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27、突然の悲報
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「…あッ!待って…。やぁ…あん!」
下から突き上げられるその度に、リルは振り落とされないよう王子の首に腕を回しすがりついた。
そして、気づいた。
彼の柔らかそうな耳たぶが、目の前にあるということを。
「…ん!…リル!?」
自分の甘い声が漏れる隙間に、王子の耳を甘噛みしていく。
さっき彼がリルにそうしたように。
「…ッ、そういうことする…から!」
王子が苦しそうにため息を吐く。
それでも、容赦なく耳の中に舌を侵入させていく。
どんどんリルの中で固く、早くなっていく王子の動き。
「…うっ、もう…!」
初めての日と同じように、王子のモノがリルの中に弾け飛んだ。
しばらくはそのままで、お互いにぎゅっと抱きしめ合ったまま。
荒い息が落ち着いた頃に、王子がリルの乱れた髪を優しく耳にかけた。
「……私を煽るのはやめてくれ」
「だって、自分だけ気持ち良いのは嫌なんです」
いつもは、王子の方が背が高いのに、今日は彼の膝の上にいるから少しだけリルが見下ろす形になっている。
見上げてばかりいたから、なんだか不思議な気分。
「君が気持ち良くなってくれれば、私はそれだけで満足なんだ」
「自分だけじゃなくて、私は殿……マ、マイリスにも気持ちよくなって欲しいんです。一緒に」
「……まったく、聞き分けの悪い奥さんだな」
王子は優しく笑うと、リルの頬を両手で包み深い口付けを落とした。
一度、萎んでしまっていたはずの、まだリルの中にいる王子のそれがどんどん存在感を増していく。
「……えッ!?」
「今日はいっぱいできるな」
「そ、そんな……。男性が連続でできるなんて本には書かれていなかったわ!」
リルの顔がみるみる青くなる。
男性は一度、射精すると賢者タイムになると本には解説してあったはずだ。
一回だけでも、相当な体力を使うから回復するには時間がかかるのだと。
「まぁ、それは個人差あるから。今日は眠れないかもな」
「えー!?」
王子は繋がったまま、リルを抱き抱えるとそのままベッドへと移動した。
リルを優しくベッドの上に下ろすと、王子は繋がったままたくさんのキスを落とした。
その日、彼がどれだけ頑張ったのかは、誰も知る由がない。
そう、リル以外は……。
◆◆◆
リルがお城へ来てからニヶ月ほど経ったある日。
グレナディエ王国は新緑の季節を迎えていた。
晴れた空と爽やかな風。
庭園の青々とした木々達が生き生きと輝く。
そんな季節だった。
「ーー披露宴で食べた前菜がとても美味しかったわ!あの果物は何ていう果物なの?」
もう、すっかり城内にも王子とリル二人の仲睦まじい様子が知れ渡っていた。
王子は平民出身の妃をとても大切にしているのだと。
「あれは南の地方で採れるモンギュという珍しいフルーツで、腐りやすいので流通していないのですが、最近お城の温室で初めて栽培が成功したんです」
「まぁ!そうだったの。あれを生ハムと合わせるなんて誰も思い付かないわ。さすがレザンさんね」
ようやくリルは約束のサングリアの作り方を習いに、お城の厨房に入らせてもらっていた。
お妃教育もなんとか合格点をもらい、今はお城を切り盛りすべく奮闘している最中だ。
使用人達とも、まめにコミュニケーションをとるリルの姿勢に、遠巻きに見ていた人達も徐々にではあるが打ち解け始めていた。
厨房に置かれた様々な果物を目の前にしてリルはワクワクしてくる。
オレンジにりんごに、レモン。
ミックスベリーに葡萄。それから蜂蜜。
レザンの指示に従い、それらの果物を適当な大きさに切っていく。
「リル様は、包丁さばきが上手ですね」
「そうですか?孤児院にいたときは毎日、食事の準備をしていたから。まぁ、簡単なモノしか作れないですけど」
「もし、他にも作りたいモノがあれば、遠慮せずにおっしゃってください」
「本当ですか!?じゃあ、今度は殿下のためにお菓子でも焼いてみようかしら」
「それは良い。きっとお喜びになりますよ。殿下は甘党ですからね」
「まぁ!そうなの?これは良い情報を聞いたわ」
リルはレザンに、ウィンクをして見せた。
「ーーリル様!リル様はこちらにいらっしゃいますか!?」
その時、小柄なメイドが可愛らしい巻毛を揺らしながら、厨房に慌てて入って来た。
息は乱れ、動揺している様子が見て分かる。
「どうしたの?モモ。そんなに慌てて」
厨房で作業をしていた他の料理人達も何事かと仕事の手を止め、モモが入って来た入り口あたりに注目している。
乱れた呼吸をなんとか落ち着かせ、モモが一思いに言い切った。
「国王陛下が……、国王陛下が崩御されました」
厨房のタイルに誰かが鍋の蓋でも落としたのだろう。
鋭い金属音が辺りに響き渡った。
下から突き上げられるその度に、リルは振り落とされないよう王子の首に腕を回しすがりついた。
そして、気づいた。
彼の柔らかそうな耳たぶが、目の前にあるということを。
「…ん!…リル!?」
自分の甘い声が漏れる隙間に、王子の耳を甘噛みしていく。
さっき彼がリルにそうしたように。
「…ッ、そういうことする…から!」
王子が苦しそうにため息を吐く。
それでも、容赦なく耳の中に舌を侵入させていく。
どんどんリルの中で固く、早くなっていく王子の動き。
「…うっ、もう…!」
初めての日と同じように、王子のモノがリルの中に弾け飛んだ。
しばらくはそのままで、お互いにぎゅっと抱きしめ合ったまま。
荒い息が落ち着いた頃に、王子がリルの乱れた髪を優しく耳にかけた。
「……私を煽るのはやめてくれ」
「だって、自分だけ気持ち良いのは嫌なんです」
いつもは、王子の方が背が高いのに、今日は彼の膝の上にいるから少しだけリルが見下ろす形になっている。
見上げてばかりいたから、なんだか不思議な気分。
「君が気持ち良くなってくれれば、私はそれだけで満足なんだ」
「自分だけじゃなくて、私は殿……マ、マイリスにも気持ちよくなって欲しいんです。一緒に」
「……まったく、聞き分けの悪い奥さんだな」
王子は優しく笑うと、リルの頬を両手で包み深い口付けを落とした。
一度、萎んでしまっていたはずの、まだリルの中にいる王子のそれがどんどん存在感を増していく。
「……えッ!?」
「今日はいっぱいできるな」
「そ、そんな……。男性が連続でできるなんて本には書かれていなかったわ!」
リルの顔がみるみる青くなる。
男性は一度、射精すると賢者タイムになると本には解説してあったはずだ。
一回だけでも、相当な体力を使うから回復するには時間がかかるのだと。
「まぁ、それは個人差あるから。今日は眠れないかもな」
「えー!?」
王子は繋がったまま、リルを抱き抱えるとそのままベッドへと移動した。
リルを優しくベッドの上に下ろすと、王子は繋がったままたくさんのキスを落とした。
その日、彼がどれだけ頑張ったのかは、誰も知る由がない。
そう、リル以外は……。
◆◆◆
リルがお城へ来てからニヶ月ほど経ったある日。
グレナディエ王国は新緑の季節を迎えていた。
晴れた空と爽やかな風。
庭園の青々とした木々達が生き生きと輝く。
そんな季節だった。
「ーー披露宴で食べた前菜がとても美味しかったわ!あの果物は何ていう果物なの?」
もう、すっかり城内にも王子とリル二人の仲睦まじい様子が知れ渡っていた。
王子は平民出身の妃をとても大切にしているのだと。
「あれは南の地方で採れるモンギュという珍しいフルーツで、腐りやすいので流通していないのですが、最近お城の温室で初めて栽培が成功したんです」
「まぁ!そうだったの。あれを生ハムと合わせるなんて誰も思い付かないわ。さすがレザンさんね」
ようやくリルは約束のサングリアの作り方を習いに、お城の厨房に入らせてもらっていた。
お妃教育もなんとか合格点をもらい、今はお城を切り盛りすべく奮闘している最中だ。
使用人達とも、まめにコミュニケーションをとるリルの姿勢に、遠巻きに見ていた人達も徐々にではあるが打ち解け始めていた。
厨房に置かれた様々な果物を目の前にしてリルはワクワクしてくる。
オレンジにりんごに、レモン。
ミックスベリーに葡萄。それから蜂蜜。
レザンの指示に従い、それらの果物を適当な大きさに切っていく。
「リル様は、包丁さばきが上手ですね」
「そうですか?孤児院にいたときは毎日、食事の準備をしていたから。まぁ、簡単なモノしか作れないですけど」
「もし、他にも作りたいモノがあれば、遠慮せずにおっしゃってください」
「本当ですか!?じゃあ、今度は殿下のためにお菓子でも焼いてみようかしら」
「それは良い。きっとお喜びになりますよ。殿下は甘党ですからね」
「まぁ!そうなの?これは良い情報を聞いたわ」
リルはレザンに、ウィンクをして見せた。
「ーーリル様!リル様はこちらにいらっしゃいますか!?」
その時、小柄なメイドが可愛らしい巻毛を揺らしながら、厨房に慌てて入って来た。
息は乱れ、動揺している様子が見て分かる。
「どうしたの?モモ。そんなに慌てて」
厨房で作業をしていた他の料理人達も何事かと仕事の手を止め、モモが入って来た入り口あたりに注目している。
乱れた呼吸をなんとか落ち着かせ、モモが一思いに言い切った。
「国王陛下が……、国王陛下が崩御されました」
厨房のタイルに誰かが鍋の蓋でも落としたのだろう。
鋭い金属音が辺りに響き渡った。
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