【完結】ごめんなさい?もうしません?はあ?許すわけないでしょう?

kana

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ドドドドーーーン!!!

まっ、こんなもんかな。
楽勝!楽勝!コレで文句はないわよね?と振り向いたら・・・

え?・・・何でクラスメイトだけではなく先生まで驚いているの?
皆んな顎が外れそうな顔になっているわよ?
全属性の火・水・地・風を同時に4つの的に当てただよ?

・・・エ、エル姉様なんで眉間を摘んでいるの?
アル兄様なんで頭を抱えてしゃがんでいるの?

この練習場の防御結界も破っていないよ?
的は壊しちゃったけれど、あれは壊すものなんでしょう?誰にも迷惑をかけていないよね?

「・・・す、凄いな!さすがエルシア嬢の妹だ!」

一番最初に我に返ったのはリオネル殿下だったけれど、いちいちエル姉様へ媚びているのが透けて見えるのが悲しいかな・・・

「そ、そうですね、全属性を同時に出すなんて中々できませんよ」

「し、しかも、無詠唱だ」

ルーブル様とラオス様までがリオネル殿下に乗ってきたけど、大した事をしたわけじゃないだけにウザく感じるのは私の性格が悪いからなの?

「で?先生、疑いは晴れましたか?」

「えっ!あ、ああ・・・もう下がってもいいぞ」

それだけかよ!
先生とはいえこの人を敬うことは一生できないな。




・・・こんなものなの?
Aクラスって優秀な人達が集まっていると聞いていたけれど。

まあ、エル姉様とアル兄様は別格だ。

実は、エル姉様とアル兄様は私と一緒に領地に転移した時にはジンとサラに時間の許す限り師事を受けていた。
その理由が、私を守るため・・・って。泣きたくなるよね。



そしてリオネル殿下とそのお供たちも意外と使えるようだ。
冒険者ランクで言えばB~Aレベルはありそうだ。

他のクラスメイトはこれから頑張って!って感じ。





学院に通いだして早1ヶ月。
まだ、には出会っていない。と、思う。

変わったことといえば魔法を披露した日以来、エル姉様を目の敵にしていた令嬢とその取り巻きたちは大人しくなったことぐらい。

私が魔法を披露したあの日、何やら吹っ切れたエル姉様とアル兄様が隠していた実力を発揮したんだよね。
魔力量も多くアル兄様にはジンが、エル姉様にはサラが2人に最も適性のある能力を伸ばすために叩き込んだ・・・本当に叩き込んだんだんだよ。
元々素質のあるアル兄様とエル姉様だからね、吸収するのも早かった。
それにアル兄様とジン、エル姉様とサラは相性が良かったのか、性格が似ているからなのかすぐに打ち解けた。
ちょっと気になるのはアル兄様がジンに感化され過ぎていること。



多分、この学院で私を除くと最強なのはウチの兄姉で間違いない。




「少しいいかい?」

はぁ~・・・懲りずにまた来たよ。

「・・・はい」

「・・・君に私たち生徒会のメンバーを紹介したいと思っている。それで・・・その・・・ランチを一緒にしないか?」

面倒だと顔に出ていたのか徐々に声が小さくなっていくリオネル殿下。
私を誘えばモレずにエル姉様が着いてくると思っている浅はかさよ・・・本当に残念な王子だな。
ほら、私が答えるまでもない。
エル姉様の登場だ。
パァーっと笑顔になる殿下は主人がきて喜ぶワンコみたいだ。

「失礼ですが、本日リナ様と2年のベルティナ様とご一緒する約束がありますのでお断りさせていただきますわ」

リナ様は3年生でルーブル様の婚約者で、ベルティナ様はラオス様の婚約者だったりする。
2人の名前が出るとリオネル殿下の後ろで彼らが期待を込めた眼差しを送ってくるが・・・首を振って無理だと応える。

「そ、そうか」

「何度も申しますが、わたくしの可愛い妹にちょっかいを出すのはお控え下さいませ。では失礼致しますわ」

「ちょっと待ってください!アルバンは・・・その席にアルバンも「ええ、アルも一緒ですわ。アルにはまだ婚約者がいませんもの。ふふふっ我が弟ながらアルは完璧な紳士ですからね。リナ様とベルティナ様からも信頼されておりますのよ。おほほほほほっ」

ルーブル様の言葉を遮って"お前らと違ってウチの弟は不誠実な行動はしないんだよ"さらに"お前らより弟の方が信用されている。何なら好感度も弟の方が上だ"っと、エル姉様が遠回しに言えばショックを隠せないほど、どんどん顔色が悪くなっていた。
容赦ないなぁ・・・

「エ、エル姉様その辺で・・・」

「ええそうね。それでは失礼致しますわ。行きましょうフィオナ」

でも仕方ないとは思う。
エル姉様の紹介で親しくさせていただいているリナ様とベルティナ様から私が学院に通うまでのルーブル様とラオス様の話を聞いた。
うん、馬鹿だった。本物の馬鹿がいた。

リオネル殿下、ルーブル様、ラオス様この3人は顔良し!頭良し!長身でスタイル良し!運動神経良し!さらにリオネル殿下の側近で将来は国の重要なポストに付くことが約束されている、超優良物件なのだ。
そんな彼等を狙う令嬢は多く、彼らに婚約者がいようが隙あらばそのポジションに取って代わろうと虎視眈々と狙う令嬢が後を絶たず、その思惑を知っていながら令嬢たちを側に置いて婚約者を放ったらかしにしていたと言うのだから呆れる。

それが何を思ったか長期休暇明け3年に上がってから今までの事が嘘かのように令嬢方を近づけず、今までの行動を婚約者に詫び、機嫌を取ろうと必死なのだとか・・・
そんな彼らに愛想をつかせていたリナ様とベルティナ様がすぐに絆されるワケもなく・・・。
まあ、婚約破棄の一歩手前だとか・・・。


その2人とランチを約束していた個室に向かう途中で見つけてしまった。

目が会った瞬間に塗り潰されていた顔が鮮明に思い出されてしまったのだ・・・

あの子がだ。

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