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~クスター・オルセロー男爵令嬢視点~




フィオナ姉妹が仲良く歩いているのを見つけた。

チャンスだと思った。
突然姉の綺麗な顔が傷だらけになったら?
次は自分の番かと怯えるでしょう?
フィオナの恐怖におののく顔を見せてよ。
笑ってやるわ。

ま、傷だらけになっても治癒魔法でズタズタの傷も簡単に治るのは知っているけれど、取り敢えず今はフィオナに不安や恐怖を植え付けられたらいい。

そこまで一瞬で考えてフィオナの姉を狙って影を伸ばした。もちろん影に無効化も乗せてね。だって制服に付与されている保護魔法が邪魔だもの。

真っ直ぐ伸びていく影を目で追いかけていく。想像通りの結果が今から見られると思うと自然と口角が上がってくる。

え?は、弾かれた?
し、失敗したの?

違う!リオネルが弾いたんだ。
⋯⋯無効化は自分よりも魔力の多い者や、高い魔法の技術がある者には効かない。
リオネルは王族だけあって魔力が多いだろうことは予想していたけれど何でここにいるの?

⋯⋯今日のところは残念だけど失敗ね。
どうせあたしだとバレていないし、フィオナが卒業するまではまだ時間もある。
今日みたいに突発的に実行するよりも、計画を練ってフィオナに最高の恐怖を味合わせる方がいいわね。

よかったわねフィオナ。
でも次は失敗しないからね。
待っていなさい。
必ず殺してやるから⋯⋯







~フォーライト公爵家~


「せっかく証拠を掴むチャンスでしたのに⋯⋯邪魔されたわ」 

そう呟くエル姉様だけど、怒っているでも、嫌がっている風でもなく、リオネル殿下に対して困った子ねって感じだ。

「で、でも、庇おうとしてくれたのは有難かったですわね」

それに、エル姉様のリオネル殿下の評価が多少は上がったのは間違いなさそう。その証拠に姉様の頬がほんのりとピンク色になっているもの。
私が微笑ましく見ていると目が合ったエル姉様がクッションに顔をうずめてしまった。
なんだか可愛い。こんなエル姉様を見るのは初めてかもしれない。

「もういいかな?そろそろ次の対策を話し合おうか?」

「「「はい」」」

お父様の言葉に私たち同時には頷いた。

ここからは家族だけで真剣な話し合いだ。





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


今日は今期最終日だというのに何もしてこないのね。
でもダメじゃない。
そんな顔をしていると何か企んでいるって皆んなにもバレちゃうわよ?

私はいつでもいいわよ。
早くケリをつけましょう。

証拠を掴んだ瞬間オルセロー嬢あんたは終わりよ。

「フィー、悪い顔になっているわよ」

「本当だ」

「ふふふっ、だってあの子仕掛けてくる気満々だもの。返り討ちにしてやるわ」

の仇は私が必ず取ってあげるからね⋯⋯
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