6 / 67
6 ドルチアーノ殿下視点
しおりを挟む
~ドルチアーノ殿下視点~
僕は自分が嫌になる。
あれ程彼女から届くプレゼントも手紙も気味悪がって見もしなかったのに・・・。
お礼も返事も送らなかったのに・・・。
大体彼女の誕生日すら知ろうとしなかった・・・。
本当に僕は最低だ。
彼女が僕の婚約者候補になって初めて、今年の僕の誕生日にプレゼントが届かなかった。
貰って当たり前・・・僕はいつからこんな傲慢な人間になっていたんだろう?
それでも理由が知りたくてはじめて僕から彼女に声をかけた。
口調だけは気をつけよう。
『・・・おい!』
ダメだ!
なんでこんな口調になるんだ!
あれ?耳が悪いのかな?
『おい!』
本当に聞こえてないのかな?
『おい!』
ダメだ。
キツい口調になる。
彼女以外は聞こえているのだろう、僕の顔を皆んな見ているからな。
リアム殿は珍しく怒った顔をしているが・・・
振り向いた彼女はやはり美しい。
『お前俺の誕生日プレゼントはどうした?』
なんで僕はこんな言い方になるんだ?
キョトンとした顔も可愛いと思う。
なのに、また僕に背を向けて何事も無かったかのように食事を再開させている。
まさか、自分に話し掛けられていると思っていないのか?
『おい!お前だ!いい加減にしろよ!』
つい彼女の肩に触れようとしたが、その前にリアム殿にすぐに払い除けられた・・・
『・・・何故付き合いもない貴方に赤の他人の私がプレゼントをしなければならないのですか?』
え?他人?君は僕の婚約者候補だろう?
『はあ?お前は俺の婚約者候補だろうが!』
まただ、普段通りの口調が出来ない。
『いいえ違いますよ?私は辞退しましたから』
そんなこと誰からも聞いてない!
『嘘を言うな!』
なんでだ?なんで僕の胸はこんなに痛いのだろう?
『本当ですよ。帰ったら確認して下さい』
嘘だ、嘘だ・・・
『分かれば僕の可愛い妹のヴィーに二度と話しかけないで下さいね』
リアム殿まで彼女の言葉を認めた。
じゃあ本当なのか?
彼女はもう僕の婚約者候補じゃないのか?
鈍器で頭を殴られたような気がした。
そして頭が真っ白になった・・・
トントンと部屋のドアをノックをして入ってきた侍女に食事の用意が出来たと伝えられた。
僕は午後からの授業を受けたのか?
どうやって帰ってきたんだ?
気づいたら王宮の自室にいた。
そうだ!父上に確認しなければ!
彼女の言ったことは本当だった。
彼女が17歳を迎えるまでに僕と少しでもお互いが尊重し合える関係が築けなければ辞退できると、父上とディハルト公爵との間で約束があったようだ。
そんな約束は知らない・・・。
知らなかったんだ・・・。
ふっ・・・今さらだな。
僕は彼女を選ぶつもりはなかっただろ?
他の候補の令嬢にはプレゼントのお礼もお返しもしていた、ちょくちょく来る手紙にも無難な手紙を返していた。
僕が彼女だけを拒絶していたんだ・・・それが返ってきただけだ。
10年、10年間も彼女は僕のこんな仕打ちに耐えてきたんだ。
どうせならもっと早く解放してあげたらよかった・・・。
初めから彼女を選ぶつもりなんかなかったのだから・・・。
「ドルも馬鹿だよね」
気が付けば兄上達が僕の座っているソファの対面に座っていた。
「今日の食堂での一件見ていたよ」
ジョシュア兄上
「兄上たちは彼女が辞退した事を知っていたのですか?」
「もちろん知っていたさ」
アンドリュー兄上
「なぜ教えてくれなかったのですか?」
「知っていたら何か変わっていたのか?あの子が辞退してから知ってもどうにもならないだろ?今さらだ」
「ディハルト嬢が私の婚約者候補だったなら例え幼い頃見た目が悪くても彼女を大切にしていたよ?あのディハルト公爵家の娘なんだよ?素敵な令嬢に育つに決まっているだろう?」
確かに・・・今ならそれが分かる。
「まあ彼女の辞退が認められたお陰でルイスが俺の側近になってくれたから結果これでよかったんだよ」
ああ、兄上が何度頼んでもルイス殿は首を縦に振らないと嘆いていたな。
父上もルイス殿には昔から目をかけていた。
いや、ルイス殿だけでなくリアム殿もだ・・・
ルイス殿が兄上の側近を決めたのは彼女の辞退が認められたからか・・・
リアム殿だけでなくルイス殿にも僕は嫌われていたんだな。
そりゃあそうだろ。
彼女が家族から溺愛されていると噂が僕の耳にも届いていたんだから。
その彼らの大切な妹を・・・僕は最低だな。
「まっ、諦めろ。お前にはまだ6人も婚約者候補がいるんだしな!」
「あと1年後にはドルもその6人の中から婚約者を選ばないとならないからね」
あの中から選ぶ?
実感がわかない。
誰を選んでも同じ気がする。
これが政略結婚・・・
だから少しでも交流して為人を見極めなければならなかったのに・・・
僕がしていたのは本当に交流だったのか?
ただいい顔していただけなのではないのか?
僕が愚かだった事も、人を見る目がなかった事も分かってしまった。
もう優柔不断なことはやめよう。
愛想笑いをするのもやめよう。
将来を共にする相手ならせめてお互いが尊重しあえ、穏やかに過ごせる人を選ぼう。
そのうち愛という感情が芽生えることを祈って・・・。
僕は自分が嫌になる。
あれ程彼女から届くプレゼントも手紙も気味悪がって見もしなかったのに・・・。
お礼も返事も送らなかったのに・・・。
大体彼女の誕生日すら知ろうとしなかった・・・。
本当に僕は最低だ。
彼女が僕の婚約者候補になって初めて、今年の僕の誕生日にプレゼントが届かなかった。
貰って当たり前・・・僕はいつからこんな傲慢な人間になっていたんだろう?
それでも理由が知りたくてはじめて僕から彼女に声をかけた。
口調だけは気をつけよう。
『・・・おい!』
ダメだ!
なんでこんな口調になるんだ!
あれ?耳が悪いのかな?
『おい!』
本当に聞こえてないのかな?
『おい!』
ダメだ。
キツい口調になる。
彼女以外は聞こえているのだろう、僕の顔を皆んな見ているからな。
リアム殿は珍しく怒った顔をしているが・・・
振り向いた彼女はやはり美しい。
『お前俺の誕生日プレゼントはどうした?』
なんで僕はこんな言い方になるんだ?
キョトンとした顔も可愛いと思う。
なのに、また僕に背を向けて何事も無かったかのように食事を再開させている。
まさか、自分に話し掛けられていると思っていないのか?
『おい!お前だ!いい加減にしろよ!』
つい彼女の肩に触れようとしたが、その前にリアム殿にすぐに払い除けられた・・・
『・・・何故付き合いもない貴方に赤の他人の私がプレゼントをしなければならないのですか?』
え?他人?君は僕の婚約者候補だろう?
『はあ?お前は俺の婚約者候補だろうが!』
まただ、普段通りの口調が出来ない。
『いいえ違いますよ?私は辞退しましたから』
そんなこと誰からも聞いてない!
『嘘を言うな!』
なんでだ?なんで僕の胸はこんなに痛いのだろう?
『本当ですよ。帰ったら確認して下さい』
嘘だ、嘘だ・・・
『分かれば僕の可愛い妹のヴィーに二度と話しかけないで下さいね』
リアム殿まで彼女の言葉を認めた。
じゃあ本当なのか?
彼女はもう僕の婚約者候補じゃないのか?
鈍器で頭を殴られたような気がした。
そして頭が真っ白になった・・・
トントンと部屋のドアをノックをして入ってきた侍女に食事の用意が出来たと伝えられた。
僕は午後からの授業を受けたのか?
どうやって帰ってきたんだ?
気づいたら王宮の自室にいた。
そうだ!父上に確認しなければ!
彼女の言ったことは本当だった。
彼女が17歳を迎えるまでに僕と少しでもお互いが尊重し合える関係が築けなければ辞退できると、父上とディハルト公爵との間で約束があったようだ。
そんな約束は知らない・・・。
知らなかったんだ・・・。
ふっ・・・今さらだな。
僕は彼女を選ぶつもりはなかっただろ?
他の候補の令嬢にはプレゼントのお礼もお返しもしていた、ちょくちょく来る手紙にも無難な手紙を返していた。
僕が彼女だけを拒絶していたんだ・・・それが返ってきただけだ。
10年、10年間も彼女は僕のこんな仕打ちに耐えてきたんだ。
どうせならもっと早く解放してあげたらよかった・・・。
初めから彼女を選ぶつもりなんかなかったのだから・・・。
「ドルも馬鹿だよね」
気が付けば兄上達が僕の座っているソファの対面に座っていた。
「今日の食堂での一件見ていたよ」
ジョシュア兄上
「兄上たちは彼女が辞退した事を知っていたのですか?」
「もちろん知っていたさ」
アンドリュー兄上
「なぜ教えてくれなかったのですか?」
「知っていたら何か変わっていたのか?あの子が辞退してから知ってもどうにもならないだろ?今さらだ」
「ディハルト嬢が私の婚約者候補だったなら例え幼い頃見た目が悪くても彼女を大切にしていたよ?あのディハルト公爵家の娘なんだよ?素敵な令嬢に育つに決まっているだろう?」
確かに・・・今ならそれが分かる。
「まあ彼女の辞退が認められたお陰でルイスが俺の側近になってくれたから結果これでよかったんだよ」
ああ、兄上が何度頼んでもルイス殿は首を縦に振らないと嘆いていたな。
父上もルイス殿には昔から目をかけていた。
いや、ルイス殿だけでなくリアム殿もだ・・・
ルイス殿が兄上の側近を決めたのは彼女の辞退が認められたからか・・・
リアム殿だけでなくルイス殿にも僕は嫌われていたんだな。
そりゃあそうだろ。
彼女が家族から溺愛されていると噂が僕の耳にも届いていたんだから。
その彼らの大切な妹を・・・僕は最低だな。
「まっ、諦めろ。お前にはまだ6人も婚約者候補がいるんだしな!」
「あと1年後にはドルもその6人の中から婚約者を選ばないとならないからね」
あの中から選ぶ?
実感がわかない。
誰を選んでも同じ気がする。
これが政略結婚・・・
だから少しでも交流して為人を見極めなければならなかったのに・・・
僕がしていたのは本当に交流だったのか?
ただいい顔していただけなのではないのか?
僕が愚かだった事も、人を見る目がなかった事も分かってしまった。
もう優柔不断なことはやめよう。
愛想笑いをするのもやめよう。
将来を共にする相手ならせめてお互いが尊重しあえ、穏やかに過ごせる人を選ぼう。
そのうち愛という感情が芽生えることを祈って・・・。
407
お気に入りに追加
8,636
あなたにおすすめの小説
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
〖完結〗幼馴染みの王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
[完結]婚約破棄してください。そして私にもう関わらないで
みちこ
恋愛
妹ばかり溺愛する両親、妹は思い通りにならないと泣いて私の事を責める
婚約者も妹の味方、そんな私の味方になってくれる人はお兄様と伯父さんと伯母さんとお祖父様とお祖母様
私を愛してくれる人の為にももう自由になります
【完結】彼の瞳に映るのは
たろ
恋愛
今夜も彼はわたしをエスコートして夜会へと参加する。
優しく見つめる彼の瞳にはわたしが映っているのに、何故かわたしの心は何も感じない。
そしてファーストダンスを踊ると彼はそっとわたしのそばからいなくなる。
わたしはまた一人で佇む。彼は守るべき存在の元へと行ってしまう。
★ 短編から長編へ変更しました。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる