【完結】ごめんなさい?もうしません?はあ?許すわけないでしょう?

kana

文字の大きさ
上 下
46 / 48

46

しおりを挟む
「はははっ⋯⋯なる程ね。今までのの死の間際を彼女に体験させるのか」

そう、最初から決めていた。
サラの持つ特殊な魔法で痛みや苦しみを実体験しているような錯覚を与える悪夢をループし続ける夢をお願いしていた。

「「いいわね!」」

「それぐらいしないと⋯⋯今までのの恐怖、痛み、苦しみをあ味わえばいいんだ」

この提案をした時は家族に引かれるかと少し心配したけれど反対に喜ばれた。

本当は少しだけやり過ぎかと思っていた。
だって私はが何度も殺され、心が壊れてしまう程の最悪の場面を知っている。繰り返していないオルセロー嬢にとってはたった、私を殺そうとしただけ。
それでも、の苦しみや痛みを思えば許すことが出来なかった。

結局、今回はお父様の独壇場であっさりと終わらせてしまったけれど、でも⋯⋯これでもう二度と繰り返すことはない。

あの日、彼女もゴロツキと見習い執事と一緒に衛兵に引き渡した。
公爵家に襲撃し、当主に毒を盛り、令嬢を殺そうとした証言からオルセロー嬢以外の者は処刑された。
ただ、オルセロー嬢に関しては一瞬で痛みや苦しみから逃れる処刑よりも、繰り返す悪夢を与える為にオルセロー男爵家に返した。もちろん二度と外へは出さないこと。所謂、監禁と言うやつだ。
まあ、公爵家の人間の命を狙ったのだ、普通なら許されるものではない。
爵位を失うぐらいなら軽い方で、一族諸共処刑も有り得たのだから娘一人の監禁で済むなら当然男爵もそれを選ぶだろう。
定期的に彼女の様子は報告されることになっている。

今の彼女は部屋に篭って出てこないそうだ。
一日中ボーと過ごし、夜には悲鳴をあげ泣きながら目を覚ますのを繰り返しているそうだ。
誰に謝っているのか『ごめんなさい』と⋯⋯




その夜また自称神様が夢に現れた。

⋯⋯またお前か。

『君のお陰だよ。ほら』

自称神様の掌には以前の今にも消えそうに点滅していたの魂が、まだ灰色だけど前よりも力強く光っているように見える。

よかった。

『順調に僕の側では癒されているよ』

そっか⋯⋯

『これで繰り返しは終わりだよ。これから先は君も自分の思うように生きていけばいいさ。そして⋯⋯君も幸せになりなよ』

大好きな家族に囲まれて、大切にされて今でも幸せだよ?

『そうだね。幸せって他にも沢山あるんだよ。きっと君なら見つけられるさ』

もうすぐ学園を卒業するの。
だからね、世界を回るつもり。

『ああ空飛ぶ魔物を服従させるんだっけ?』

失礼な!
し・え・き!使役よ!

『どっちでも同じでしょ』

違う~

『まあ、君と会うのもこれが最後になるからね』

そうなんだ⋯⋯何だか寂しくなるな。

『じゃあそろそろ行くよ。元気でね!』

ええ、のことよろしくね。

『もちろん!じゃあね~』

そう言って自称神様はの魂と一緒に消えた。
⋯⋯ん?
!!
あ~~~~!次に会ったらぶっ飛ばすつもりだったのに~!



『はははははは⋯⋯残念だったね』

最後までふざけた自称神様だったな。
しおりを挟む
感想 43

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。

梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。 王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。 第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。 常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。 ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。 みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。 そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。 しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。

ある王国の王室の物語

朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。 顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。 それから 「承知しました」とだけ言った。 ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。 それからバウンドケーキに手を伸ばした。 カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか聖女になってしまいました

As-me.com
恋愛
完結しました。  とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。  例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。  なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。  ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!  あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。 ※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。

忘却令嬢〜そう言われましても記憶にございません〜【完】

雪乃
恋愛
ほんの一瞬、躊躇ってしまった手。 誰よりも愛していた彼女なのに傷付けてしまった。 ずっと傷付けていると理解っていたのに、振り払ってしまった。 彼女は深い碧色に絶望を映しながら微笑んだ。 ※読んでくださりありがとうございます。 ゆるふわ設定です。タグをころころ変えてます。何でも許せる方向け。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

【完結】皆様、答え合わせをいたしましょう

楽歩
恋愛
白磁のような肌にきらめく金髪、宝石のようなディープグリーンの瞳のシルヴィ・ウィレムス公爵令嬢。 きらびやかに彩られた学院の大広間で、別の女性をエスコートして現れたセドリック王太子殿下に婚約破棄を宣言された。 傍若無人なふるまい、大聖女だというのに仕事のほとんどを他の聖女に押し付け、王太子が心惹かれる男爵令嬢には嫌がらせをする。令嬢の有責で婚約破棄、国外追放、除籍…まさにその宣告が下されようとした瞬間。 「心当たりはありますが、本当にご理解いただけているか…答え合わせいたしません?」 令嬢との答え合わせに、青ざめ愕然としていく王太子、男爵令嬢、側近達など… 周りに搾取され続け、大事にされなかった令嬢の答え合わせにより、皆の終わりが始まる。

ご自慢の聖女がいるのだから、私は失礼しますわ

ネコ
恋愛
伯爵令嬢ユリアは、幼い頃から第二王子アレクサンドルの婚約者。だが、留学から戻ってきたアレクサンドルは「聖女が僕の真実の花嫁だ」と堂々宣言。周囲は“奇跡の力を持つ聖女”と王子の恋を応援し、ユリアを貶める噂まで広まった。婚約者の座を奪われるより先に、ユリアは自分から破棄を申し出る。「お好きにどうぞ。もう私には関係ありません」そう言った途端、王宮では聖女の力が何かとおかしな騒ぎを起こし始めるのだった。

処理中です...