか。
「アレクシス、ディハルト嬢が迎えに来ているよ」
よ?
それに、ずっと穏やかな口調なんですけど!
怖いわ!
帰ったらルイス兄様とリアム兄様にドルチアーノ殿下の性格を聞いてみよう。
「待っていたよヴィー!ここまで何もなかった?」
すぐに教室から飛び出してきたアレク様にドルチアーノ殿下がここまで送ってくれたことを伝えて、ドルチアーノ殿下には一応お礼を言って別れた。
「何でヴィーがドルチアーノ殿下と一緒にいたんだ?」
「たまたまココに来るまでに会っただけですよ」
そう、たまたま話し声が聞こえて、たまたま立ち聞きしてしまっただけよ。
「そっか・・・それよりも帰りに街に寄って何か食べて行く?」
!!!
制服デート!
「はい!行きたいです」
2人で何を食べようか話しながら馬車乗り場に到着したが・・・人集りがある。
嫌な予感がする。
まだ後ろ姿だけど、ふわふわしたこの国では珍しいピンク色の髪が見えた瞬間、脳裏に前世の乙女ゲームや小説に出てきたヒロインの描写が浮かんだ。
ヒロインはピンク色の髪が一番多かったような気がする・・・
いや、ここはゲームの世界じゃない・・・はず。
そして、ゆっくりとピンク髪の令嬢が振り向いた・・・
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