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「あれ………ここは…ベットの上?」
目を覚ますと見慣れたベット上。
「良かったですわ。気分はいかがですか?」
話しかけてきたのは私のメイドのメアリー。
「もう大丈夫よ。それより、お茶会は…」
「……王女様が倒れられたことにより、ノア王女様はご心配なさって…それで色々あって中止になりました。」
では…昨晩からやっていたあの計画も全て台無しに…?
まさか自分で計画を台無しにするなんてね…
「ノア王女様はお優しいのね。申し訳ないわ。」
悔しいけど今回は失敗…
「そうですね。でも今はご自分の心配だけなさってください。お医者様に診ていただいたところ、倒れた原因はおそらく睡眠不足か何らかの疲れだそうです。病気などではなくて安心しましたわ。ですが、倒れた体を支えようとした左脚の足首を捻挫しているそうで…」
「捻挫…?……痛っ…!本当だわ。」
左足首を動かしてみると確かに痛かった。
しばらくは治りそうにないわね…
不自由になるわ。
「とにかく、しばらくの間安静にしていてくださいね。」
「分かったわ。」
メアリーはそう言うと、夕飯の支度のために部屋を出ていった。
私は体を起こし、痛い足を庇いながらベットから出て、部屋の本棚の隣にある机に向かった。
イスに座り、壁に貼っているスケジュールを見る。
一年間のスケジュールが書かれたカレンダーだ。
「えっと……二日後にはノール王国にて交流会。私とクリス王子か。さらに一週間後にはお城で舞踏会…決して忙し過ぎるというわけではないけれど、舞踏会に向けての練習もしなければならないし、捻挫なんて早く治さなければ…」
コンコンコン……
誰だろう…
「はーい。どうぞ。」
ガチャ……
扉が開いて、入ってきたのはクリス王子。
「調子はどうだい?」
「クリス王子……えっと…少しだけ足首が痛むくらいです。」
「そうか。…少しではないだろう?」
「…えっ?」
そう言うと、徐々にこちらに向かってきた。
ぼーっと見ていて、気づいたら目の前に屈んでいた。
包帯で固定されている左足首を持ち上げられ、眺めたあと、少し、きゅっと掴まれた。
「っ…痛い…」
「ほら痛いじゃないか。軽い捻挫ならこの程度なら痛くない…」
「っ……大丈夫ですわ。こんなの大したことないんですから。」
「ふう………困ったやつだな。素直に痛いと言えばいいのに。」
口が裂けてもそんな泣き言言わないんだから。
「それより、お茶会…中止になってしまって、申し訳ありません。」
「……中止にしたのは俺だ。気にするな。それと、同い年だし、身分も同じなんだから敬語使わなくても良いんだが。」
「次期国王になる存在の人に敬語以外で話すのは気が引けます。それに、血も繋がっていないので…」
「いいや。俺らは血が繋がっていなくても同じ王子と王女だ。」
「……そうですか。これからは控えてみます…」
そんな気はないが。
それに、今は申し訳無さしかない。
それからしばらく話をしたあと、クリス王子は部屋から出ていった。
お大事にと言い残して。
目を覚ますと見慣れたベット上。
「良かったですわ。気分はいかがですか?」
話しかけてきたのは私のメイドのメアリー。
「もう大丈夫よ。それより、お茶会は…」
「……王女様が倒れられたことにより、ノア王女様はご心配なさって…それで色々あって中止になりました。」
では…昨晩からやっていたあの計画も全て台無しに…?
まさか自分で計画を台無しにするなんてね…
「ノア王女様はお優しいのね。申し訳ないわ。」
悔しいけど今回は失敗…
「そうですね。でも今はご自分の心配だけなさってください。お医者様に診ていただいたところ、倒れた原因はおそらく睡眠不足か何らかの疲れだそうです。病気などではなくて安心しましたわ。ですが、倒れた体を支えようとした左脚の足首を捻挫しているそうで…」
「捻挫…?……痛っ…!本当だわ。」
左足首を動かしてみると確かに痛かった。
しばらくは治りそうにないわね…
不自由になるわ。
「とにかく、しばらくの間安静にしていてくださいね。」
「分かったわ。」
メアリーはそう言うと、夕飯の支度のために部屋を出ていった。
私は体を起こし、痛い足を庇いながらベットから出て、部屋の本棚の隣にある机に向かった。
イスに座り、壁に貼っているスケジュールを見る。
一年間のスケジュールが書かれたカレンダーだ。
「えっと……二日後にはノール王国にて交流会。私とクリス王子か。さらに一週間後にはお城で舞踏会…決して忙し過ぎるというわけではないけれど、舞踏会に向けての練習もしなければならないし、捻挫なんて早く治さなければ…」
コンコンコン……
誰だろう…
「はーい。どうぞ。」
ガチャ……
扉が開いて、入ってきたのはクリス王子。
「調子はどうだい?」
「クリス王子……えっと…少しだけ足首が痛むくらいです。」
「そうか。…少しではないだろう?」
「…えっ?」
そう言うと、徐々にこちらに向かってきた。
ぼーっと見ていて、気づいたら目の前に屈んでいた。
包帯で固定されている左足首を持ち上げられ、眺めたあと、少し、きゅっと掴まれた。
「っ…痛い…」
「ほら痛いじゃないか。軽い捻挫ならこの程度なら痛くない…」
「っ……大丈夫ですわ。こんなの大したことないんですから。」
「ふう………困ったやつだな。素直に痛いと言えばいいのに。」
口が裂けてもそんな泣き言言わないんだから。
「それより、お茶会…中止になってしまって、申し訳ありません。」
「……中止にしたのは俺だ。気にするな。それと、同い年だし、身分も同じなんだから敬語使わなくても良いんだが。」
「次期国王になる存在の人に敬語以外で話すのは気が引けます。それに、血も繋がっていないので…」
「いいや。俺らは血が繋がっていなくても同じ王子と王女だ。」
「……そうですか。これからは控えてみます…」
そんな気はないが。
それに、今は申し訳無さしかない。
それからしばらく話をしたあと、クリス王子は部屋から出ていった。
お大事にと言い残して。
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