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後宮で侍女になった私は精霊に好かれている

九、徳妃様は可愛らしい

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私達は徳妃様がいらっしゃる瑪瑙宮に来た。
彼女達は自身の目の色に見立てた宝石の名前をつけた宮に住んでいるらしい。

そもそも、後宮には四夫人の貴妃、淑妃、徳妃、賢妃といった正一品と呼ばれる妃達がいる。
後宮は次の皇帝になる東宮、つまり男児を残すため、妃たちが皇帝の寵愛を受ける女の園。

基本的に皇帝の寵愛を受けるのはこの四夫人だ。他の下の位の妃達は皇帝の好みで選ばれるそうだ。

ここでは東宮を出産した者の勝ち。

淑妃が半年前、女児を出産したと聞いたことがあるな。

誰が東宮を産むか。まさに女の戦いだ。

「ここだ。」

「はい。……綺麗なお住いですね。」

「当たり前だろう。」

コンコンコン。

「水愛(シュイアイ)妃。失礼致します。憂炎でございます。」

「はい!どうぞ~!お入りください~」

ガチャッ…

「失礼致します。憂炎さんの指示で参りました、雪蘭と申します。」

「あら~貴方が雪蘭なのね!ようこそ、瑪瑙宮へ!」

水愛妃は可愛らしい方だった。
美妃に違いないが、「美しい」よりかは「可愛い」という言葉の方が似合うお方だ。

瑪瑙色の瞳に淡い茶色のふわふわとした髪。
きれいな肌に華奢な体。高く透き通る声。

想像よりずっと若い…てか、子供……

「どうかしたのかしら?難しい顔をして。」

「さあ。おそらく、水愛妃のあまりの若さに驚いているのでは?」

「……ふふふっ。そう思うのも無理ないわね。雪蘭~?」

「あ!はい!申し訳ございません…!」

「いいのよ。私、いくつに見えます?」

「え、あ、えっと………」

確か…

「十五……ですよね?」

「せいか~い!お見事よ!先日誕生日を迎えたのよ~」

十四の時には既に寵愛を受けていたってことに…

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「はあぁーーー……ごほん…!」

「あ、すみません。」

「全く、今日はこれで終わりでは無いからな。しっかりしろ。」

「はい…」

「まあまあ、そんな事言わずに~お茶を飲みながらお話しましょう。来客なんて久々だもの。今までつわりに悩まされてたから誰も遊びに来てくれなかったもの。」

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