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ウインティア王国編

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あれからマイがアランとレイに声をかけている場面を見る日が増えた。


レイはアランの隣で薄く微笑んでマイの様子を観察している。
そのマイはアランから目を離さずモジモジしながら上目遣いで見ているが、アランは気にもとめず隣のレイだけを蕩けるような目で見つめている。

「あいつ寄りにもよってアランをターゲットに選ぶなんて本当にバカだよな」

ガルが呆れたように言っている。

「もうずっとあんな感じなんだけどやっぱりそうなの?」

呑気だなエリー。

「あの方は入学当初からあまり評判のよろしくない方ですわね」

最近当たり前のように一緒にいるようになったライベルン嬢がガルを意味ありげにチラリと見てそう言った。

ガルもライベルン嬢が何を言いたいのか分かったのか気まずげに目を逸らした。
あの女と関係を絶ったとは言えガルにとっては黒歴史だろうな。

アランの話では卒業後にウォルシュ家で働かせて欲しいと言ってきたそうだが、マイの考えている事など単純過ぎて誰の目から見ても明らかだ。

「マイさんがアランをターゲットにしてもレイしか見えていないから無駄だと思うんだけどな」

ガルの言葉をそのまま信じているエリーは素直で可愛いが、マイが多少の経験があることは知っていても、手当たり次第に男と関係を持っていた事までは知らないようだ。

まあ、今はマイが男達と手を切って真面目な振りをすることでこれ以上の被害が出ないだけマシか・・・。

「次の休みに我が家でいつものメンバーでお好み焼きをするんだけどリーゼも来られる?」

「お好み焼き?とは何か分かりませんが、エリー様から誘っていただけるなら喜んで参加させていただきます」

2人とも笑顔で頷き合っている。

そうなんだよな最近は"リーゼ" "エリー様" 呼びで2人は仲がいい。

確かに優秀な令嬢だし、何より俺たちの誰にも興味がないのかライベルン嬢はエリーしか見ていない。
だからか、あのグレイとザックすらライベルン嬢とは普通に話しているし、俺も信用できる人物だと思っている。


今日のマイとの交流が終わったのかアランとレイが合流してきた。

「次のお好み焼きパーティーにマイも誘ったんだよね。勝手に決めてごめんね」

本気か?

「あの子もう決定的だと思うわ」

なるほどね。

「そうか、ならお前たちに任せるぞ」

「別にマイさんが来るのは反対しないけれど、ルフィ、何かアランとレイに頼んでいたの?」

「いや、これで煩わしいことから解放されるんだ」

エリーの頭を撫でてやると目を細めて恥ずかしそうにするエリーは本当に可愛い!連れて帰りたい!
卒業式まであと1ヶ月。
そして婚姻まで2ヶ月だ。
全部まとめて終わらせられそうだ。

「分かりましたよ。雰囲気が悪くなりそうですが仕方ないですね」

いつの間にゾルティー来ていたんだ?

「「癒しの場が汚される」」

お前たちまで!

「みんな!お腹すかせて来てね」

実は俺たちもお好み焼き?は初めてだが、今までエリーの作ったものにハズレはなかった。だから今回も期待しているのだが・・・マイがいなければ心から楽しめたのに残念だ。

だが、これで終わりだ。






ウォルシュ家に到着してからアランの部屋でエリーとライベルン嬢を除いた7人で作戦会議をしている間に、エリーは準備に取り掛かるのでライベルン嬢はその手伝い頼んだ。

マイには時間をずらせてお好み焼きパーティーの開始時間を教えている。





~マイ・ツルギ視点~

好印象を与えるために、毎日アランに話しかけるようにしている。

私が声をかけるとアランってば、目を逸らすのよね。
照れているアランも可愛いけれど正面からアランの超絶イケメンの顔を拝みたいわ。

あと1ヶ月でアランのお家で働くようになるのね!
あの顔を見ながら毎日着替えも手伝うのよね?
もしかして、入浴の手伝いもあったりして!
ヤダ~想像するだけで興奮しちゃう!

経験から男の感じる場所はピンポイントで分かるわ。
チャンスさえあれば、その気にさせる自信もある。

早く卒業したい!

ずっと男を我慢してたから疼いてしょうがない。

でもあと少し我慢すればアランは私のモノになるわ!

だってアランが少しづつ心を許してくれてるのが分かるの。
今日だって次の休みにウォルシュ家に来ないかって誘われたもの。
働く前の下見がてら、私に用意してくれた部屋でも見せてくれるのかしら?

ふふふっ、レイのために薬品も手に入れたけれど、これは働き出してから使う予定。



次の休みが楽しみだわ。
わたしの庶民ならではの女子力を存分に見せてあげる。

それにしても"お好み焼き"?
この世界にもお好み焼きがあるの?
それともやっぱりエリザベートは転生者なの?

まあ、ウォルシュ家に行ってから確認すればいいわ。

それ次第ではエリザベートを許さないわ。

本物のヒロインのわたしは絶対にハッピーエンドにならないとダメなの!
今の状況がおかしいのよ・・・。
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